*泊篤志作・演出 公式サイトはこちら こまばアゴラ劇場での公演は3日で終了。劇団創立20周年記念公演。昨年10月の北九州芸術小劇場公演を皮切りに、札幌、福岡と続き、今年は高松から東京のあと、広島、宮崎を巡演する。
創立は1987年、北九州市内の大学演劇をしていたOBを中心に結成され、作・演出の泊篤志が三代目の代表だそう。代表が引き継がれながら活動を続ける劇団というのは稀有な存在なのではないか。当日パンフレットもとても立派で、特に「飛ぶ劇場20周年によせて」のページには元劇団代表はじめ、地元劇場のプロデューサー、平田オリザ氏などが劇団へ熱いエールを送っており、「飛ぶ劇」が多くの人々から信頼と期待を寄せられていることが伝わってくる。
《公演は2月中旬まで続きます。ここから先はご注意くださいませ。》
開演かと思ったら、二人の俳優さんがギターと歌でようこそご来場とケータイは切ってねのアナウンス。残念ながら自分はここで引いてしまった。もともと「前説」が苦手であるし、まだ劇場の空気も温まっていないのに、いっしょに手を叩くのはちょっと…。
古びたアパートに、あーさんという男性が一人で暮らしている。大雨の夜だ。ひっきりなしに家族や親戚らしき人たちが部屋を訪れ、入院中の祖父を見舞うように言うのだが、あーさんは頑に拒絶する。その理由は?やってくる人々はどこか不思議な空気を纏っている。さらに家族とも友達とも違う感じの「猫山」と呼ばれる人物は何なのか?
本作にはさまざまな演劇的仕掛けが凝らされており、徐々に題名の『あーさんと動物の話』の意味が明かされる。現在と過去、生者と死者、人間と動物が交じりあい、大事な人を次々に失ったあーさんの孤独と恐怖、うちひしがれながらも再び生きようとする姿が力強く描かれている。しかし前説で引いた心は最後まで戻らず、舞台の熱気についていけないもどかしさに、終始あまり居心地のよくない時間を過ごした。
目の前に生身の俳優がいる。それは大変リアルなことである。対して現在と過去が交錯したり、家族や親戚が実は…だったりするのは、現実にはありえない。リアルとそうでないものが混在し、せめぎあいながら「そういうことだったのか!」とわかったとき、ぞくぞくするような興奮を感じる。だが今回は残念ながらそこにたどり着くには心が引き過ぎて、楽しむには至らなかった。創立20周年は、劇団にとって転機であると代表の泊篤志、平田オリザ両氏がパンフレットに述べている。その年に初めてであった自分は、非常に大きく出遅れた悔しさはあるが、逆に既成概念なくこれからをみることができるのだから、ある意味で新鮮な喜びがあるはずだ。是非もう一度、飛ぶ劇場の舞台と出会えることを強く望む。
創立は1987年、北九州市内の大学演劇をしていたOBを中心に結成され、作・演出の泊篤志が三代目の代表だそう。代表が引き継がれながら活動を続ける劇団というのは稀有な存在なのではないか。当日パンフレットもとても立派で、特に「飛ぶ劇場20周年によせて」のページには元劇団代表はじめ、地元劇場のプロデューサー、平田オリザ氏などが劇団へ熱いエールを送っており、「飛ぶ劇」が多くの人々から信頼と期待を寄せられていることが伝わってくる。
《公演は2月中旬まで続きます。ここから先はご注意くださいませ。》
開演かと思ったら、二人の俳優さんがギターと歌でようこそご来場とケータイは切ってねのアナウンス。残念ながら自分はここで引いてしまった。もともと「前説」が苦手であるし、まだ劇場の空気も温まっていないのに、いっしょに手を叩くのはちょっと…。
古びたアパートに、あーさんという男性が一人で暮らしている。大雨の夜だ。ひっきりなしに家族や親戚らしき人たちが部屋を訪れ、入院中の祖父を見舞うように言うのだが、あーさんは頑に拒絶する。その理由は?やってくる人々はどこか不思議な空気を纏っている。さらに家族とも友達とも違う感じの「猫山」と呼ばれる人物は何なのか?
本作にはさまざまな演劇的仕掛けが凝らされており、徐々に題名の『あーさんと動物の話』の意味が明かされる。現在と過去、生者と死者、人間と動物が交じりあい、大事な人を次々に失ったあーさんの孤独と恐怖、うちひしがれながらも再び生きようとする姿が力強く描かれている。しかし前説で引いた心は最後まで戻らず、舞台の熱気についていけないもどかしさに、終始あまり居心地のよくない時間を過ごした。
目の前に生身の俳優がいる。それは大変リアルなことである。対して現在と過去が交錯したり、家族や親戚が実は…だったりするのは、現実にはありえない。リアルとそうでないものが混在し、せめぎあいながら「そういうことだったのか!」とわかったとき、ぞくぞくするような興奮を感じる。だが今回は残念ながらそこにたどり着くには心が引き過ぎて、楽しむには至らなかった。創立20周年は、劇団にとって転機であると代表の泊篤志、平田オリザ両氏がパンフレットに述べている。その年に初めてであった自分は、非常に大きく出遅れた悔しさはあるが、逆に既成概念なくこれからをみることができるのだから、ある意味で新鮮な喜びがあるはずだ。是非もう一度、飛ぶ劇場の舞台と出会えることを強く望む。
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