井真井のちょっと一言。。

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宅建試験頻出の手付金と保全措置

2024-09-26 10:02:20 | 日記
No873
宅地建物取引業者Aが自ら売主としてマンション(価格4,000万円)の売買契約を宅地建物取引業者でない買主Bと締結した場合の特約に関し、手付は500万円としたが、Bが残金3,500万円は一括して払えないというので、1,750万円ずつ2回に分けて支払うこととした。これは,宅地建物取引業法の規定に違反しないとはいえない。


質問→価格4,000万に対して手付き金は20%なので、800万までなら保全措置は不要。そして、500万としているので、残金が3,500万円。それを分割するということなので違反しないと理解しましたが、間違っているようで・・・・。



もうひとつ解説が分からないです。



そもそもですが、手付金が20%を超えるときは、手付金保全措置をしないといけない。未完成5%、完成10%かつ1,000万円以下と理解していますがあっていますでしょうか?


【井真井】


お世話になっております。ご指摘のすべてにおいて、あっていません。正しい認識ではありません。


「違反しないとはいえない」という設問文末の言葉は、否定×否定=肯定。すなわち「違反している」と述べています。敢えて、紛らわしい日本語を使い、受験者の国語力を試しているのです。


4,000万円の価格の物件について500万円の手付金を受領し、残りの3,500万円の支払いを1,750万円ずつの2分割で受領することは、違反だ!違反している!!・・・と設問は述べています。



違反のはずありません。


手付金は代金の20%(2割)まで受領できますので、4,000万円の物件なら800万円までは受領可能です。500万円はその範囲内ですので違反ではありません。


また、ほとんどの人が何十年にもわたって、住宅ローンを組み代金を分割で支払っているのですから、たった2分割で支払うというのは、むしろ、すごい支払い額です。違反であるはずありません。


よって、全く宅建業法に違反する行為ではありません!!


しかし、設問は「違反しない」とは、「言えない」=「違反している」と述べていますので、「誤り」となります。


文末の日本語の意味がご理解できていないだけではないでしょうか。「違反しない」が正解です。「違反しないとは言えない」=「違反する」としていますので、当該設問は誤っているといえます。


また、手付金としての受領可能上限額は、代金の2割です。すなわち「MAX 20%」までです。「20%を超えるときは~」と書かれていますが、20%を超えて受領するのは、違法です。20%を超える金額は絶対に受領してはいけないのです。2割を超えることを前提にはできません。


保全措置は銀行等に受領した金銭を宅建業者が預託し、万が一、契約締結した宅地建物取引業者などが債務不履行や途中で倒産などに陥った場合でも、買主に確実に返金できるようにする措置です。宅建業者の会計とは別会計で保管することを「保全措置」と言います。


手付金に限らず、中間金も対象です。中間金は契約締結時にあらかじめ、どの時期に中間金としていくらを支払うのか、37条書面で通知されていますので、当初より明らかになっています。保全措置の必要有無の基準は、「未完成物件」と「完成物件」により異なります。


売買契約締結後、所有権移転登記を受けていない場合において、


① 未完成物件(注文住宅等)に対する手付金や中間金の支払合計額が
→代金の5%を超えるとき、または1,000万円を超えるときは保全措置が必要。


② 完成物件(建売住宅等)に対する手付金や中間金の支払い合計額が、
→代金の10%を超えるとき、または1,000万円を超えるときは保全措置が必要。


「5%または10%」、「1,000万円」・・・・のどちらか1つでも超えた時点で保全措置が必要。



>手付金保全措置をしないといけない。
 未完成5%、完成10%かつ1,000万円以下と理解していますが
 あっていますでしょうか?



【井真井】
上記のように、5%以下、10%以下「かつ」1,000万円以下、というのは、
保全措置が不要な場合のパターンです。


「保全措置をしないといけない」ではなく、保全措置をしなくても良いパターンです。


手付金の受領可能上限割合や保全措置に関しては、宅建業法における基礎知識です。これを知らなければ、合格はできません。過去の試験でも頻出しているテーマです。この機会にしっかり、ご理解いただければ幸いです。


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宅建士試験法令上の制限(監視区域内の市街化調整区域内の土地売買における事前届出)

2024-09-22 11:27:09 | 日記
<宅建受講者様より>


表記の問.2707について、面積が6,000㎡でそれを分割して4,000 ㎡と2,000 ㎡にして売却しますが、これは売り手側が分割する前の土地の広さによって、事前届出するか判断するということでよろしいでしょうか?


No2707
監視区域内の市街化調整区域に所在する面積 6,000 ㎡の一団の土地について、所有者Aが当該土地を分割し、4,000 ㎡をBに、2,000 ㎡をC に売却する契約をB、C と締結した場合、当該土地の売買契約についてA、B及びC は事前届出をする必要はない。




佐藤様(仮名)


お世話になっております。


>これは売り手側が分割する前の土地の広さによって、事前届出するか判断するということでよろしいでしょうか?


【井真井】


違います。分割後の4,000 ㎡と2,000 ㎡の合計で判断します。


監視区域内では、都道府県の規則で届出が必要な面積を定めますが、この面積要件は「事後届出」の場合よりも緩和することは、できません(同法27条の7第1項)。


事後届出が必要なのは、


・市街化区域 → 2,000㎡以上
・市街化調整区域・非線引き区域 → 5,000㎡以上
・その他の区域 →10,000㎡以上


・・・・としていますが、監視区域内における事前届出必要面積を都道府県規制で定める場合、上記より厳しくすることはできても、緩和はできません。


ですので、


監視区域内の事前届出は、市街化調整区域内においては、土地面積3,000㎡以上とする・・・とか、4,000㎡以上とする・・・というのは厳しい規制なので可能ですが、5,500㎡以上で良い・・・とか、6,000㎡以上で良い・・・・といった緩和は不可能になります。


そして、設問は、「監視区域内の市街化調整区域」+「土地面積6,000㎡&一団の土地」です。よって、5,000㎡以上なのですが、分割面積の合計が6,000㎡だという点にご留意ください。


添付資料を開示してください!


添付資料の「5」の項目のところに、以下の図が描かれています。


設問は下段の「売りの一団図」が適用されます。


甲さんが自分の土地を複数の人に売却していますが、その売却した土地の合計面積が、市街化調整区域内の場合、5,000㎡(=一定面積)以上の場合、事前届出が必要になります。設問は、売却した土地の合計面積6,000㎡で、事前届出の有無を判断します。


~図と添付省略~


尚、監視区域における取引については、当事者双方(本肢ではABCの三者)が届出義務者となりますので、この点もご注意下さい。(同法27条の7第1項、27条の4第1項)。



以上になります。


ご利用いただきまして、誠に有難うございました。
引き続き、どうぞ、宜しくお願い致します。


井真井アカデミー
代表 井真井 秀樹


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指名債権譲渡の二重譲渡についての優先順位のつけ方(宅建試験)

2024-09-07 13:31:57 | 日記
<宅建受講者様 田中様(匿名)>


>No1922
指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各債権譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、各債権譲受人は、債務者に対し、債権金額基準で按分した金額の弁済請求しかできない。


【井真井】
債権譲渡の効力は、債権者から債務者に対する譲渡通知、または、債務者から債権者に対する承諾によって生じることは、当然、ご存じですよね?これは債権譲渡の基本中の基本となる知識です。


債権譲渡の効力が生じた債権を「指名債権」と言います。
これは、前回のご質問時に解説させていただきました。


具体的には、債権譲渡通知書に確定日付印を公証人役場で押してもらったものか、または内容証明郵便で発送されると確定日付のある債権譲渡となります。


債務者から債権者への承諾についても同様に、債権譲渡受諾証明書に公証人役場で確定日付印を押してもらうか、または、内容証明郵便で発送されると確定日付のある債権譲渡承諾となります。


このような確定日付が無いものでも有効ですが、確定日付が無いものは、第三者に対する対抗力を有しません。確定日付入り債権譲渡通知または、承諾が第三者への対抗力となります。


では、指名債権の二重譲渡によって、2通の確定日付入りの債権譲渡通知が、債務者の元に届いた場合、何を基準に優先権を決めるのでしょうか?


それは、確定日付の日にちではなく、実際に「到達した時間」で決まります。先に債権譲渡通知書が債務者の手元に届いたほうが優先されます!!


1通が確定日付入り
1通が確定日付なし


・・・の債権譲渡の場合でも同様です。先に届いたほうが優先されます。


では、全く同日に届いた場合は、どうなるか?


それは、「早い者勝ち」となります。この概念は2つあります。


1つ目が、時間です。同日でも早い時間帯に届いたほうが優先されるという概念。


2つ目が、同日に確定日付入りの債権譲渡通知書が2通届いた場合は、確定日付の早い日付の債権譲渡が優先されるという概念です。


尚、同日、同時間帯に同一の確定日付入りの2通の債権譲渡通知が届いた場合は、もはや決め手はありませんので、債務者が自由に返済すべき債権譲受人を選択するしかありません。


その際に、債務者は債務額全額を一の債権譲受人に支払えば良いことになっています。


例えば、田中様が井真井から100万円を借りたとします。


井真井は佐藤さんから60万円、鈴木さんから40万円を借りていたため、佐藤さんと鈴木さんの両方に対して、田中様に対する債権を譲渡したとします。


田中様の元には、井真井から


「佐藤さんに債権を譲渡しました。」
「鈴木さんに債権を譲渡しました。」


・・・といった2通の債権譲渡通知が届きました。二重による債権譲渡です。


確定日付入りの債権譲渡通知が同じ日の同じ時間帯に届いた場合、設問では、佐藤さんと鈴木さんは、各自、井真井に対する債権額分しか、田中様に請求できないと述べています。


→ 債権金額基準で按分した金額の弁済請求しかできない。


つまり、佐藤さんは60万円、鈴木さんは40万円を上限にしか、田中様に請求できないということです。


井真井の田中様に対する債権は100万円です。その譲渡なのですから、佐藤さんも、鈴木さんも100万円を田中様に請求でき、田中様もどちらか一方に100万円を返済することができます。


指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各債権譲渡通知が同時に債務者である田中様の元に到達しているのですから、田中様が選んだ債権譲受人に100万円全額を返済すれば、良いのです。


後のことは、井真井と佐藤さん、または鈴木さんとの間の問題であり、田中様が心配すべきことではありません。





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相殺について(宅建士試験)

2024-09-07 13:24:03 | 日記
井真井様
お世話になっております。確認の意図も込め、以下の問題の詳細解説をお願いできますでしょうか。よろしくお願い致します。


田中様

お世話になっております。

>No1957
AB共に相手に対する100万円の金銭債権を有している場合、C がAの債権を差し押さえた後、BがAに対する債権を取得したときは、Bは、Aに対して相殺をすることができるが、それをもってC に対抗することはできない。

【井真井】
「AB共に相手に対する100万円の金銭債権を有している。」
この状態が生じた経緯が続いて書かれています。

「CがAの債権を差し押さえた後、BがAに対する債権を取得した」

この文書から、事の経緯がわかります。以下の順番になります。

1・AがBに対する100万円の債権を取得
2・Cが「AのBに対する100万円の債権」を差押え
3・BがAに対して100万円の反対債権を取得

AB間は互いに相手に同額の債権を有していますので、相殺適状になれば、相殺が可能です。しかし、Bが相殺を申し出てしまいますと、Bは「Cの差し押さえの権利」を奪う形になってしまいます。

相殺するということは100万円の現金通貨の移動が無くなりますので、Cは100万円を掴めなくなってしまうからです。

Cによる差押えが事前にあっても、Bの相殺前にAが債権者であるCに債務弁済を済ませているなら、BはAに対して相殺が可能です。債務弁済が終えていないならば、Bは相殺ができる状態であっても、Cの権利を奪う形での相殺はできません。

例えば、CのAに対する債権が60万円だったとしましょうか。

この場合、相殺適状になれば、BはAに対して100万円のうちの40万円については相殺できますが、差押えられているので60万円については、裁判所からの差し押さえ命令書に基づき、裁判所に60万円を預託することが必要になります。

→「Bは、Aに対して相殺をすることができるが、それをもってCに対抗することはできない。」


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敷金の返還義務について(宅建士試験)

2024-09-07 13:19:43 | 日記
井真井様
お世話になっております。確認の意図も込め、以下の問題の詳細解説をお願いできますでしょうか。よろしくお願い致します。


田中様

お世話になっております。
>No1914
Aは、自己所有の甲建物(居住用)をBに賃貸し、引渡しも終わり、敷金50万円を受領した。Aが甲建物をC に譲渡し、所有権移転登記を経た場合、Bの承諾がなくとも、敷金が存在する限度において、敷金返還債務はAからC に承継される。


【井真井】
設問文を具体名に置き換えれば・・・


田中様が賃貸アパートのオーナーで、そのアパートの1室を佐藤さんに貸すことになり、借家人になる佐藤さんから賃貸借契約時に敷金として50万円を受け取ったわけです。


敷金というのは、賃借料の不払いや、部屋の状態が通常使用では到底、生じ得ない瑕疵(キズ)等を入居者が生じさせた場合の修繕費などに充当できるものです。

何もなければ退去時に入居者だった者に返還しなければならない保証金や預託金のような金銭です。


田中様の金銭ではありませんので、田中様が自由に使って良い金銭ではありません。


さて、半年後、田中様は自己所有しているアパート1棟を、都合により井真井に売却しました。


これで、そのアパートの新しいオーナーは井真井になりました。この時、佐藤さんから預かっている敷金50万円も井真井に引き渡さなければダメです!!当たり前の話です。


その時、逐一、入居者の承諾など得る必要はありません。当然にして、新オーナーに引き渡すのが義務です。佐藤さんが途中で賃料を滞納しており、その滞納家賃に敷金の一部を充当したなら、残りの額を井真井に引き渡すことになります。設問文の「敷金が存在する限度において、」とは、そういう意味です。


そして、佐藤さんが賃貸借契約を途中で解除したり、契約期間満期により退去する場合には、新オーナーの井真井が、敷金返金債務を負うことになります。

つまり、敷金返還債務は田中様から井真井に承継されるわけです。


            ↓↓↓

No1914
Aは、自己所有の甲建物(居住用)をBに賃貸し、引渡しも終わり、敷金50万円を受領した。Aが甲建物をC に譲渡し、所有権移転登記を経た場合、Bの承諾がなくとも、敷金が存在する限度において、敷金返還債務はAからC に承継される。


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