願ひ聴きつ 風化さやけき 道祖神
北千住 安養院 「仲直し地蔵尊と道祖神」
安養院も高校同窓会主催の母校歴史探訪で訪れたお寺の一つです。
お地蔵さんが2体並べられていて「仲直し地蔵尊」と立札に書かれていました。この名前の由来は、おそらく喧嘩などで人と諍(いさか)いを起こした恋人や夫婦、親兄弟、友人などが、この2体のお地蔵さんを前になんとなくな仲直りをお願いしたくなり、いつの間にかこのように呼ばれるようになったのではと勝手に推察しました。
その足元を見ますとかなり風化した道祖神らしきお二人が刻まれた小さな石が置かれています。私はこの道祖神さんらしき石の方に情緒を感じまして、後日お寺さんに電話してお訊きしたところ、次のようなお話でした。
大きな2体のお地蔵さんは当初は別々のところに在ったもので、このお寺に運ばれ並べてられて「仲直し地蔵尊」と呼ばれるようになったとのことです。そして、足元の道祖神らしきものも、その後に他所から運ばれてきてそこに置かれたそうです。
別々のところで拝まれていた三体が何かのご縁で安養院で一緒になったようです。
道祖神さんはお地蔵さん以上に古く、ご自分自身が風化されながらもいろいろな人の願い、祈りを聴いてこられたことと思うと、澄んだ爽やかさを感じました。
人は深刻な悩みにある時、「他の人が自分の話を聴いてくれる」と、それが大きな心の救いになるとよく言われます。
この道祖神さんは数えきれない人々を救われてきたのだろうな、と思いました。