父さんは、大胆にも
豆を一盛ずつ、近所に配り始めた。
「ええっ、食べられるの?」
という声を無視して。
すると、
ご近所の、そのまたご近所に
その豆の「正体」を知っている方がいた。
その豆は、「ささげ」という。
そのまま煮てもおいしいし、
干して小豆のようにしてから、
食べるのもおいしいらしい。
「食べられる」ことが分かり、
始めに食べられないと言っていたおばちゃんも
手のひらを返したように、
「来年はうちも植えよう」と言っていた。
いやはや、
私の料理が失敗したのもあって
騒動に拍車がかかってしまったものの
知らないって、こんなに滑稽なことなんだと思った。
あとから
笑い話になったからいいものの。
この秋1番のミステリーでした。