HPS Japan -チャイルドフレンドリーな医療と環境の実現のため、奮闘している人たちのブログ-

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広島セミナーのご質問について

2011年12月22日 | 日記
日総研セミナーにおいて、障害のあるお子さんに対する
プレパレーションやデストラクションについて質問を頂きました。

私がお答えするよりも、障害のあるお子さんに対して日々
遊びの支援を行っているHPSに助言を頂く方が良いと考え、
お願いをした次第です。

以下、お返事が来ましたので、ご紹介をさせて頂きます。

障がいのある子どもに限らずですが、子どもの年齢や発達に応じて
変えていくというのが、プレパレーションの基本であると思います。

理解度、認知度も異なる子どもたちですから当たり前かも知れませんが、
病院で看護師さんたちが行われるプレパレーションで、
間違い易いのが『子どもが検査や手術について理解する』ということを
目的とされている場合が多いのではないでしょうか?

理解すると考えたときに、じゃあ、障害のある子どもにはどうしたら?
という疑問が湧いてくるのだと思います。

私が障がいのある子どもに、プレパレーション・ディストラクションを
実践していて心がけていることは、子どもが理解するではなく、
『子どもが納得する』ということです。

子どもが納得できるようにするには、何をしたらいいかを
まずは考えるところから始まります。

まずは、子どもについての情報をしっかりと取るということ。
しっかりというと、そんな時間はなかなか取れない、
急な検査や処置の場合は?と言われるかもしれませんが、
最低限この子は、①何が好きか、②何が嫌いか、この2点は
絶対必要な情報だと思います。

何のプレパレーションを行うか・・・採血の場合だと、
言語的コミュニケーションが難しい子どもが、
「血の検査」という一言を聞いただけで表情を硬め、
不安な姿になっていく場面によく遭遇します。

きっと一般の病院に行くと、この子どもたちは
プレパレーションも十分に行われないまま、採血されていたのだろうと
想像できます。子どもたちの中に、言葉の意味として、
採血=いやなこと、痛いこととして
インプットされていることが多いように感じます。

障がいのある子どもに検査や処置を行うときに心がけることは、
子どもたちの少しの反応も見逃さないようにすることだと思います。

そして、子どもに選択肢が与えられるようにすること、
その子どもの好きなものを用意すること(もちろん大好きなお母さんは必須です!)
いやなことはあるけれど、そこに好きなもの、好きなことがあることで、
ディストラクションにもつなげられます。
プレパレーションやディストラクションとプレイが切り離せないのはここにあります。


長くなりましたが、とにかくアドバイスとしては時間をしっかりとること。
情報収集、下準備、そして何よりスタッフとの関係づくりを重視することです。

緊急でない場合の採血や処置は、子どもの利益を最優先に考えて、
「今、絶対にこれをしないといけない?」
「子どもを泣き叫ばせて押さえつけなくてはならないほどの緊急性がある?」と
自問することです。

私が(看護師)困る、僕(医師)が困るではなく、子どもを一番に考えること、
これに尽きると思います。

そのためにも、このような思考ができる余裕が必要です。
子どもが受け入れられる(納得する)まで
『待つ』ということが必要だと思います。


まとめ)
①情報収集 
→この子は何が好き?嫌い?の情報を最低限知っていること
②子どもとの信頼関係づくり 
→嫌なことをいきなりする人ではなく、
まずは楽しいことを一緒にするところから始める
③待つこと
→子どもの反応をよく見ること、必要性を見極めること

以上の3点を心がけることで、障害のある子どもへの
プレパレーションもディストラクションもスタートしやすいと思います。


2011年12月22日
HPS・M.I

まっちゃん