山茱萸の気高く強く禍に咲けり
山茱萸(さんしゅゆ)は小さな花ですが、近づいて見るとその別名「春黄金花(ハルコガネバナ)」の由来に納得。春に黄色い小花が美しく満開になる姿から 付けられているそうです。
花言葉は『耐久』『持続』『強健』『気丈な愛』『成熟した精神』。実は 止血や解熱、強精作用に効果があるとのことです。
今はコロナ禍の最中にいますが、明日は東日本大震災からまる10年。もう少し時が経つと、東北にもこの花が気高く、美しく、そして逞しく咲いてくれることと思います。
10年前の5月、7月、12月に現地でお手伝いさせていただきました。その時の体験は今だ脳裏に焼き付いています。カメラを持っていきましたが、シャッターを切ることがはばかれ、一度も切れませんでした・・・
2011年5月 気仙沼市大島での記録
(俳句力不足で、57577でしか表せませんでした・・・)
東京都主催の5泊6日のボランティア一行に参加しました。行き帰りバスでしたが、帰りの車中は現地の悲惨な情景、被災者の方々の心境が心を度々よぎる辛い夜でした。
船山に 登るや津波 魔の力 浜辺を千鳥 小走りゆけり
湾静か 巨船はいまだ 陸の上
残りえた 家の一階 空洞に 浜辺の町は 更地となりぬ
瓦屋根 だけがそのまま 地に残る 達磨落か 津波の力
根絶やしと いう言葉あり 津波跡 更地に残る 土台点点
松並木 残るも真中で へし折られ
山腹に トタン柱や 梁のあり 田畑瓦礫で 埋(うづも)れり
倒木の 桜青葉が 盛んなり 地に満開の 花を咲かせむと
家一歩 入るや天井 垂れ下がり 家財散乱 茫然自失
凄まじき 津波の跡の 家田んぼ 他人(ひと)手なければ 片付け不能
相知らぬ ボランティアの チーム力 その源泉は 他への優しさ
和をもつて 役割を決め ボランティア 津波の跡を しかと片付け
日本の 若者頼もし ボランティア 柔軟確実 明るく黙々
日本の 女性は元気 ボランティア 作業に食事に いつも高笑
ボランティア 人海戦力 黙々と 津波の跡の 片付け進む
集まれば 大きな力 人の手は 片付けしつつ ピラミッドを思ふ
凄まじき 津波の跡の 家の中 家主を思い 片付けにけり
ありがとう 土地の人の 一声に 疲れ吹っ飛ぶ ボランティア
雉鳴けり あの時は大鳴きと 土地の人
(この後で弱い地震あり、我らの作業場所の近くには高い避難場所なし)
家位置の ほんのわずかな 高低差 上は無傷で 下は全壊
生と死は 紙一重だったと 土地の人
凄まじき 津波に失せし 復興の 気をとりなおす 土地の人
気長にやんべえと 言ふ東北人の 強さかな
土地の人曰く:
自分か今生きているのは運が良かった、偶然としか、言い様がない
いろいろな人に助けられ、生かされている感じ
復興できたら、全国をお礼参りをしたい
ご遺体を見るたび、自分だったかもと思え、いつしか自分の顔に見えてくる。自分が自分を見つめている感じ、体外離脱のように…
以下は、私自身の独り言俳句です。
夏風邪を ひく情けなや 被災地で
被災地での 寝袋寝覚 ホーホケキョ
新緑に 津波爪痕 無惨かな
東北道の 緑深まる 梅雨の入り