つまをめとらば (文春文庫) | |
クリエーター情報なし | |
文藝春秋 |
つまをめとらば (文春文庫) –青山 文平 (著)
2016年第154回直木賞受賞の作品。歴史小説はあまり読まないですが文庫にされたこともあり読んでみましたが非常に味わい深い内容でした。6編の短編集があつまったもので「つまをめとらば」はそのうちの1編のタイトルになります。つまをめとらばは独身貴族の結婚問題を描いた内容です。しかも50過ぎではあるのですが結婚する自由、しない自由というのを考えさせられる内容です。
青山さんの小説は江戸時代中期―後期が中心、江戸時代はあまりにも安定しすぎたために途中から武士は存在意義に関して大きな葛藤があったものと思うのですがなんだかその姿は現代の私たち(サラリーマン)に似ているような気もします。つまりは大きな目標があり、毎日を必死に生きてきた時代だったものが、もはや固定された身分などは期待できず不合理に時代の変化に泣く姿、もちろん江戸時代とは生活の便利さは比較にはなりませんがいわばそのころのロールモデルを失い右往左往する姿は現代に通じるものがあると思います。
取り上げられている問題は結婚、離婚、恋愛、出世など現代に共通するような話題が出てきます。特に女性の視点が入っている点が新鮮でむしろ主人公ではないのに女性がキーになっているところが多いと思います。このころは現在のように女性の地位というのは高くなかったことは予想されますが、それでもなお、人生に迷いながらも強く、したたかに生きる姿が描かれているように思います。そこら辺は今でも言えるのですが女性の方が逆境には強いように描かれています。結局は色々な境遇があろうとも自身に対峙することでしか人生は進まないというのを人割と感じさせてくれる小説でした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます