滋賀県・京都府とその周辺の山と滝

比良・鈴鹿山等の滋賀の山や京都北山を中心とした、山登り・滝巡りなどを写真で綴る個人記録帳です。

2019.02.24 京都西山/不動谷左俣からポンポン山福寿草群生地へ

2019-02-24 20:30:36 | 京都の山(北山以外)
2019.02.24[出灰不動尊10:12〜10:16不動滝10:19〜10:22貴受の滝10:24〜10:25賛綬の滝10:26〜10:30右俣の滝10:32〜10:38蘇津授の滝10:42〜10:47御木奈の滝10:50〜10:57御木奈の滝落口11:02〜11:52ポンポン山11:55〜12:02リョウブの丘〜12:08福寿草観察園12:27〜12:31福寿草観察園下り口12:43〜12:49リョウブの丘〜12:57出灰道分岐〜13:22鬼語条橋〜13:26出灰不動尊]
※出灰不動尊から不動谷左俣を通ってポンポン山頂上までのコースは一般登山道ではありません!

昨年に続いて、ポンポン山にフクジュソウを見に行こうと思う。でもフクジュソウだけではちょっと物足りないかなぁ。
いつも登山計画をするとき、何かしらテーマとなるものを決める。目的ではなく要素とも言えるテーマだ。それは初めて行くコースであったり、ビューポイントであったり、ある種の観察であったり、また長い距離や大きな高低差であったりする。その登山のテーマとなるものが複数あると、非常に登山意欲がかき立てられなおさらよい。
そこで今回は①フクジュソウを見に行くために②初めてのコースを通る、という2つのテーマにしようと地図とにらめっこ。思いついたのがポンポン山西側の出灰から滝を見ながら山頂直登ルート。滝だけには以前に訪れたことがあったが、今回はそれを越えて谷を詰めるというもの。フクジュソウを見る、初めてのコース、滝を見る、3つのテーマが含まれるわけだ。これは楽しそう。

さて、大阪府高槻市出灰の不動尊入口から橋を渡って、京都市西京区大原野出灰町の不動谷に入っていく。この谷には8つの滝があるという。まずは整備された道を進むと、修行の打たせの滝だという「不動滝」に行き着く。落差は5m弱。入口から近いところではあるが、ゴルジュの奥にかかり、周囲のゴツゴツした岩に囲まれた狭い空間が、秘境感を醸し出している。この谷で一番雰囲気のある滝だといってもいい。
道はここで行き止まりとなっているので、少し戻り、橋のたもとから左斜面に踏み跡を辿る。以前はもう少し山道らしかったように思うが、随分と荒れてきているようだ。滝横を古い倒木を越えトラバースして滝頭へ。
数分遡ると谷が少し右に折れる箇所に隠れて滝がある。落差4~5mの形の整った「貴受の滝」だ。滝群で一番の美しさではないだろうか。気品に満ちた姿で名称に「貴」という文字が入っていることに納得。
貴受の滝を右から巻くと、すぐに3つ目の「賛綬の滝」が見えてくる。2条に分かれたナメ滝でこの滝群では一番こぢんまりとした滝。これは左を巻く。
賛綬の滝上で谷は2つに分かれる。きょうの登山ルートは左俣を登って行くが、ここで右俣に寄り道。100mも行けば大きな滝があるのでそれを見るため。水量が多いと末広がりに落ちる優雅な段瀑だが、あいにく季節は冬、雨が少ないためきょうは水量不足で、細い流れがヒョロヒョロと落ちているのみ。
この滝にも名前はあるはずだが不明。不動谷には8つの滝があるとされていて、ここまでに通ってきた3つの滝と、この先行く左俣にある3つの名のある滝の合計6滝はわかっているが、残りの2滝が所在も名称もわからない。その不明滝の一つはこの右俣にある滝ではないかと思っている。ということになれば、この滝にも名称があってもおかしくない。7つ目がこの滝だとして、残りの1つについては全く不明だ。この右俣の滝の上は小滝はいくつかあるようだが、名前がつくほどの規模でもないと聞いているし、その所在は謎である。

再び二俣に戻ってしばらく左俣を登ると、左岸に少し平らな場所があり、その先で谷が右に曲がるところに、次の「蘇津授の滝」が落ちているのが見える。落差5mほどのこの滝は連瀑の最下段であるに過ぎない。滝の右側斜面を少し登ると、蘇津授の滝に続く上の滝が見えてくる。2段の滝で上段は幅広いナメ滝、下段は上段の水を1つまとめにして岩の溝に落ちる滝。これは「葉九重の滝」と呼ばれる滝だ。蘇津授の滝と葉九重の滝は一目には見えないが連続する滝で、一つの滝と見なせば結構な落差がある。
蘇津授の滝下に戻り右岸に渡って巻道を行く。滑りやすい斜面にロープが2本下がっている。どちらかで直登し右へトラバースに入る。ずっとロープが設置されてはいるものの足元は滑りやすく、ロープもちょっと頼りないものなので慎重に。念のためここを登る前に滑り止めのチェーンスパイクを装着した。葉九重の滝を足元に見て、滝頭にトラバースしていく。上は短いゴルジュになっていて、その奥の空間に「御木奈の滝」が落ちているのが見える。御木奈の滝は落差10mを越える堂々として気品に満ちているすばらしい滝で、不動谷滝群の主瀑と言える存在。ポンポン山にこんな滝があるなんて、と誰しもが思うに違いないだろう立派なもの。ただやはりきょうは水量が少なめなのが残念。

前に訪れたときは滝が目的だったのでここで引き返した。以前に比べるとやはりルートは相当に荒れていて、踏み跡が消えているところも多かった。
きょうは御木奈の滝を越えて更に谷を詰めて山頂をめざす。右岸のジグザグ踏み跡を登りトラバースに入る。ここも劣化気味のロープが設置されている。完全にロープに頼るのはかえって危険。雨の後など足元が濡れているときは神経の使うところとなる。
滝頭はナメになっていて小滝もあるが、それを越えて左に支流を分けると、ごくごく平流となり植林地に代わる。この後しばらくは退屈とも言えるルートで、植林の中の歩きやすいところを選んで緩やかに登っていく。谷は支流を多く分けるが常に水量の多い方を進む。ところどころ倒木はあるものの、この谷は昨年の台風の影響をあまり受けなかったようだ。

谷が再びやや斜度を増すと小滝がある。滝らしいものだとは思うが、きょうはチョロチョロと水が流れるだけ。
この上で右に小滝のある支流を分けると谷は少し荒れていて、倒木や谷に覆い被さる枯れ木をまたいだり潜ったりして越えていく。右岸側の尾根は低く、そちらに上がれば鬼語条橋から登ってくる一般登山道に合流できるが、あくまでも谷を辿る。
水が完全に切れ、谷底に水の流れたあとのない源頭の地形になってくると頂上は近い。普段なら地図を見ながら山頂直下コースを辿るのだが、すでに山頂にいる登山者の声が聞こえているのでそれをめざすと地図は要らない。

真西から山頂に出ると昼時だと言うこともあって、やはり想像していたとおり大勢のひとが思い思いに休んでいる。因みに、もちろんとも言えるが不動尊から山に入って山頂まで誰とも会っていなかった。誰もいない路地から出るとそこは繁華街だった、みたいな感じかな。
きょうは晴天で温かく、完全に春山の雰囲気。花粉も相当飛散しているらしい。その影響もあってか展望はイマイチで、京都市街や東山は霞んでいる。南に目を向けるとそれ以上に大阪方面も霞み、ビル群は見えない。それに比べれば西側に幾重にも重なる北摂の山々や、北に見える堂々たる容姿の愛宕山はまだはっきりと見える方だ。
その愛宕山はこの角度から見ると、左奥に鎮座している地蔵山と一直線の稜線でつながって一つの大きな独立峰に見える。常は京都市内から西に愛宕山を見ることが多いため、このような愛宕の姿はとても新鮮に映る。

山での人混みは好きではないので、福寿草観察園に向かって足早に山頂を去る。この北に向かう稜線道ではたくさんの人とすれ違った。ということは観察園も大勢の人なのだろうと容易に想像できた。ところが観察園に下りる分岐に着くとそこには人っ子一人いない。
昨年訪れたときは休憩にもってこいのこの場所には、大勢に人が休んでいたのだった。観察園内の遊歩道も賑わっていて、写真を撮るのも順番待ちの状態だった。
それを承知で、山での人混みが好きではないと言いつつ、今年もやってきたのにはそれなりの理由がある。それは色彩豊かな春の景色をいち早く見たかったから。冬のモノトーンの景色もよいが、しばらく緑や赤、黄色などの目にも鮮やかな色彩を見ていないと色に飢えてくるものだ。そんなとき一番にその飢えを癒やしてくれるもののひとつがこのポンポン山のフクジュソウというわけ。

ゲートに下ると3人の登山者がいた。受付で住所氏名を記入、いよいよフクジュソウ群生地に入る。ゲートで係の方の言っていたように今日は最高の日。お日さんも眩しく輝いているので、フクジュソウもその恩恵を受けるべく、花びらを全開にして気持ちよさそうに咲いている。私を含めて4人だけなのでゆっくり鑑賞、撮影できるのが嬉しい。秋の紅葉以降久しぶりに山で鮮やかな色との出会いに心躍る。背中に温かい日差しを受け、フクジュソウを愛でる幸せを感じる。
20分近くいただろうか。この間も新たに登山者は訪れず、昨年の賑わいがウソのようである。

稜線の登山道まで戻り、道脇の切株に座ってランチタイム。もち麦入り梅しそごはん(おにぎり)、五目おこわおにぎり、これに緑茶。最高に美味い。
この間もひと組の登山者が通り過ぎたのみ。ちょうどこの周辺だけ偶然にも人がまばらだったようで、帰路の稜線ではまた多くの登山者とすれ違った。
温かな陽気のもと、満開のフクジュソウを満喫し、美味しいおにぎりでお腹も満たされたことで気分がとてもよくなり、思わず山道を走ってしまう。あっという間に、ポンポン山頂上直下の出灰へ下る道との分岐に着いてしまった。

ここからはもう下るのみ。左手にきょう登ってきた谷を見ながら快適に下る。このコースからの展望はあまりない。途中数本の倒木が道をふさいでいるが、左側に迂回路が設けられていて通行に支障ない。尾根を外れると間もなく民家の屋根が見えてきて、尸陀寺跡に下り立つ。
橋を渡って府道を左折。途中の台風被害と思われる倒木と斜面崩壊箇所は悲惨で、この先大雨が降るなどしたときに、さらに崩壊が進むのではないかと心配だ。その下を通ると不動尊入口はすぐそこ。
短い時間の登山だったが、滝を見る、初コースを歩く、フクジュソウを愛でるという3つのテーマ(要素)それぞれ面白く充実した山行だった。

※不動谷の滝群について私なりの見解
滝の名称は最初に現れる不動滝以外は、いずれも長寿祝いを表す名称の漢字を置き換えたものとなっている。
喜寿77=貴受、傘寿80=賛綬、卒寿90=蘇津授、白寿99=葉九重といった具合だ。これ以外を見ると、最初に還暦60と古希70がない、また米寿88が抜けている。さらに御木奈の滝はどれにもあたらない。
このことをベースに考えてみると、この谷には8つの滝があるとされているので、還暦、古希、喜寿、傘寿、米寿、卒寿、白寿、百寿(紀寿)の8つと関連性を持たせているように思う。これを当てはめると、喜寿=貴受、傘寿=賛綬、卒寿=蘇津授、白寿=葉九重の4つは問題ないだろう。ここにない還暦、古希、米寿、百寿の4つはどの滝を指すのだろうか。
貴受の滝までに還暦、古希の2つの滝がなければおかしい。ところが1つ(不動滝)のみ、還暦は取り敢えず置いておき、古希=不動滝とも考えられる。
次に米寿、賛綬の滝と蘇津授の滝の間になければならないが、この間全く平流でおおよそ滝と呼べるものはない。となるとこの間に右に分ける支流の滝を米寿に当てはめてもおかしくない。米寿=右俣の滝。
次に白寿、これは容易に御木奈の滝ではないかと想像できる。御木奈=翁、翁とは男の老人、年齢の限定こそないが100歳に当たる百寿と置き換える。
これで7つが合致。やはり還暦がない。以前には存在したが崩壊したか。例えば有名な和歌山の那智の滝は48滝あるとされているが、48個目の内陣の滝という名の滝は、修行者各自が内観すべきものとされるもので物理的に存在しない。これと同じように還暦がスタート地点を示し存在自体ないものなのか。
またこういう考え方はどうだろう。スタートは古希で、そこからスタートし7つ目の百寿(翁)の上にもう一つ8つ目の滝があるというもの。かなり7つの滝群から距離は離れて上流になるが、今回水量僅かではあるが2~3mの滝があるのを確認できた。これが8つ目。百寿100から先には大還暦120というものがあるらしい。120まで生きることはほぼ不可能に近いが大還暦という言葉と設定は存在する。この小滝が大還暦の滝という考えだ。7つの滝より離れた遠い存在ということで私はこちらの方が納得がいく。
まとめるとこうだ。
1. 古希70=不動の滝(別名として古希の漢字を別のものに当てはめたものがあるのではないか)
2. 喜寿77=貴受の滝
3. 傘寿80=賛綬の滝
4. 米寿88=右俣にある落差20mの滝(米寿の漢字を別のものに当てはめたものがあるのではないか)
5. 卒寿90=蘇津授の滝
6. 白寿99=葉九重の滝
7. 百寿(紀寿)100=翁=御木奈の滝
8. 大還暦120=上流の水量僅かな落差2~3mの滝
いかがだろうか。



光明寺出灰不動尊から入山します。


光明寺出灰不動尊から谷沿いの道を進むとこの「不動滝」に突き当たります。落差は4~5mくらい。修行の滝のようです。


不動滝を左から巻くと次にあるのが「貴受の滝」。落差はやっぱり4~5m。左岸に踏み跡があります。


続いては「賛綬の滝」。4mくらい。左を越えます。


「賛綬の滝」の上で谷は二俣となります。右俣にちょっと寄り道。5分ほどで落差20mほどの滝に出会えます。名称は不明。


二俣に戻り左俣を行きます。少し間隔を置いて落差5mほどの「蘇津授の滝」があります。ここから谷は急峻となり短い距離の間に滝が連続します。


「蘇津授の滝」から右岸の巻き道を登りますが、巻き道からは「葉九重の滝」の全景は見えないので、巻き道を上る前に蘇津授の滝の右側を少し登って葉九重の滝を鑑賞します。


右岸巻き道の上はゴルジュとなっていて、その奥にこの谷最大の「御木奈の滝」がかかっています。ちょっと水量が乏しく貧弱に見えますが、落差は10m少々ある立派な滝です。


御木奈の滝も細くあやしい固定ロープに頼りながら右岸の巻き道を登ります。


巻き道の途中から御木奈の滝を見下ろしたところです。


御木奈の滝上流は平流となりすぐに二俣。右の谷に進むと植林帯となります。


随分以前の倒木群が苔むして地面に緑の網が張ってあるように見えます。


植林帯と言っても手入れがされておらず結構荒れています。


ところどころにテープは巻かれていますが、あてにせず歩きやすいところを登ります。


上流にある小滝にはほとんど水がありませんでした。


そのまま谷を詰め、最後はポンポン山頂上に直登です。
天気はいいのですが霞んで遠くが見えません。写真は大阪方面。


西方面はまだ見渡せます。


北にはどっしりした愛宕山が見えます。この角度から見る愛宕は新鮮。


フクジュソウ観察園にて
思っていたより人がおらずゆっくり観察・撮影できました。


フクジュソウ観察園にて
ちょうどよい時期だったのではないでしょうか。


フクジュソウ観察園にて


フクジュソウ観察園にて


フクジュソウ観察園にて


フクジュソウ観察園にて


フクジュソウ観察園にて
ネコノメソウも花を咲かせています。


フクジュソウ観察園にて
たくさんの写真を撮ったのでたくさんあげました。


フクジュソウ観察園にて
肉眼では黄色い花がいっぱい見えるのですが写真ではわかりませんね。


リョウブの丘付近


リョウブの丘付近


出灰へ下ってきました。昨年の台風の倒木崩壊地です。


不動谷左俣の概略図ラフです。そのうち清書します。


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