事態は、ここまで来ました。
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毎日新聞2016年5月28日 21時20分(最終更新 5月28日 21時20分)
世界の研究者や医師150人が28日までに、ジカ熱が流行するブラジルで8月から開かれるリオデジャネイロ五輪・パラリンピックについて、延期か別の場所で開催するよう呼び掛ける文書を世界保健機関(WHO)に提出した。AP通信などが伝えた。
蚊が媒介するジカ熱は、妊婦が感染すると小頭症の赤ちゃんが生まれる可能性がある。文書は主に医療倫理や公衆衛生の専門家がまとめ、「リオ五輪開催で50万人の観光客が必要のない感染の危険にさらされたまま帰国し、リスクを拡大させる」と言及した。
これに対しWHOは28日、「現状の評価では、五輪を延期したり移転したりする公衆衛生上の正当な理由がない」との見解を示した。WHOは感染拡大防止として、虫よけ剤による蚊対策と性交渉でのコンドーム使用を呼び掛け、妊婦については渡航の自粛を勧告している。(共同)
WHO、リオ五輪開催を容認 南米のジカ熱流行にからみ
朝日新聞 2016年5月29日00時40分
南米でのジカウイルス感染症(ジカ熱)の流行にからみ、世界保健機関(WHO)は28日までに、ブラジル・リオデジャネイロで開催予定の五輪について「現時点での評価によると、中止や開催地の変更は、ジカ熱の国際的流行にほとんど変化を与えない」とする声明を出した。理由として、感染の広がる国々や地域への渡航が様々な理由で続いていることを挙げた。WHOが事実上、リオ五輪開催容認の姿勢を鮮明にしたことになる。
ジカウイルスは新生児の小頭症との関わりがあるとされる。WHOは声明の中で、妊婦がジカ熱の流行地への渡航を控えることや、流行地から戻った男性は最低4週間、女性との性行為を控えたり、コンドームを使用したりすることなどを改めて勧告した。(ジュネーブ=松尾一郎)
リオ五輪、開催地変更か延期を ジカ熱で専門家150人が公開書簡
AFPBB News 2016年05月28日 09:47 発信地:マイアミ/米国
【5月28日 AFP】ジカウイスルへの懸念からリオデジャネイロ五輪の開催地変更か延期を求めて世界各国の医師や科学者、研究者ら150人が署名した世界保健機関(WHO)に宛ての公開書簡が27日、公開された。
米国、英国、カナダ、ノルウェー、フィリピン、日本、ブラジル、南アフリカ、トルコ、レバノンなどの専門家らが署名したこの公開書簡は、ブラジルでジカウイルスの影響を2番目に強く受けているリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)での五輪開催は「無責任」で「非倫理的」だと述べている。
さらに「私たちが懸念を強めているのは世界的な健康問題のためだ」として、「世界中から五輪に来た50万人の観光客がジカウイルスに感染した恐れがある状態で帰国し、各地でジカ熱をまん延させるかもしれないという無用なリスクをもたらし」、「このような事態が今のところジカ熱が発生していない貧困国で起きれば大きな苦しみが生じる恐れがある」と主張している。
ジカ熱は、頭部や脳が異常に小さい「小頭症」などの出生異常を引き起こす恐れがあり、ブラジルでは蚊が媒介するジカ熱がはやり始めた昨年以降、先天性異常を持って生まれた子供が1300人近くに上っている。
WHOと米国の公衆衛生当局は、ブラジルへの渡航者に蚊に刺されないよう対策するよう呼び掛けるとともに、妊娠中の女性はリオデジャネイロを含め、ジカ熱が流行している地域には行かないよう勧告している。
一方でWHOは今月に入り、リオデジャネイロ五輪とパラリンピックの会期(8月5日~9月18日)はブラジルの冬季に当たり、蚊に刺される可能性は低くなるとの見方を示していた。また米疾病対策センター(CDC)のトム・フリーデン(Tom Frieden)所長も26日、五輪を中止、あるいは延期すべき公衆衛生上の理由はないと述べた。
■IOCと公式パートナーシップ関係、WHOの「利益相反」に疑念
しかし、世界の有名大学の医師や研究者らが署名した公開書簡は、WHOは国際オリンピック委員会(IOC)の公式パートナーになっているが両者間の覚書は公開されていないと指摘し、WHOは巨額の金銭を投じたため偏りのない判断ができなくなっているのではないかと疑問を呈した。公開書簡は覚書の公開を要求し、「それができなければWHOの中立性に疑念が生じる」としている。
公開書簡は「WHOはジカ熱の問題を再考し五輪を延期、あるいは開催地の変更をすべきだ。われわれはWHOとIOCに、科学、公衆衛生、スポーツの精神を最優先して根拠に基づいた透明性のあるプロセスを進める独立諮問組織の設置」を求めている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN
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この公開書簡(英文)は、次のサイトで読めます。
WHOは「冬場だから、大丈夫」といっているようですが、本当なのでしょうか?公開書簡の中でもそれに触れられていますが(延期を求める理由7)、それによると、たとえ蚊に刺された旅行者が現地でジカ熱を発症しなかったとしても、そのまま自国に帰れば、感染が起きうるとしています。
実際、ゴルフ場などのような蚊が大量にいそうな場所では、選手も観客も潜伏している蚊に刺されそうです。選手はギラン・バレー症候群になるやもしれず、妊娠を自覚していなかった女性観客は小頭症の赤ちゃんをもつことにもなるのかもしれません。
五輪の延期もしくは別の場所での開催ということが現実的には不可能であるということを認識しているであろうに、それをあえて主張する152名の研究者は、ジカ熱の深刻さを一般の懸念以上だとみなしているのでしょう(公開書簡の中では、中止も示唆されています)。
ブラジルは、政治的にも不安です。安全な五輪が開けるのかどうか。ブラジルに行く可能性は万に一つもない人間ではありますが、心配になってしまいます。
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