Rー50人生100年時代の私のライフデザイン。定年後の定年のない人生。終身フリーランス。

Rー50、50歳未満入場禁止。年金に頼らず楽しく仕事を続けていくためには、しっかりしたライフデザインが必要です。

R-50 ライフデザイン:「裕次郎、やめるってよ」(5)- 裕次郎の格闘

2024年05月26日 08時21分32秒 | 裕次郎やめるってよ
できるだけ「裕次郎、やめるってよ」(1)から読んでほしい。これは中高年の再就職物語。
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私の上司となった伊良部こと裕次郎の席は私の隣。

裕次郎は話好きで仕事中、私に話しかけてくるのはもちろんのこと、他の部署に所用で行くと30分は帰ってこない。

例えば来客用の会議室を予約するために受付に行くとそこで話しこむ。

その間に来客があってもお構いなし。そもそも会議室はネットで予約できる。

そんなこんなで裕次郎の話好きは日々有名に。

よく話をする年寄り、場合によっては独り言を言う年寄りの背景(原因)として考えられるのは、一人暮らしで話し相手がおらず、人と会うと長話がしたくなるというもの。

しかし、裕次郎は結婚していたはず。

裕次郎いわく、二人は「仮面夫婦」とのこと。奥さんは介護施設で働いており、すれ違いが多く夫婦の会話は極めて少ないのだそうだ。

「会えない時間が愛を育てる」ってことはないらしい。

ほぼ一人暮らし。

その状態で会社に来て話し相手が無限にいるので、うれしくてたまらないのであろう。ついつい長話に。

そんな裕次郎がおしゃべりの合間に格闘していたのが、パソコン(PC)だ。

通信系の会社に勤めていたのでパソコンは十分使いこなしていたはず。

ただ、この職場では関連部署に自分で連絡し、様々なアプリを自分で入れ、使いこなせるようにしなければならない。

私も含め周りの人間もある程度お手伝いするが、基本は不十分な英語マニュアルを見たり、英語で電話して相談したりと骨の折れる作業になる。まあ、新入社員の最初の修行なのだ。

また、マネーロンダリング対策、社内通報制度、ハラスメント対策、フィッシング詐欺対策などなど20種類程度のウエブ教育を一か月以内に修了させる必要があった。

これらはすべて英語で作成されており、確認テストで80点以上とらないと修了できない。

また、期日までに終わらない場合は上司に連絡が行き減点評価となる。

英語の苦手な社員は、翻訳ソフトを駆使して何とかクリアする。

裕次郎もおしゃべりの間にパソコンと格闘していたが、入社一か月後くらいには、おしゃべりの合間に一瞬暗い表情を見せるようになった。

<格闘する裕次郎。映画「風速40メートル」より>
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R-50 ライフデザイン:「裕次郎、やめるってよ」(4)- 裕次郎の身だしなみ

2024年05月18日 22時26分45秒 | 裕次郎やめるってよ
できるだけ「裕次郎、やめるってよ」(1)から読んでほしい。これは中高年の再就職時物語だ。
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私の上司となった伊良部こと裕次郎の席は私の隣。

人懐っこい関西人らしく仕事中よく話しかけてくる。また、私のくだらないオヤジギャグにものってくれる。

昨年、7月にこの職場に来て以来、ピンでやってきたが、ようやくいい相方ができた感じだ。

裕次郎の年齢は私と同じくらいとアカウントマネージャから聞いていたが、実はそれは大きな間違い。

なぜなら私の本当の年齢を知っているものはおらず、周りには十歳ほど少なめに言ってあるからだ。

「そんなことできるの」と言われそうだが、履歴書などは出しておらず、できているのだ。

本人がいうのもなんだが、実際、見た目はウシガエルのような伊良部こと裕次郎より若い。

裕次郎の体形は前回お知らせしたが、事務所内での服装は、グレーのシャツにグレーの毛糸のベスト、それにグレーの太めのズボン。

毎日、同じで服装で、ベストの背中とお腹のあたりは擦り切れて薄くなり中のシャツが見えている。

シャツもグレーだが、同じグレーでも濃さが違うので目立つのだ。

そして、椅子に座ると靴を脱ぐ。

私がこの業界に入るために修行をしたブラック企業は低賃金であったが、こんな服装の人はいなかったよ。

裕次郎は先日までだれもが知っている大手通信会社の社員だったひと。

金がないわけではなく、何らかの理由で身だしなみに気を遣わなくなってしまったのであろう。

普通は、新しい職場に行くとなれば、それなりに気を使うと思うのだが。奥さんは?

ちなみに奥さんとは仮面夫婦だとか。

しばらくしてアカウントマネージャーからそれとなく注意されたそうで、ベストは新しい「グレーのベスト」に変わった。

裕次郎、もっと慶応ボーイらしくしろよ。

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R-50 ライフデザイン:「裕次郎、やめるってよ」(3)- 裕次郎登場

2024年05月12日 10時23分55秒 | 裕次郎やめるってよ
仕事始めは1月4日(木)であったが、私がいたブラック企業とは異なり、この週いっぱい休む人もいて、全員が揃ったのは翌週の9日火曜日であった。

朝礼でマネージャーから、「本日、午後、新しいエンジニアリードの裕次郎がきます」とアナウンスがあった。
(*エンジニアリードとは、エンジニア部門のリーダーあるいはマネージャのこと。犬の散歩に使うリードではない)

もちろん、裕次郎ではなくXXさんと呼んでいたが、石原ではなかった。

このチームは若い人が多いので裕次郎と聞いても特別なイメージを浮かべるものはいないが、私や50歳を超えた渡部(わたべ)にはイメージができあがっていた。

昼食から戻ったけだるい午後2時ごろ裕次郎が颯爽と現れた。

上からいこう。白髪と黒髪が混ざった遠目にはグレイに見える散髪していない長めの髪。

いかにも精力が強そうな横に広い大きめの鼻。

ズボンのベルトの上にどっぷりと乗った腹。体内脂肪率50%越え。

その重みでズボンのベルトは床と水平ではなく、前方に大きき傾いている。

その腹を支える短めの脚は太めのズボンで隠されていた。

う~ん、まるで伊良部。

石原裕次郎のイメージは皆無。むしろ奥田英朗の小説『空中ブランコ』の主人公「伊良部」だ。

「え~、今日からお世話になります伊良部、いや、裕次郎、いや、XXです。このとおり年はいっていますが、新人のつもりで・・・・・」と型通りのご挨拶。

しかも関西なまり。

イメージとかけ離れた外資っぽくない裕次郎が入ってきたと、挨拶を聴く先ほどの渡部(わたべ)が目で言っていた。



『空中ブランコ』とは、Amazonの説明より。
伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。
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