因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

ハイリンド第2回公演『牡丹燈籠』

2006-08-21 | インポート
*三遊亭円朝原作 ハイリンド潤色 西沢栄治演出 下北沢「劇」小劇場
 昨年12月旗揚げしたハイリンド(そのときの記事)の第2回公演。『牡丹燈籠』と言えば文学座の財産演目のひとつで、杉村春子と北村和夫の夫婦役が絶品であった。そのせいか、この作品はベテラン俳優による円熟の演技が必須とのイメージがあったのだが、驚いた。下北沢でこんなにイキのいい舞台に出会えるとは。
 
 舞台には赤い柱が数本、出演俳優は色鮮やかな和服だが鬘はつけておらず、化粧も普通で、高座に上がった噺家が一席始めるのを見物する人々という趣向で始まる。ひとりの俳優が二役を、しかも男性が女性を演じたり、女性が男性を演じたりと、俳優全員板に乗りっぱなしの2時間15分。その間まったく気の緩むことなく舞台の熱気を浴びるように楽しめた。ハイリンドの舞台をみて感じるのは、俳優がいずれも舞台が大好きで、いい舞台を楽しんでもらいたいという気持ちがびんびん伝わってくることだ。しかも自分の演技を強く主張するのではなく、戯曲を重んじ演出家を信頼し、舞台ぜんたいのバランスを大切にする姿勢がとても好ましく思える。「お芝居はこうでなくっちゃ!」と嬉しくなってくるのである。

 できればこの舞台は因幡屋通信の次号で詳しく書いてみたいと思っています。今日のところはここまで。


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