Takekida's log

千里の道も一歩から

人生最初の教育者は空腹である

2013-07-20 21:18:43 | Books
 ここ数週間ほど睡眠時間が3-5時間で推移していたこともあり子供が体調悪くしたタイミングで自分も体調を崩してしまいました。寝ることでかなり回復しましたが段々とごまかしも効かなくなってくる年頃なので要注意です。

食欲の科学 (ブルーバックス)
クリエーター情報なし
講談社


1日3回以上人間が感じる空腹、食欲について分析した本です。この記事のタイトルはマックス・ウエーバーの言葉ですが教育というのが道徳的な観点から行動規範を定めるものと定義するのであればまさに空腹というのは最初の食べるということの行動の動機となり、行動の仕方を教えてくれる教育となるということを示唆しています。 元来、生物は飢えに苦しめられてきたことから摂食行動のシステム自体は飢えによりよく対処できるように進化してきたものですが飢えることがなくなった人間は生体システムがうまく進化できず肥満や過食症、拒食症といった問題を引き起こしてしまっています。ということで人間にとっては食欲というのは生体的なものというよりは脳の作用により生み出されているものというのが明らかになってきています。すなわち空腹というよりはおいしいという報酬を得るために食欲がが生じているということです。
 肥満に関する研究でもっとも初期にブレークスルーがあったのはレプチンというホルモンで欠損した遺伝子を持つ人は満腹感を感じられないという病気を持つことが明らかになっています。ただ一般的には肥満の人の方がレプチンを多く持っていることからレプチンが減少すると空腹を感じるという側面が大きいようです。このレプチンは神経細胞に対して食欲を抑制するように作用するため不足すると空腹を感じるという作用が出るようです。ただこれは中長期的話で短期的には血糖値がきいているとのこと。グルコースを感知する神経細胞が脳内にあるようです。これが食欲としては約半分?を占めて残りは報酬系の作用によるものということ。 その他、簡単な質問に対する回答も本の中に用意されています。
食べ過ぎにならないためには?
 ・ながら食いをしない 満腹中枢、側坐核に報酬を与える
 ・ゆっくり食べる   血糖値上昇を脳に感知させる
 ・よく噛む      視床下部でのヒスタミン分泌促進
 ・夜8時までに食べる  交感神経優位なので基礎代謝が高くカロリーが消費されやすい
 ・水分を十分にとる   グレリンの分泌を抑制
腹時計の正体は
 おなかが鳴るのはレプチンと逆の作用をする(食欲を感じさせる)グレリンが消化管活動を促進させるため
時間的に空腹を感じるようにになるのは生物に備わった生体時計のせいだがまだメカニズムは完全には明らかになっていません。
おなかがすいていると眠れないのはなぜ?
 覚醒に作用するオレキシン作動性ニューロンが血糖値の変動と連動しているから。
血糖値が下げると覚醒するような仕組みがあるようす。これは空腹時に餌を探すようになっている生物の仕組みが備わっているからの可能性が高いです。
別腹はあるのか
 前述したように空腹によるものと報酬の作用によるものがあるため報酬予測誤差=見た目や舌触りなど違うものが出てきた場合に別の報酬系が働くことで十分食欲が発生する可能性はありますということで別腹は十分にありうる話。


思えば自分の食欲のピークは大学生のころでした。3色を生協で食べて研究室から帰って寝る前にもコンビニの弁当を食べるなど今考えるとすごいカロリー摂取でしたが最近は運動量が減ったこともあり、ずいぶんと食べる量も減りました。やはり自分にとっては食欲は体が欲しているものという側面が大きいようです。
子供と過ごしていると食欲というのがいかに人間の精神状態に影響を与えているかを思い知ります。
食は人を良くするというように書きますが食べ物を楽しめる人生にしていきたいと思います。
 
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2 Comments

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歳とともに (まっつん)
2013-07-21 19:22:01
年齢を重ねるにつれ、空腹を感じるタイミングを多く感じます。というわけで、食べ過ぎ→増量路線まっしぐら
歳とともに食べ物を欲する気持ちが強くなるのは、体力が落ちている→生命力が低下している証拠なんでしょうか?
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Unknown (たけきだ)
2013-07-26 21:25:18
そうなんですね。自分は逆のことが多いのでうらやましい気持ちです。 むしろ体が欲しているというサインなので若返っている証拠なのでは?と思ってしまうのですがいかがでしょう。
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