皆様こんばんは。
ツイッターの日本棋院若手棋士アカウントは、大西竜平二段に代わり、昨日から外柳是聞二段が担当しています。
それぞれの棋士の素顔が垣間見え、個人的にも楽しませて貰っています。
皆様もぜひご覧ください。
さて、本日は賀歳杯新春争覇戦が開幕しました。
初戦は井山裕太九段と中国の柯潔九段の組み合わせになり、見事井山九段が勝利!
優勝に向けて大きく前進しました。
それでは、振り返って行きましょう。
なお、この対局は幽玄の間にて、柳時熏九段の解説付きで中継されました。
井山九段の活躍を、ぜひ総譜でご覧ください。
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1図(実戦白30)
井山九段の黒番です。
白△と、左辺黒にプレッシャーをかけた場面です。
普通ならA~Cなど、まずは左辺の黒を守る事を考えます。
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2図(実戦黒31)
しかし、構わず黒1の押し!
攻められるものなら攻めてみろ、と宣言しました。
気合の一手ですね!
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3図(実戦黒43~白52)
黒1まで、さほど苦労せずに治まっては、井山九段の構想通りでしょう。
しかし、勝負はまだまだこれからです。
白4~10と中央を盛り上げ、第2ラウンド開始です。
そして、ここで井山九段が思わぬところから仕掛けます。
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4図(実戦黒53~白60)
なんと、黒1の割り込みから愚直に切断!
白8までとなると、左辺の黒が痛みますから、普通は考えない打ち方です。
次に黒Aと守れば白もBと守り、これは黒が空振りでしょう。
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5図(実戦黒61~黒63)
しかし、左辺の黒が死なない事は当然読み切っており、黒3に回りました!
この線を強引に突破して、周囲の白を攻めようという作戦だったのですね。
井山九段らしい、力強い打ち回しです。
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6図(実戦白88~白90)
と言っても、もちろん白を取るような事はできません。
白1に黒Aと押さえると白Bに切られ、黒無理です。
しかし、ここまでの進行で黒は地を得しており、元々黒△は捨てて地の勝負に切り替える予定だったでしょう。
白3の後、私の予想は黒Cでしたが・・・。
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7図(実戦黒91~白92)
ここで黒1と、一見そっぽのような方向に行ったのは驚きました。
右下黒がまだ治まっておらず、白2と打たれてはおかしいと感じました。
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8図(参考図)
右上は白2と打たれても、黒3という有名な手筋があります。
黒△のどちらからもケイマにあたるこの手で、左右を連絡できているように見えます。
黒地が減るものの、この程度では大した事は無さそうです。
しかし、井山九段が打ったからには、理由がある筈・・・。
そこで初めて気が付きました。
これ、渡れていませんね。
白から上手い手筋があるのです。
明日の題材にするので、皆様もぜひ考えてみてください。
この碁は1手30秒に考慮時間10回という、所謂NHK杯方式で打たれています。
その短い時間の中で、冷静に前図黒1と打てるのは流石ですね。
私などはうっかり本図のように進み、後でアッと叫ぶ可能性大です。
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9図(実戦白92~黒101)
白1から中央を厚くされては、一見すると黒がつらく感じます。
しかし、黒10がピッタリだというのですね。
白模様を消しながら白△を取り込もうとする、一石二鳥の好手です。
どうやらこれで、形勢は黒が良さそうです。
結果は黒中押し勝ちですが、最後まで打てば盤面11目、コミ7目半なので黒3目半勝ちとなります。
井山九段の大局観が光った好局だと思います。
なお、明日30日は中国の柯潔九段と韓国の朴廷桓九段が対戦します。
勝者と井山九段が31日に決勝戦を打ち、勝った方が優勝となります。
また、明日は第20期女流棋聖戦第2局も行われます。
こちらは午前10時30分の開始となっております。
どちらも幽玄の間で中継されますので、ぜひご覧ください。
ツイッターの日本棋院若手棋士アカウントは、大西竜平二段に代わり、昨日から外柳是聞二段が担当しています。
それぞれの棋士の素顔が垣間見え、個人的にも楽しませて貰っています。
皆様もぜひご覧ください。
さて、本日は賀歳杯新春争覇戦が開幕しました。
初戦は井山裕太九段と中国の柯潔九段の組み合わせになり、見事井山九段が勝利!
優勝に向けて大きく前進しました。
それでは、振り返って行きましょう。
なお、この対局は幽玄の間にて、柳時熏九段の解説付きで中継されました。
井山九段の活躍を、ぜひ総譜でご覧ください。
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1図(実戦白30)
井山九段の黒番です。
白△と、左辺黒にプレッシャーをかけた場面です。
普通ならA~Cなど、まずは左辺の黒を守る事を考えます。
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2図(実戦黒31)
しかし、構わず黒1の押し!
攻められるものなら攻めてみろ、と宣言しました。
気合の一手ですね!
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3図(実戦黒43~白52)
黒1まで、さほど苦労せずに治まっては、井山九段の構想通りでしょう。
しかし、勝負はまだまだこれからです。
白4~10と中央を盛り上げ、第2ラウンド開始です。
そして、ここで井山九段が思わぬところから仕掛けます。
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4図(実戦黒53~白60)
なんと、黒1の割り込みから愚直に切断!
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次に黒Aと守れば白もBと守り、これは黒が空振りでしょう。
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5図(実戦黒61~黒63)
しかし、左辺の黒が死なない事は当然読み切っており、黒3に回りました!
この線を強引に突破して、周囲の白を攻めようという作戦だったのですね。
井山九段らしい、力強い打ち回しです。
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6図(実戦白88~白90)
と言っても、もちろん白を取るような事はできません。
白1に黒Aと押さえると白Bに切られ、黒無理です。
しかし、ここまでの進行で黒は地を得しており、元々黒△は捨てて地の勝負に切り替える予定だったでしょう。
白3の後、私の予想は黒Cでしたが・・・。
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7図(実戦黒91~白92)
ここで黒1と、一見そっぽのような方向に行ったのは驚きました。
右下黒がまだ治まっておらず、白2と打たれてはおかしいと感じました。
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8図(参考図)
右上は白2と打たれても、黒3という有名な手筋があります。
黒△のどちらからもケイマにあたるこの手で、左右を連絡できているように見えます。
黒地が減るものの、この程度では大した事は無さそうです。
しかし、井山九段が打ったからには、理由がある筈・・・。
そこで初めて気が付きました。
これ、渡れていませんね。
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白から上手い手筋があるのです。
明日の題材にするので、皆様もぜひ考えてみてください。
この碁は1手30秒に考慮時間10回という、所謂NHK杯方式で打たれています。
その短い時間の中で、冷静に前図黒1と打てるのは流石ですね。
私などはうっかり本図のように進み、後でアッと叫ぶ可能性大です。
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9図(実戦白92~黒101)
白1から中央を厚くされては、一見すると黒がつらく感じます。
しかし、黒10がピッタリだというのですね。
白模様を消しながら白△を取り込もうとする、一石二鳥の好手です。
どうやらこれで、形勢は黒が良さそうです。
結果は黒中押し勝ちですが、最後まで打てば盤面11目、コミ7目半なので黒3目半勝ちとなります。
井山九段の大局観が光った好局だと思います。
なお、明日30日は中国の柯潔九段と韓国の朴廷桓九段が対戦します。
勝者と井山九段が31日に決勝戦を打ち、勝った方が優勝となります。
また、明日は第20期女流棋聖戦第2局も行われます。
こちらは午前10時30分の開始となっております。
どちらも幽玄の間で中継されますので、ぜひご覧ください。