秀山の俳句写真日記

日々の生活、旅先での出逢い・思いを俳句、写真、文にした徒然日記です

救国の師の 社ありけり春の海

2021年03月07日 01時45分59秒 | 日記
救国の師の 社ありけり春の海
             社;やしろ
春の日に〆の子凛と鎮まれり
             江の島 児玉神社
 
 
 
  東郷平八郎の東郷神社、乃木希典の乃木神社があることは知っていました。児玉源太郎氏を祀る児玉神社については、あること自体、そしてそれが江の島にあるということを初の江の島行きで初めて知りました。インターネット検索では、山口県周南市にもあるそうです。

 私は東郷平八郎と、地位に拘泥せず私心なく日露戦争を指揮した児玉源太郎氏なくして、あの勝利はなかったとする司馬史観の賛同者です。嬉しい意外な発見でした。

 児玉神社の注連縄(しめなわ)はそれ自体大きく立派なものです。それに吊るされている5つの大きな「〆の子(しめのこ)」藁も立派で、宙に浮いて春の日を受けて凛と鎮まっている様は、「ここから先の神域を守っている」という雰囲気を感じさせました。

 しめ縄は神の領域と現世を分け隔てる『結界』として、不純なものが入るのを防ぐという役目を担っているとのこと。その由来は古事記の神話にあり、岩戸にこもった天照大神を神々が連れ出した際「もう岩戸に入らないように」と岩戸にしめ縄をつけたそうです。

 蛇足ですが、児玉源太郎に触れましたら、現今の日本の社会・経済・政治状況を、限られた知識ではありますが、日本の近・現代史と照らし合わせながら見たいと思いました。

 19世紀後半、清国のように欧米列強に植民地化されまいと、日本の憂国の士が立ち上がり、それまでの太平の世であった封建制度を打ち壊し、新しい近代国家を建設しました。体制の変革です。

 その後、欧米列強に伍すまでになった近代日本は、国の指導者が国の実際の実力という現実を無視し、米国に追い込まれていたものの、真珠湾を攻撃して太平洋戦争を開始するとの選択をしてしまいました。その結果、国民生活を塗炭に陥れ、国家としてのそれまでの蓄積も全て灰燼に帰してしまいました。体制の崩壊です。

 戦争直後の壊滅状態の日本は、日本の経済復興を最優先の国家課題とした吉田茂とその流れをくむ政治指導者の下で、東西冷戦も幸いして、米国との同盟を基軸として、経済・技術面で「Japan as NO1」と言われる奇跡の経済復興を成し遂げました。戦後新体制の華々しい成果です。しかしながら、一方で、いまだ米軍のヘリコプターが首都圏のど真ん中を自由に飛んでること等に象徴される日米関係の不平等性をそのまま引きずって今日に至っています。

 1990年、日本のバブル経済が崩壊しました。その20年後の2008年、リーマンショックで日本経済は低迷し、科学・技術面も低迷し、いまだもってこの低迷から脱却できていません。例えば、使用可能な日本製のコロナウィルスワクチンは今だ創り出せていません。国民間の経済格差の拡大は社会問題となっています。

 このような状況下でありながら、日経平均株価の終値が先月(2月)、30年ぶりに3万円台を回復しました。この高株価の背景には、政府が国民個人の積立金である「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」などの公的資金を使って、意図的に株価を下支えしているとも言われています。当法人は、投機性の高い株式に投資する資産構成割合を、2006年から2009年度の第1期中期目標期間では20%(国内株式11%、外国9%)にしていましたが、2020年から5年間の第4期では50%(国内・国外共に25%)まで引き上げています。2020年12月末の国内株式投資総資産は約45兆円、日本株式市場の時価総額の約6%を占めるまでになっています。

 前安倍政権は、政府による国民の個人資産である年金を使って実体経済と乖離した株高を誘導する一方、経済格差拡大の中で生活が困窮している国民(若者世代、母子家庭、非正規社員等)を守る政策には冷淡で、この基本姿勢は菅現内閣でも変わっていないと思えます。

 それでは、現今の日本の社会・経済・政治の実力とはいかなるものでしょうか・・・;

 政府の後手後手に回るコロナ禍対応、忖度政治の跋扈、政治家・官僚の公僕意識・矜持の恐ろしいまでの衰退、国家百年の大計を見据えて投資されるべき教育・学術科学への国家予算の貧弱化、IT化の著しい遅れ(行政でのファックス社会露呈が象徴的)、国の骨格を揺るがしかねない少子化と経済格差是正への国の不十分な取り組み、異常な株高、等々。

 そして、このような状況下の政治を是としている主権者たる日本国民の選挙結果。

 コロナ禍はある意味、国力をあげて対応すべき防衛戦争のようなものであり、そこには救国の志と国家戦略をもつ有能な指導者がいて、国民の理解・支持を得ながら国家組織を合目的的・合理的・効率的に総動員して勝利へ導く、そういう国家の動的姿が期待されていました。

 しかしながら、1945年の日本の敗戦によるどん底から復興した日本の政治・経済・社会制度が、国民にとって居心地の良いものだあったが故に、日本を取り巻く世界の経済・社会・科学技術環境の変化に適応した変身ができずにコロナ禍を迎えてしまいました。現在の日本には、明治国家や敗戦後の日本に出現したような明確な国家戦略をもった指導者と政治家、並びにその国家戦略課題を実現するための施策を立案・実施する行政官が、残念ながら見当たらにように思えてなりません。

 今のコロナ禍で日本の政治・行政対応の後手後手の為体(ていたらく)を見せつけられていますが、首都圏直下型地震が発生したら、戦争が勃発したら日本はどうなるのでしょうか?首都圏機能移転の話はどうなっているのでしょうか?


 時代環境の変化に適応できない組織・体制が衰退することは歴史が示すところです。

 今日、先週(2月28日)に放映されたNHKの「晴天を衝く」を録画で見ました。次のセリフを思わずメモってしまいました。渋沢栄一の幼少時代、砲術家の高島秋帆が幕府により栄一の郷里の武蔵野国岡部藩の陣屋に幽閉されていた時、牢屋の壁越しに秋帆と幼少・栄一との回想会話シーンです。(史実としては、両人が会ったことはないとのことです。)

秋帆:このままではこの国は終わる

栄一:おらが守ってやんべい、この国を

その後、ペリー来航により、秋帆の砲術の知識・技術を必要とした幕府は秋帆を赦免し登用。秋帆が陣屋を出て江戸への途上、青年に育った栄一と偶然に出逢います。その時の秋帆のセリフ:

「私はこの先残された時をこの日の本の為に尽くし励みたいと思っている。お前もはげめ」

 歴史を見ますと、時代環境が次の時代に必要な人物を輩出してきた、と思えます。輩出されない国や組織は衰退しています。今、日本は遅くとも2,30年前には変革の時を迎えていたのではないかと思いますが、古い革袋のまま長い時間が経ってしまいました。

 「新しい酒は新しい革袋に盛れ」、の格言の通り、まだ表舞台に登場していない人物が近い将来現れ、日本に必要な変革をもたらしてくれるはず、と期待しています。

 その人は、その人たちは、性別を問わず、若い世代から輩出すると固く信じています。

 長い蛇足となりました。これで終わります。

 
<ご参考>
・経済協力開発機構(OECD、37か国加盟)発行「図表でみる教育(2020年版)」
加盟各国の教育状況を定量的で国際比較が可能な教育データとして毎年公表されている
典拠:
・初等教育から高等教育に対する公的支出総額の比率(2017年)は、日本は7.8%でOECDの平均は10.8%
・国内総生産(GDP)に占める教育に関する公財政支出(2017年)は、初等教育から高等教育まででOECD平均は4.9%で、日本は4.0%
・日本は家計からの教育支出が3409ドルで、米国(5814ドル)、英国(4665ドル)、オーストラリア(4505ドル)に次いで4番目。ただし、日本は2020年4月から私立高校授業料実質無償化(高等学校等就学支援金制度)と、大学など高等教育の無償化(授業料等減免制度)が始まっており、対象となる家計の負担は大幅に下がっている。
・児童・生徒・学生1人当たりの年間教育支出額(2017年)のうち、公財政支出は日本が8487ドルに対して、OECD平均は9524ドル。ただし、2020年から高校と大学の無償化が始まっており、日本の公財政支出の額は増えるとみられる
・クラス当たりの生徒数はOEDC各国の中で日本が最も多い
日本は小学校が27.2人、中学校が32.1人。OECD平均は小学校21.1人、中学校23.3人。日本は学級編成基準が小学校・中学校とも1クラス40人(小学1年は35人)だが、米国(カリフォルニア州)や英国のように1クラス当たりの生徒の上限を30人以下にして、きめ細かい指導を行う国も多く、少人数化が時代の流れになっている。
・日本の学校のICT活用比率は極めて低く、中学校では生徒にICTを「頻繁」または「いつも」使わせているのは20%を下回る
調査対象国のうち20%以下は日本だけだ。OECD平均は50%を超えており、最も利用比率の高いデンマークは90%超に達している。
 
現在のOECD加盟国:
オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チリ、コロンビア、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イスラエル、イタリア、日本、韓国、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、イギリス、アメリカ

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