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【樹島千草】神隠しの島で 蒼萩高校サッカー部漂流記

2022-12-17 20:23:45 | 小説・マンガ感想

フィクションだけど、人間関係の描写はサッカー部でなくても、スポーツをやってきた人にとっては共感できるものとなっていました。

 

<あらすじ(抜粋)>

冬の全国大会で準優勝という快挙を遂げた蒼萩高校サッカー部は、部員の父が持つクルーザーで祝勝会を開いていた。
みなが陽気に盛り上がるなか、控え選手だった陸は不思議な歌を聞いた気がした。
直後に大きな縦揺れがあり、甲板から海へ放り出され意識を失ってしまう。
そして目を覚ますと、陸は真夏の浜辺に倒れていた。
周囲にはチームメイトたちの姿もあった。
幼馴染みで正ゴールキーパーの黒田玄翔、卒業後プロ入りも決まっているストライカーの布施千隼、キャプテンで司令塔だった藤枝昌紀などのスタメン。
そして1、2年の部員たち。
合わせて10人が、気付けば季節も違う不可思議な浜辺で目を覚ましたのだ。
この島はどこなのか。助けは来るのか。なぜ季節が逆転しているのか。
それぞれに嫉妬や焦燥、不安に疑心を抱えたまま、無人島でのサバイバルが始まった!

 

 

登場人物それぞれに個性があり、学生ならではの上下関係は読んでいて懐かしさを感じた。結末はフィクションそのものになったが、それまでの無人島での過ごし方は先輩後輩の関係性、同級生の距離感を楽しむことができた。

主人公にあたる陸は3年間控え選手という立場でいて、同い年でありながら布施や藤枝との距離感は、控えを経験してきた人間にとっては共感できるものがあるだろう。陸としては提言したいことがあっても、キャプテンやエースであれば控え選手に指図されたくないプライドはきっとあるはずだ。

生き残ることを選ぶか、それともプライドを重視するか、描写の変化があるのかすごく興味を惹かれるものとなっていた。

 

冒頭にもあったように、題材はサッカー部であるが内容自体はどのチームスポーツをやってきた人にも共感できるはず。サッカーといっても登場人物のポジションはあっても、試合の描写は全くと言っていいほど無いのでサッカーのルールを知らなくても読むにあたり支障を来さない。

どの年代が読んでもそれなりに楽しめるけど、できれば現役の学生に読んでもらいたい。なんなら読書感想文のテーマにしてほしい。エゴを前面に出している学生がいれば、周りが見える人間にきっとなってくれるはずだ。

 

 

じゃこの辺で


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