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【大塚雄三】孤独なレース

2021-06-05 08:51:54 | 小説・マンガ感想

タイトルを見る限りだとなんだかミスチル感が出てきそうですが、こちらは「CHARCOAL FILTER」のボーカルを務めていた大塚さんの作品になります。

 

ざっくりCHARCOAL FILTERについて説明すると、活動時期は1995年~2007年までで、代表曲は「Brand-New Myself ~僕にできること」や「はじけよう」など。聞いていただくとおそらく30代以上は、あのマッチのCMのやつだなと懐かしい気持ちになるであろう。

ボーカルを務めていた大塚さんの曾祖父が大塚製薬の創業者、そして家系が大塚製薬の役員で固まっているので、いわゆる"御曹司"として育てられたことになる。大塚製薬の商品のCMに出たのもその影響とも言われている。

 

本編は、チャコールフィルター解散後の大塚さんの波乱万丈な人生について語っております。

 

 

本に出会うまでご存じなかったのだが、大塚さんは2011年に香川県内の高速道路で交通事故を起こしていた。その時に重傷を負った大塚さんは救急搬送されることになるが、ご両親が医者に告げられたのは「もって、あと1時間」という余命宣告だった。

ご両親からしたら到底受け入れられない気持ちになったであろう。ただそこから昏睡状態を乗り越え、少しずつだが生きていることの「変化」を感じるようになる。

全部で3章あるが、1章は余命宣告を受けてから退院するまでの母の描写、2章はリハビリの日々を送る大塚さんについて、3章はリハビリの目標やゴールについて時系列で語られていた。全部で166ページと決して多くないが、その中に綴られているものはどれも重たく考えさせられるものばかりだった。

 

自分が同じ局面にあった場合、あるいは身近な人が同じ局面になった場合を想像しながら読み進めていった。自分だったらここまで強い気持ちをもってリハビリに臨めるのか、自分だったら強い気持ちで回復を見届けることができるだろうか。俺はその覚悟が持てるかどうかについて問われた時、間違いなく今なら「無い」と答えるだろう。だが覚悟が無くても、極端に言えば明日にでも覚悟を持たざるを得ない状況になるかもしれない。

 

一人で乗り越えることも必要になるし、周りのサポートが必要なことも出てくる。全てがうまくいかないと前には進まないので、大塚さんはすごく恵まれていたなと感じることができた。絶対にくじけない心があることでフルマラソンという目標にも前向きに取り組むことができたし、そこから次のゴールへとつなげることもできる。未曾有の事故をハンデと思わず、むしろ「できること」が増えていくことに充実感を感じる。そんな強い気持ちをはたして皆さんは持てるだろうか。

 

本誌にはリハビリのトレーニングメニューを載せているが、脳を刺激するトレーニングでは健全な方でもこれできんのか?と思うものもあった。だが本編でも記載されているが、「脳を活性化することによって脳を成長させる」ことが大切であり、普段使わない脳を刺激することにより新たな発見を促すことが期待できる。大分トリニータでも実践しているライフキネティックをやる目的もまさに同じこと。

 

「今」を大事にすること、そしてゴールを定めることで「今」がさらに充実したものになること。この本に出会って、生き方が変わったと思えるように今の生活を見直していきたい。

 

 

じゃこの辺で


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