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千里の道も一歩から

認知バイアスという名の勘違い

2024-01-06 22:14:06 | Books

勘違いが人を動かす――教養としての行動経済学入門 

エヴァ・ファン・デン・ブルック (著), ティム・デン・ハイヤー (著), 児島 修 (翻訳) 
 以前、Nudge で読んだ内容ともやや被るのですが人間の選択と行動を左右してしまう認知バイアスについて多方面にわたって解説された本です。もともとオランダでの原著ではハウスフライ効果というマニアックな?名前だったのですがこれはかの有名な男性の小便器にハエを描いて掃除を減らせたという効果のこと。認知バイアスを用いた改善例として取り上げられています。
 その他にも自分を中心に考えてしまう事例、取られたくない選択肢を面倒くさくすることで選択されにくくしたり、一旦手に入れたものを手放すことをためらう損失回避の志向を利用したサブスク、選択の可能性が減ることを嫌がることを利用する閉店セール、人と同じことで安心させる広告など。人とのやり取りには周りとの違いを浮きだたせ、共通点を見つけ、フレーミング、物語で説得力をつけることが効果的。人はお金で動くのでなく承認欲求で動くことなどなど。
 認知バイアスというのは人間の偏見や勘違いと理解するのが良いのかと思いますがいくら頭の中でわかっていたとしても逃れにくいというのと逆に狙いを知らなければ当然ながら引っかかってしまうことが多い仕掛けになります。人間が理想的に合理的であれば、感情だけで動くのであればこういったものは生じないのですがここら辺は人間が生き残るためにいかに判断を早くするかという観点で培われたものがDefaultとして残ってしまっているというのがあるのかと思います。実際のところこの認知バイアスを利用したマーケティングというのも行われているわけですがまだ社会全体として良い方向に活用するという方向にまで活用されているかというとまだまだなところはありそうです。というのもある程度、倫理性も求められる部分があるのでグレーゾーンになっている部分もあるのでしょう。ただより良い方向性に向かわせたいときの効果的かつ重要な手段として頭の中に入れておくのが良いのかと思います。

■はじめに
「論理」よりも「情熱」よりも、「人を動かす」もの
人を動かす「ハウスフライ効果」と認知バイアス
「行動科学」を効果的に使うための注意点

■第1章 脳に騙される私たち──自分にとって都合のいいことばかり考えてしまう理由
「私だけに当てはまる!」と誰もが思っている
「頭で考えて動く人」と「直感的に動く人」は決定的に違うのか?
無知な人より、知識が豊富な人のほうが自信を持てない理由 …など

■第2章 なぜ人は怠けてしまうのか──「面倒くさい」を脱し「すぐやる人」になる方法
「20ドルもらうために27ドル払う」人
自殺者すら減らす「面倒くさい」の力
「なぜなら」と言うだけでうまくいく …など

■第3章 「想像の痛み」から逃げたい──不安やストレスに振り回されない技術
「お金を使う」のは身体的に痛い
「経済的な不満」を感じると、人は食べ過ぎてしまう
病気にかかるよりもワクチンの副作用が怖い …など

■第4章 「人と同じ」じゃないと不安──「同調」と「社会性」を使いこなす
なぜ私たちは「限定」に弱いのか
「良くない行動」を指摘しても改善されない理由
「いいこと」を言う人は「いいこと」をしない …など

■第5章 「今すぐ欲しい」が「まだやりたくない」──「時間」を効率的に使うコツ
スーパーが「野菜売り場」から始まるのはなぜ?
「終わりよければすべて良し」は科学的に正しい
「先延ばし」をやめて「すぐやる人」になる方法 …など

■第6章 知らぬ間に注目している──誘惑の仕組みを利用する
iPodに「白いイヤホン」をつけたアップルの戦略
自己紹介の目的は「共通点」を探すこと
頭のいい人が「喩え」をうまく使う理由 …など

■第7章 報酬はどう与えるべきか──「アメとムチ」をうまく使うために
報酬が「逆効果」になる場合もある
「搾取された」と感じるだけで、心臓病につながる危険がある
「お金が絡む職業の人」は、不正をしやすいのか? …など

 

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