井真井のちょっと一言。。

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青少年雇用促進法成立(10月1日施行)

2015-09-16 16:14:45 | 日記

社会保険労務士ほど、国の施策に振り回される職業も
無いのではないでしょうか。

毎年、数多くの法改正が施行され、そのたびに知識の
更新が必要になります。

社会保険労務士試験を受験する人も「合格できなかった
年」のテキストを使い、翌年の試験に挑めば、多分、
また悪い結果になる可能性のほうが高くなるでしょう。

今回は、 2015年9月11日に成立した「青少年雇用促進法」
をご案内します。この法律は、従前の「勤労青少年福祉法」
を一部改正して名前を改めたものです。

青少年の雇用の促進などを図り、能力を有効に発揮できる
環境を整備する目的で制定された法律ですが、今回成立し
た内容の最大の目玉は、「ブラック企業撲滅」をターゲッ
トにしているという点ではないでしょうか。

① 職場情報については、新卒者の募集を行う企業に対し、
企業規模を問わず、()幅広い情報提供を努力義務化、
()応募 者等から求めがあった場合は、3類型ごとに1つ
以上の情報提供を義務化しました。

「努力義務」と「義務」は異なる概念ですので要注意。

3類型とは(ア)募集・採用に関する状況、(イ)労働時間
等に関する状況、(ウ)職業能力の開発・向上に関する状況

・・・です。応募者の求めに応じ、有給休暇の取得率や
残業時間の実績、管理職の男女比、離職率等、正直に回答
することが義務化されたのです。

なかなか有給休暇を取らせてくれない企業や残業が多く、
休日出勤も多い企業、離職率が高く、セクハラ、モラハラ、
マタハラが横行している企業に就職したくありませんよね。

労働基準法などの法令無視をしているそれらの企業を
「ブラック企業」と呼びます。一旦、世間からブラック企業
と噂されたら、そういう企業の経営成績は大きな打撃を受け
ます。

有名な某居酒屋では客離れが進行し、有名な某牛丼屋では
アルバイトが皆、辞めてしまい深夜営業を自粛しました。

世界的に事業規模を拡大している超有名な某衣料販売会社
はすぐにアルバイトや契約社員を正社員として雇用し、悪く
なりかけた風評を消しました。

超有名な某コンビニエンスストアでは名ばかり管理職問題が
明るみに出て、すぐに改善策を講じました。

世間に知れた有名企業でさえ、ブラック企業の烙印を押され
た途端、失速する世の中です。中小企業ならば倒産危機に
陥ることもあるでしょう。

更に・・・・

② ハローワークは、一定の労働関係法令違反の求人者につ
いて、新卒者の求人申込みを受理しないことができること
としました。

また、その一方で・・・・

③ 青少年に係る雇用管理の状況が優良な中小企業について、
厚生労働大臣による新たな認定制度を設けることになりました。

「優良企業認定」がもらえた企業には、優秀な人材が集まり
ます。企業の財産は「人」であることは間違いありません。

優秀な人材、優秀な能力がヒット商品を開発し、世に送り
出していきます。

残業ばかりで残業代も支払わないような企業からは、多くの
人達が離れていくことでしょう。

尚、この法律の施行日は10月1日です。

社会保険労務士試験受験者は必ずチェックしておくべき法律
です!!

平成27年 改正労働者派遣法

2015-09-16 15:33:16 | 日記

今月30日から「改正労働派遣法」が施行されます。
これは10月1日施行の「労働契約申し込みみなし制度」
が控えていることから、どうしてもその前に施行する
必要から9月30日となりました。

当該改正法により従前の期間制限のなかった専門26業務
との垣根はなくなります。(専門26業務の区別廃止)

専門26業務については、期間無制限で派遣労働者の使用
が可能でした。

そのため企業は人件費抑制のため、派遣労働者を26専門
業務に就労させるという名目で受け入れながら、実際は
それらの業務とは全く関係のないお茶くみなどの雑用係
として使用しているケースが非常に目立ちました。

それを許さない制度が10月1日施行の「労働契約申し込み
みなし制度」です。

この制度が施行される前に、企業が大量に現在使用して
いる派遣労働者を解雇することが予測されました。
解雇しなければ、自動的に正社員として雇用しなければ
ならないからです。

そこで、先に改正労働者派遣法を施行させ、26専門業務
との垣根を払い、突発的な大量解雇が無いよう企業側に
一定期間の猶予を与えたのです。

改正後、企業は3年ごとに派遣労働者を別の者と入れ
替えることで同一業務につき継続して、派遣労働者に
任せることが可能になります。

従前は、ある1の業務について派遣労働者に任せられる
期間は原則1年間、最長でも3年間でした。

その期間経過後は同一業務に派遣社員を任せることが
できませんでした。また、別の派遣社員に交代させる
こともできませんでした。

つまり、その業務を継続させるためには、自社の社員
に任せるか、従事していた派遣労働者を自社の社員として
雇用するしかなかったのです。

今回の法改正により、企業は派遣労働者を定期的に交代
させれば、ずっと同じ業務を派遣労働者に任せることが
できるようになりました。

しかし、派遣労働者保護のため、派遣期間終了後、派遣
労働者が希望した場合には、派遣元は派遣先である企業
に対して、当該派遣労働者を直接、雇用するよう依頼し
なければならない事が義務化されました。

派遣労働者の希望を拒む選択は、派遣元事業主にありま
せん。これは義務です。

もっとも、直接雇用の依頼は義務化されても相手先企業
が拒否することはできます。もし、雇用されない場合に
は、派遣会社自らでその労働者を無期雇用するか、別の
派遣先を紹介することが改正で義務づけられました。

更に派遣元では計画的な教育訓練を行い、派遣社員の
キャリアアップを後押しすることも義務化されました。

このような「雇用安定措置」が義務化された事は歓迎
できますが、派遣元事業主の負担が増大することで、厳
しい人選が行われる可能性は否めません。

スキルの無い人や職業能力が欠如している人を派遣元は
登録しづらくなります。簡単に派遣労働者登録もできない
時代に突入したことになります。

また、改正により派遣事業を行うためには、すべて国の
許可が必要になりました。

派遣事業者には「一般労働者派遣事業」と「特定労働者派遣
事業」がありますが、特定労働者派遣事業は従前、届出のみ
で事業を行うことができました。しかし、今回の法改正では
すべての事業が許可制となりました。国の監視が厳しくな
ります。

この法改正は、派遣元の負担は増えますが、派遣先の企業に
とっては非常に有利な制度です。

為替変動や社会的要因により利益変動が著しい昨今、人件費
が抑制でき、また臨機応変に活用できる派遣労働者を使用す
ることには大きなメリットがある・・・というのが、多くの
企業の意見です。

景気後退により人員余剰になった時に今回の法改正の意味が
増す・・・といった本音も聞こえます。

安いマンパワーを使用して利益を増大し、リセッション時に
は派遣労働者から人員整理していけるという事でしょう。

近年、会計ソフトなどの普及により直近15年間で会計事務従
事者数は113万人減少しています。これは農耕従事者に次ぎ、
業種別第2位の大幅減です。

オートメーション化により従来必要とされた「能力」は、
徐々に不要の産物となりつつあります。組織のフラット化と
共に人材のフラット化も進行しており、能力差の減少が
派遣労働者を増やす要因ともなっています。

派遣労働者が増えれば、低賃金労働者が増えることになり、
GDPの上昇を抑制します。物価上昇が先行すれば、生活に困窮
する者も増え、物が売れず、経済は後退します。

それでも今回、企業有利の施策を行ったのは、アベノミクスを
是が非でも成功させたい政治家たちが、2年連続の官製ベアに
対して企業団体が応じてくれたことへの「お礼」といった事
もあるのでしょう・・・・と、個人的に私は思っています。

さて、平成28年度社会保険労務士試験に向けて、既に
弊社では労働基準法から順次、受講者の方達へ教材配信を
行っています。

社会保険労務士試験に挑戦する人は今回の改正内容をしっかり
把握しておく必要があります。