遊廓と日本人 (講談社現代新書) 田中優子 (著)
鬼滅の刃でも取り上げられた遊郭について生業や歴史的な立ち位置と実情などについて解説された本です。正直なところ遊郭って何?と子供に聞かれても正確に答えられないという人も多かったと思います。自分もその一人でしたし、このような世俗的ともいえる事柄はなかなか歴史の授業でも取り上げられないので興味深い内容でした。 もともとは芸能者が集められた場所であり、その延長として接待が始まったということですが別の側面としては文化を伝承する一つの場というのがあったようです。 芸能者が集められたということもあり、書を習い、手紙を書くほどの文章力もあり、俳諧や和歌を客とともに楽しんでいたようです。三味線、琴、踊り、茶の湯、生花なども1芸として身に着けていたり、髪や衣装や香木なども自分で選び、もてなしのための会話術を磨いたりといった教養人としても横顔も見えてきています。お客の側もそういったレベルに合わせることが求められたわけである意味、1つの文化の伝承の役割を果たしていたとも言えそうです。働いていた人は借金のために拘束、強制労働をさせられていたわけで決してその存在を肯定できるものではないですがこういった歴史があったことは認識して伝えるべきだと思いました。
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