皆様こんばんは。
明日29日(日)から3日間に渡って、賀歳杯新春争覇戦が行われます!
日本からは井山裕太九段、中国からは柯潔九段、韓国からは朴廷桓九段が出場します。
各国のナンバーワンが揃った、頂上決戦です!
幽玄の間で中継されますので、ぜひご覧ください。
さて、本日はMaster(黒)と孟泰齢六段(中国)の対局をご紹介します。
この碁はある理由により、60番碁の中でもよく知られているのですが・・・。
まずは順を追って見て行きましょう。
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1図(実戦)
途中までは第5局と、そして黒1までは第7局と同一の進行です。
第7局では黒1に対して白Aでしたが、黒Bと攻められて苦戦しました。
そこで本局は白2と、黒の弱点を衝いて行きました!
やられる前にやってしまえ、といった所でしょう。
急所の切りであり、部分的には黒が困っている形です。
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2図(実戦)
しかし、黒は△の4子をあっさり捨てて隅で生き、先手を取って黒9の絶好点に回りました。
元々下辺の白は生きており、そこから黒石を取っても、大した事は無いと言っているのですね。
また、右下黒〇のシマリが良い所にあり、白の厚みの働きを牽制している事も判断材料です。
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3図(実戦)
その後、左下黒△と生きた場面です。
白△の集団が、あまり役に立っているように見えません。
下辺と繋がった厚みのように見えるかもしれませんが、黒Aと飛び出す手が残っています。
一方周辺の黒石には無駄が無く、形勢は黒リードでしょう。
そこで、実戦は白Bを利かしに行きましたが、これは形勢に対する危機感の表れでしょう。
しかし、黒Cと反撃されて・・・。
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4図(実戦)
その後、黒△までと進行しました。
上下を真っ二つに裂かれ、白が苦しそうに見えますね。
しかし、ここから意外な変化が起こります。
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5図(実戦)
なんと、要石と見えた黒△を捨ててしまいました!
白への攻めを放棄する事になるので、普通はこういう打ち方は考えません。
しかし、白△を取り、右辺黒1、3にも回れれば十分と見ているのですね。
この割り切り方、いかにもAIといった印象です。
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6図(実戦)
白1と中央を囲いに来ますが、黒2から白4子を取って十分という事ですか。
なるほど、なるほど・・・。
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7図(実戦)
と思いきや、なんと白1に手を抜き、黒7子を抜かせてしまいました!
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これが問題の場面です。
この黒の打ち方、明らかに損をしているのです。
これについては、解釈の余地はありません。
ひょっとしたら、Masterの数少ない弱点なのではないかと思いました。
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8図(参考図)
黒1の点を急ぎたいのなら、何もせずに打てば良いのです。
余計な事をしなければ、例えば白2と手を入れられたとしても、黒4子は盤上に残ります。
黒Aなどを利かしに行く事もできますし、場合によっては黒Bからの脱出も狙いになります。
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9図(参考図)
そして、一度取りに行った以上は途中でやめるべきではなく、7図黒2では本図黒1と取るべきです。
白2と打たれても、黒3から進出する余地がありますし、黒AやBからの侵入も成立します。
謎のミスでしたが、後日真相が明らかになりました。
なんと、操作ミスだったとの事です!
凄まじい能力を持つAIですが、対局の際は人間のオペレーターが着手を入力していたそうです。
まさかのアナログ要素がありました。
そして、どうやらMasterの指示と違う手を入力してしまったようです。
それを聞いて納得しましたが、Masterの弱点では無かった事は少し残念でした(笑)。
この手のミスが全60局中2回あったそうですが、数千手の中の2手で済んだのであれば、むしろ褒められるべきかもしれませんね。
ちなみにもう1手は、我らが井山裕太六冠との対局に現れました。
一部で絶賛された手だったのですが・・・(笑)。
しかし、その碁は39局目なので、当ブログでのご紹介は当分先になりそうです。
明日29日(日)から3日間に渡って、賀歳杯新春争覇戦が行われます!
日本からは井山裕太九段、中国からは柯潔九段、韓国からは朴廷桓九段が出場します。
各国のナンバーワンが揃った、頂上決戦です!
幽玄の間で中継されますので、ぜひご覧ください。
さて、本日はMaster(黒)と孟泰齢六段(中国)の対局をご紹介します。
この碁はある理由により、60番碁の中でもよく知られているのですが・・・。
まずは順を追って見て行きましょう。

1図(実戦)
途中までは第5局と、そして黒1までは第7局と同一の進行です。
第7局では黒1に対して白Aでしたが、黒Bと攻められて苦戦しました。
そこで本局は白2と、黒の弱点を衝いて行きました!
やられる前にやってしまえ、といった所でしょう。
急所の切りであり、部分的には黒が困っている形です。

2図(実戦)
しかし、黒は△の4子をあっさり捨てて隅で生き、先手を取って黒9の絶好点に回りました。
元々下辺の白は生きており、そこから黒石を取っても、大した事は無いと言っているのですね。
また、右下黒〇のシマリが良い所にあり、白の厚みの働きを牽制している事も判断材料です。
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3図(実戦)
その後、左下黒△と生きた場面です。
白△の集団が、あまり役に立っているように見えません。
下辺と繋がった厚みのように見えるかもしれませんが、黒Aと飛び出す手が残っています。
一方周辺の黒石には無駄が無く、形勢は黒リードでしょう。
そこで、実戦は白Bを利かしに行きましたが、これは形勢に対する危機感の表れでしょう。
しかし、黒Cと反撃されて・・・。
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4図(実戦)
その後、黒△までと進行しました。
上下を真っ二つに裂かれ、白が苦しそうに見えますね。
しかし、ここから意外な変化が起こります。
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5図(実戦)
なんと、要石と見えた黒△を捨ててしまいました!
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白への攻めを放棄する事になるので、普通はこういう打ち方は考えません。
しかし、白△を取り、右辺黒1、3にも回れれば十分と見ているのですね。
この割り切り方、いかにもAIといった印象です。
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6図(実戦)
白1と中央を囲いに来ますが、黒2から白4子を取って十分という事ですか。
なるほど、なるほど・・・。
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7図(実戦)
と思いきや、なんと白1に手を抜き、黒7子を抜かせてしまいました!
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これが問題の場面です。
この黒の打ち方、明らかに損をしているのです。
これについては、解釈の余地はありません。
ひょっとしたら、Masterの数少ない弱点なのではないかと思いました。
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8図(参考図)
黒1の点を急ぎたいのなら、何もせずに打てば良いのです。
余計な事をしなければ、例えば白2と手を入れられたとしても、黒4子は盤上に残ります。
黒Aなどを利かしに行く事もできますし、場合によっては黒Bからの脱出も狙いになります。
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9図(参考図)
そして、一度取りに行った以上は途中でやめるべきではなく、7図黒2では本図黒1と取るべきです。
白2と打たれても、黒3から進出する余地がありますし、黒AやBからの侵入も成立します。
謎のミスでしたが、後日真相が明らかになりました。
なんと、操作ミスだったとの事です!
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凄まじい能力を持つAIですが、対局の際は人間のオペレーターが着手を入力していたそうです。
まさかのアナログ要素がありました。
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そして、どうやらMasterの指示と違う手を入力してしまったようです。
それを聞いて納得しましたが、Masterの弱点では無かった事は少し残念でした(笑)。
この手のミスが全60局中2回あったそうですが、数千手の中の2手で済んだのであれば、むしろ褒められるべきかもしれませんね。
ちなみにもう1手は、我らが井山裕太六冠との対局に現れました。
一部で絶賛された手だったのですが・・・(笑)。
しかし、その碁は39局目なので、当ブログでのご紹介は当分先になりそうです。
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