白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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攻めの方向

2017年10月24日 22時10分27秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日は有楽町囲碁センターにて指導碁を行いました。
お越し頂いた方々、ありがとうございました。

最近、指導碁に行くたびに私の本を探してしまいます(笑)。
今回は「布石の原則」が目立つところに飾ってありました!

さて、本日は指導碁に現れた場面を題材にします。
6子局です。



1図(テーマ図)
白△と打った場面です。
この白は弱い石ですが、どうやって攻めますか?
攻めの方向が問われます。





2図(失敗図1)
黒1と切りたくなる方が多いのではないでしょうか。
しかし、白2、4とはみ出され、黒△が弱くなってきましたね。





3図(失敗図2)
そこで、黒1、3と守りましたが、その間に白4とカケられ、中央が止まってしまいました。
黒は白△を取ったものの、地が少し増えただけなので小さい利益です。
右辺黒模様が広がる余地は無くなり、むしろ白Aと打ち込まれたりすると黒△が攻められます。





4図(正解)
攻めと石を取ることは違います。
黒にとって将来性のある地域は右上一帯であり、これを育てるように攻めるのが正しい攻めの方向です。

ということで、黒1が正解です。
黒7まで、白にダメをつながっただけですが、その間に打った黒石は全て模様拡大の役に立っています。
右上一帯が大きくまとまり、立派に攻めの利益が上がりました。


弱い石を攻めることの重要性は、私も著書で強調しているところです。
ただし、攻め方を間違えると自分の石を弱くしたり、自分の模様を台無しにしてしまうことがあります。
攻めの方向には気を付けたいですね。