今月から501人以上の企業に勤務するパート従業員等の非正規雇用者
に対し、週の労働時間が20時間以上、月額賃金88,000円(年106万円)
以上、勤務見込み1年以上の人達の厚生年金、健康保険への加入が義務
づけられました。
配偶者控除103万円以下、社会保険の被扶養者適用130万円未満に続き、
新たに106万円の壁が作られました。
上記条件に該当する人は、配偶者の扶養からはずれ、自ら社会保険料
を納める必要が生じました。
尚、配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が38万円以下の場合に38万
円の所得控除を受けることができる制度です。
例えば妻が年間収入103万円を稼いだ場合、国民一律適用の38万円基
礎控除と給与所得者に一律適用される65万円給与所得控除の合計103
万円が控除されるため、結局、妻の合計所得金額は0円となります。
0円の場合、夫の収入から配偶者控除として38万円が控除され、税額
計算されるという仕組みです。
この38万円の配偶者控除は、妻の合計所得金額が38万円超~76万円
未満に応じて、3万円から38万円の間で変動します。38万円超に対し
て適用される制度が配偶者特別控除と呼ばれるものです。
38万円の配偶者控除を専業主婦の優遇制度だと勘違いしている人が
大勢いますが、これは基礎控除38万円と同じです。基礎控除38万円
は、憲法25条に基づきます。
「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」
と明文化されています。38万円は最低限度の生活を営むために必要
な額なので、国が国民から奪ってはいけないという名目で定められ
た金額なのです。
年間38万円では、生きられない!!と、思いますが仕方ありません。
専業主婦の場合は勤務者ではないのでこの38万円が控除できません。
そのため、その配偶者の所得から配偶者控除として控除しているので
す。夫婦は生計を一にする共同体だからです。
ですから、政府が女性活躍推進のために「配偶者控除を廃止」すると
いうことは、憲法で保障している「健康で文化的な最低限度の生活」
を奪うことになるわけです。
何故、今回106万円の壁を作ったのか?理由はこれもまた女性活躍推
進という名目ですが、本音は貧困高齢者の増加で生活保護受給者数が
増加の一途を辿っているからだと思います。
政府は年金の受給資格期間を現行の25年以上から10年以上に短縮し
ようとしています。
25年が長すぎて、今まで国民年金保険料を滞納していた者が納付拒否
している現状を改善しようとしています。
未納者から強制徴収しなければならない程、年金制度は曲がり角に立
たされています。10年間納付した場合でも65歳から受給できる額は、
月1万円程度にしかなりませんが、保険料納付は国民の義務ですので、
本来は滞納・納付拒否など許されません。
しかし、被扶養者範囲適用拡大や配偶者控除廃止論など、女性活躍推進
を謳い女性の社会参加を呼びかけながら、一方で待機児童問題も解決で
きない現状下で少子化対策を掲げたりと、今の政府、政治家はいったい、
どこに向かって進んでいるのか、進もうとしているのか全くわかりません。
社会の「都合の良い調整弁役」として自分たちが利用されていることに
女性たち本人が怒りをおぼえていないのも、ちょっと恐い気がしてなら
ないのです。