風薫る 直筆古文 息遣ひ
断たずとは 新緑法灯 千二百年
京都国立博物館 特別展
最澄と天台宗のすべて
この特別展は、最澄(767~822)の1200年大遠忌を記念して企画されたものです。
今回の展示会でふと思いました。
絵画や彫刻を観ている自分は、その作者はあまり意識せずにその作品自体を独立して鑑賞しているように思います。
歴史上の経文、宸筆、手紙などの「文字」だけの作品・書き物を観ている場合、その筆遣いと、その文が書かれた時代背景、筆者のプロフィール等を重ねながら、書いた人とその人の思いを勝手に想像しながら鑑賞しているように思います。
いずれにしましても、展示品のお蔭で平安時代にタイムスリップすることが出来ました。
特別展で唯一写真撮影が許されているのが再現された比叡山延暦寺根本中堂・不滅の法灯の内陣の一部です。この延暦寺の法灯は、1571年の織田信長の比叡山焼き討ちの際に一旦消えました。幸いにして1543年の立石寺(山形県)再建の際に分灯されていたため、延暦寺に再分灯されて今なお灯され続けているとのことです。
人間が1200年も菜種油を断たずにこの法灯を灯し続けるということは並大抵のことではないと思います(格言「油断大敵」の由来とか)。
時は古都新緑の真っ盛り。自然もこの1200年、新緑という営みを断たずにしてきてくれました。思えば、この自然の営みも大変で有難いこと、とあらためて思いました。