今年3月に女流名人を奪取し、女流本因坊とあわせ女流二冠となった藤沢里菜女流名人(18)が29日、東京都内で人工知能(AI)搭載囲碁ソフトの「Deep Zen Go」との公開対局に臨んだが、159手で中押しで敗れた女流棋士がAIとハンディなしで対局するのは初めて

 CS放送囲碁・将棋チャンネルの「日中竜星戦」エキシビションマッチとして約200人のファンが見守るなかでの対局。Zenの持ち時間は40分、藤沢女流名人は持ち時間30分を使いきり、15回ある1分の考慮時間を11回使うなど秒読みに追われた。

 「完敗ですね。これまでZenが対局してきた棋譜を参考にしながら、自分らしく打とうと思ったのですが、予想通りに強かった。いい経験になりました」と振り返った藤沢女流名人。「Zenは一手一手が手厚い。しかも大局観が素晴らしい。AIの打ち方を自分の対局に取り入れる棋士は増えており、影響は受けています」とAIとの付き合い方を話した。

 Zenは3月に開催されたワールド碁チャンピオンシップで中国の●(=くさかんむりの縦棒に挟まれた一を縦棒にし下に牛のノを取る)●(=日の下に立)廷(み・いくてい)九段(21)と韓国の朴廷桓(パク・ジョンファン)九段 (24)には敗れたが、井山裕太六冠(27)には勝っている。その直後の第5回電聖戦でも若手実力派の一力遼七段(19)に勝利するなど、囲碁AIでは国内ナンバーワンの実力をもつ。Zen開発チームの加藤英樹代表が「(1カ月前に対局した)電聖戦よりさらに負けにくい設定にしている」と臨んだ一戦は、「80手目あたりで勝率70%を超えた」と完勝だったよう。それでも「序盤に限れば一力さんや井山さんより強かったです」と、加藤代表は藤沢女流名人の打ちぶりを称賛していた。

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Deep Zen Goは、勝率計算ができるんですね。人間が途中でそんなことを考えたら、油断して途端に甘い手を打ちそうですが、そうならないようにプログラミングされているのでしょう。発想からして恐ろしい次元です。

とはいえ、そのDeep Zen Goに序盤は対等に戦えたという藤沢女流名人も、たいしたもの。井山六冠に迫る存在に、早くなってもらいたいものです。