因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

ピンク祭

2008-03-30 | 舞台
*振付・出演 磯島未来 加藤若菜 須加めぐみ 公式サイトはこちら こまばアゴラ劇場の公演は30日で終了
 劇団名は「ピンク」。東京公演は久しぶりとのことで、公演期間中「謝肉祭」「即興ナイト」「ピンク単独公演」の3つのステージが順次行われる。自分がみたのは「ピンク単独公演」である。

 ピンクは上記3人の女性による「過呼吸乙女ユニット」で、公演チラシには「正統に鍛えた体をことごとく酷使しながらその先に見えるダンスをダンスと示すも、転んでも笑いながらしぶとく図太く頭突きする3人のセッションは『同時多発バカ』と呼ばれるほどバカバカしさで溢れていて、その融合は他に類を見ない」であると。どんなものなのかまったく予想がつかず、こわごわとアゴラに向かう。1時間少しの上演後、茫然としている自分がいた。さまざまな気持ちで頭の中が混乱していた。驚いたのだ。チラシの文句がまったくその通りだったことに。

 3人の女の子たちが踊る、動く、暴れる。その中にほんの少し台詞もあるのだが、お芝居の登場人物として話しているわけではなく、舞台にも物語性はない。ひたすら踊る彼女たちの柔軟で強靭な肉体と、ダンスともアクションとも思える動きに見入るばかりであった。クラシックバレエ的な動きもあるし、ほとんどアクロバット、いやプロレスに近いところもあった。どうしてそんなにからだが動くの?と感嘆すると同時に、なぜそこまで動かし続けるの?人が舞台に立つのは、何かを伝えたい、表現したい欲求があるからだと思う。しかしピンクの舞台は、何をしたいのか結局わからず、かといって自己陶酔のパフォーマンスでもなく、観客への感謝や気遣い?も感じられる。必死に踊る彼女たちをみていると「よくわからないが、ともかく頑張ってるじゃないか」という気持ちになり、客席はいい感じに温まった。終演後おもてに出ると、さっきまで過ごした時間が嘘のように、駒場の町は静かであった。駅のホームからみる夜桜は昼間よりも美しく妖艶。

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