すばらしい!文明の利器は、このように使われないといけません。
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脳腫瘍で4か月入院したが…タブレットの遠隔授業で単位修得、来月に高校卒業
脳腫瘍で長期入院していた京都市立洛陽工業高3年の男子生徒(18)が、病院と学校をテレビ会議システムでつなぐ「遠隔授業」で単位を修得し、3月3日に卒業することになった。一時は留年も心配されたが、学校や病院などが運営に協力。男子生徒は「心の支えになった」と感謝している。遠隔授業で入院中の高校生に単位が認定された例は初めてという。
男子生徒には昨春、物が二重に見える症状が表れた。京都大病院で脳腫瘍と診断され、7月中旬から約4か月間入院した。
入院時には出席日数が不足することがわかり、留年もちらついた。洛陽工は今年度で閉校するため、「洛陽工の最後の生徒として、1年生から一緒だった仲間と共に卒業したかった。僕の人生は終わった」と一時は絶望に陥ったという。
遠隔授業が窮状を救った。同病院で院内学級を開く同市立桃陽総合支援学校の校長が、洛陽工に、遠隔授業で出席が認められる国の制度を紹介。主に小中学生の教育を担う桃陽の教員が高校の免許を持っていたため、市教委が洛陽工との兼務を発令し、男子生徒に付き添うことになった。
病院も「学習の継続は治療意欲の向上に不可欠」と、無線ランの利用や治療日程の調節などを約束し、2学期から始まった。
■級友と雑談も「闘病生活の支え」
病院内の部屋のタブレット端末に、教室での授業を生中継。教室にいる教師が「この部分はどういう意味ですか?」などと入院中の男子生徒に問いかけ、男子生徒がタブレットに向かって回答する場面もあった。
男子生徒は遠隔授業で、国語や英語など全14科目を約300回受講し、卒業単位をそろえた。画面を通じて級友と雑談を楽しみ、級友が端末を使って中継した体育祭も観戦した。「抗がん剤による吐き気で食欲が落ち、体重は8キロも減った。厳しい闘病生活だったが、有意義な時間が過ごせ、心の支えになった」という。
今年1月に学校に復帰した男子生徒は補習に取り組み、級友も支えた。担任の幸田彰彦教諭は「クラスとつながり、一体感を持つことで勉強にも闘病にも前向きに取り組んでくれた。他の生徒も助け合うようになり、クラスの雰囲気が変わった」と話している。
■国が制度化、離島などで利用
文部科学省は2015年、高校生がテレビ会議システムの授業に参加したり、授業を録画したビデオを視聴したりすれば、授業に出席したと見なす遠隔授業の制度を整備した。卒業に必要な単位の半分未満を上限に、出席日数に算入できる。
不登校の生徒や専門教員の確保が難しい離島の高校で利用されているが、丹羽登・関西学院大教授(病弱教育)は「この制度で入院中の高校生がテレビ会議で遠隔授業を受けたことはこれまでに聞いたことがない」という。学校と病院に遠隔授業の必要性がまだ十分に認識されておらず、支援体制が未整備であることも背景にあるとみられる。
男子生徒の遠隔授業には教員が付き添った。丹羽教授は「病気の生徒は勉強以外の不安や悩みを抱えがちなので、対面で指導できる教員がいることも重要だ」と指摘する。
文科省特別支援教育課の担当者は、洛陽工の取り組みについて、「闘病のために退学を余儀なくされる高校生もいる中で、今回の取り組みは本当に良い事例だ。今後の参考にしたい」と話している。
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辛い化学療法を支えたのが、タブレットを通じた授業であり、それを300時間も受けたというのですから、頭が下がり、感激しました。涙があふれてくるほどよい話です。
勉強したい若者に勉強の機会を与える。この遠隔授業は、本当にすばらしい限りです。さらなる充実を図り、より多くの若者たちを助けてもらえばと願ってやみません。
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