Takekida's log

千里の道も一歩から

天才の作りかた

2009-08-01 14:44:09 | Training
大会も終了し今週末はお休み。練習再開は来週から。

天才! 成功する人々の法則
マルコム・グラッドウェル
講談社

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急に売れ始めるにはわけがあるのクラム・グラッドウエルの書いた本。
英題は「OUTLIERS -The Story of success-」でOutlierというのは統計でいう外れ値のこと。半導体だと異常に値が高くなっているものをハイフライヤーとか言ったりしますが日本語で言う「出る杭」こそが天才といわれるような人たちなのだと思います。
この本はそんな天才が天才になるに至った経緯を分析した第1部と文化的背景が個人に対して与える影響を分析した第2部から成っています。

内容を簡単にまとめてしまうと
生まれながらの天才というのはいないということ。かといって天才は努力だけで出来るわけでもなく、周りの環境や生まれた時代の背景に強く影響されているということです。誰もが認める天才という人は単に個人的資質と努力だけでなくあらゆる条件とチャンスが恵まれてそれが成功へのスパイラルになって続いているということがポイントです。

●マタイ効果
 もてるものはさらに裕福になり持たざるものは持っているものを取り上げられる

 アイスホッケーの世界では有力選手はほとんど1月~2月生まれ。
これは年齢を区切る日が1月1日になっているため若いうちからの教育の際にくぶんから近い年齢の人は体が大きく有利⇒能力の高いクラスへの選抜⇒レベルの高い練習で力をつけるという循環が起こるためと考えられる。同様なことが教育でも発生する。幼い頃の能力差が大人になるまで残るというのは良く見られていることで成功が社会のシステムに左右されるという一例。

●1万時間の法則
 成功するためには10000時間の努力が必要ということだが(以前取り上げました⇒コチラ)この本はもちろん個人の努力が必要だというのは認めているのですがそれだけでなくその努力を行うことのできる環境が整備されているということにも注目しています。ビルジョイ、ビルゲイツ、スティーブジョブスはPCの個人向けキットが売り出された1975年に20から21歳になっていたという好機を得ていたというのも事実。10000時間の努力は成功のための十分条件に過ぎないということ。

●IQと天才の関係
 常に天才といわれる人がIQが高いわけでないしIQが高いからといって成功するわけではない。なんとなく分かっていることですが実際に幼少期にIQの高かった子供を追跡調査することによりもちろんある程度のレベルまでの相間はあるのですが高いIQが社会的成功の必要条件でないことを示してます。
実際のところ世の中で役に立つのは知能にまして知識。ある程度、親の職業など後天的なものに左右されてしまうようです。

●文化の遺産
 個を持っていると思っても結局は民族的な背景に影響されていることがある。韓国は上下関係が厳しいことからパイロットの意思疎通がうまくいかず事故が多発したことがある。稲作を行うアジア人は粘り強い風土があり、数学でも良好な成績を納めることが多い。あとは数字の数え方が英語と比べるとはるかに短いことも暗算能力が高くなることと相間がある(十五とフィフティーンではどちらがシンプルか)
●学力格差と機会均等
 子供学力格差はどこで生まれるか。
 アメリカでの調査によると家での勉強時間が大きなウエイトを
 しめているという話である。これは裕福な家庭ほどという相間つき、やはり
 親がある程度、生活に余裕があり、教育熱心であることが必要な条件であるようだ。
 ただ機会を平等にすれば伸びる可能性は同じ。教育制度も貧富で差が出来てしまうようでは国としても伸びる機会を半減させてしまっている。
 子供の教育格差が問題になりつつありますが貧困の連鎖を防ぐためには子供を持つ家庭への所得の再配分が重要になると思います。子供を生んでも苦労するだけになってしまったら希望が見えません。
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