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攘夷実行をめぐって、上洛した将軍家茂(中村隼人)たちと朝廷の攻防が続く。海軍操練所で訓練を続ける龍馬や藩士たち、武市半平太(大森南朋)のもとに帰れず、勝麟太郎(武田鉄矢)の用心棒をしている岡田以蔵(佐藤健)、山内容堂(近藤正臣)に陥れられ、武市を裏切る形で藩から追われることになってしまった平井収二郎(宮迫博之)・・・。
否応なく巻き込まれたかと思うと、逆に弾き飛ばされたり、幕末はまさに激しい濁流である。ほんの少しの気の緩み、判断の誤りで、あっというまに溺れてしまう。弱いものが必死に泳ごうとしているのを、強いものが姑息な手を使って行く手を阻み、葬り去る。本人の落ち度と言うには気の毒すぎる。憤りを感じるがどうしようもない。昇りつめたものが坂道をころがるように転落していくさまに胸が痛む。
どんな人と出会えるかによって、人生は大きく変わる。龍馬は勝麟太郎と出会って、生きる道が定まった。迷いが生じても勝は龍馬という人間を信頼し、間違いのない方向へ導く。勝の存在があって、龍馬はたくましくなり、ぐっと安定感が出てきた。反面武市半平太は吉田東洋に嫌われたことが致命的であり、そこから道を間違えたように思える。痛ましいほど容堂を崇拝しているにも関わらず、彼の本質を見誤っていたことがさらに追い打ちをかけた。容堂は武市が思い焦がれているような人ではないのである。武市と龍馬の資質の違いもあって、武市のほうが勉学に優れ、ものごとにおいて多面的な思考ができそうに思われるのに、こと尊王攘夷に関してはまったく融通がきかない。龍馬は自然児のごとく素直で、武市に比べるとずっと子どもっぽく、リーダーとして大勢を束ね、支配するタイプではない。しかし人の本質を見抜く目、本音をしっかりと聞きとる耳を持っている。
ずっと考えている。「武市さんはどこがいけなかったのだろう、どうすればよかったのだろう?」と。
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