白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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Master対棋士 第53局

2017年08月06日 23時59分59秒 | Master対棋士シリーズ(完結)
皆様こんばんは。
昨日は非常に疲れていたので更新をお休みしましたが・・・。
翌日、心配された方から電話がかかって来ました。

丸一年の連続更新も達成したので、以降は無理せず、時々は休むことにしています。
ブログの上部のコメントも「ほぼ毎日更新」に変更しました。
有名な「ほぼ日刊イトイ新聞」は1日も休んでいないそうですが、それはもう真似できません(笑)。

さて、本日はMasterと黄雲嵩六段の対局をご紹介します。
なお、この対局は既にご紹介しているので、別の場面に注目しましょう。



1図(実戦)
Masterの黒番です。
白1の挟みに対して、黒には無数の選択肢があります。
その中でMasterが選んだのは黒2、4でした。
この打ち方が唯一の正解とは限りませんが、何故こう打ったのかを考えることに意味があります。





2図(実戦)
開きを省略した黒に対して、白1と挟んで攻めを狙いました。
当然の発想ですが、Masterはこれを誘ったと考えられます。
黒8までとなった図は、結果的に黒△が白に詰め寄る絶好の位置になっていますね。

白1では他の挟み方も考えられますが、いずれも黒△が働く展開になるとみているのでしょう。
前に打った石を生かす打ち方は重要ですが、Masterは非常に上手いですね。





3図(実戦)
ただ、それに拘り過ぎても失敗します。
人間の対局には感情も入って来るので、打った石に愛情を持ち過ぎてしまうようなこともありますね。
その点、Masterは非常に柔軟です。

白1、3と左辺の黒にプレッシャーをかけましたが、構わず黒12までと下辺に手をかけました。
しかし、白13と切られると、黒△と黒×を両方助けることは難しくなっています。
左辺白4子への攻めが狙えたので、もったいないように見えますが・・・。





4図(実戦)
その後、黒1と打った場面です。
黒△を捨てることになり、白への攻めは放棄した格好です。
ただ、その間にできた黒×の勢力は広い右辺一帯に向いていますし、黒Aなどから白の進出を止めてしまう狙いもあるので、黒にとって大きな財産になっています。
当初とは全く違う状況になりましたが、総合的に判断すると黒が有利を確立したと言えます。

Masterの配石利用の上手さ、どのようにも変化できる柔軟性が表れた進行でした。