HPS Japan -チャイルドフレンドリーな医療と環境の実現のため、奮闘している人たちのブログ-

本ブログは、HPS(ホスピタル・プレイ・スペシャリスト)に係る情報を発信しています。

「ホスピタル・プレイ入門」の書評を頂きました

2012年03月06日 | 日記
この度、IPAの奥田陸子先生より「ホスピタル・プレイ入門」(2010年,建帛社)
の書評を頂きましたので、下記のとおりご紹介をさせて頂きます。


「病院の子どもの遊び支援の専門職HPSは、プレイワーカーとどこが違う?」

 精神分析医ロバートソンが作成した「2歳児病院へ行く」というドキュメンタリー映画(英国、1962年)は人々に強いインパクトを与えました。昨日まで普通の家庭で普通に育っていた2歳の子どもが、入院という非日常の生活に押し込められることによって、三つの心理的段階を経て諦めと絶望に落ち込んでいく過程が、みごとに描き出された映画だったのです。遊びを含めた普通の生活が子どもにとってどんな意味を持ち、どんなに大切なものか。ロバートソンは、この映画とその後の研究によって、病院というひじょうに制約の多い環境で暮らさざるを得なくなった子どもには、特別の手厚い支援がないと、成長はストップし、退化も始まることを明らかにしました。その後とくに遊びの重要性に気がついた人々が、さまざまな実践を積み重ね、長い年月かけて、病院の子どもの遊び支援専門の職員HPSを養成し、配置するようになっていきました。

 HPSは、他のさまざまな職種の医療関係者とチームを組んで働きます。HPSとしての役目をうまく果たすためには、知識、技術、経験が必要です。まさに専門性が必要なのです。自分からは遊ぶ環境に近づけない病床の子ども一人ひとりに、その子が自分でやりたいことを選択できるようタイムリーに機会をつくっていくには、テクニックが必要なのです。
本書の編著者である松平千佳氏は、日本でもイギリスのHPSのような専門家を育てたいと考えて、ノーマ・ジュン-タイ氏を講師として招き、彼女の教育講演を基にして本書を作成しました。

 子どもの遊びの支援の重要性のことなら言い尽くしたと思っている人も、本書を読むと、改めて子どもの遊びに関わるおとなの役割を見直し、プレイワーカーとHPSを比べて考えてみようと思うのではないでしょうか。ご一読をお勧めします。



*注脚
IPA:
International Play Association(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)

奥田陸子氏:
IPA日本支部 事務局長