因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

THE SHANPOO HAT 第26回公演『沼袋十人斬り』

2011-02-15 | 舞台

*赤堀雅秋作・演出 公式サイトはこちら シアタートラム 20日まで
 2009年の初演の際、出演俳優のインフルエンザ罹患で数日間休演の後、代役を立てて乗り切った作品の再演。みずから選んだわけではないのだが、このところなぜか最前列の観劇が続く。

 沼袋に暮らす中年男がこつこつ貯めた500円玉貯金を盗まれる。犯人の目星はついている。仲間2人といっしょに取り返そうとする男と、連続殺人事件の犯人の逃走を、歌舞伎の狂言風の作りでみせる2時間あまり。

 物語の流れや人物の関係、それぞれの性格等はどうにかつかめたが、人生に倦み切ったような中年男、盗みや殺人にすら罪悪感を覚えない犯人など、どこに視点をもっていけばよいのかわからないまま、暴走する人々の様相にただ呆然。最前列は舞台の熱気には近いものの、劇場ぜんたいの様子が体感できないことが多い。改めて書くまでもなく、演劇は自分だけではなく、互いに見知らぬもの同士が時間と空間をともに味わうものだ。目の前の舞台が楽しければ、多くの方々とともにそれを味わう喜びは倍増し、多少の戸惑いが客席の雰囲気に助けられることもある。今回は終始ひとりで困惑しつづける観劇となり、舞台にも客席にもなじめなかったのが残念であった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ブラジル『怪物』 | トップ | 青年団若手自主公演vol.47 ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

舞台」カテゴリの最新記事