井山七冠の孤高の奮闘に、力強い拍手を贈る

がんばれ、井山七冠！

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強行軍の井山、辛酸新年　世界囲碁名人戦、最下位に
朝日新聞　2018年1月18日14時26分

　日本の囲碁界を制し、世界一をめざす井山裕太名人・七冠は、年頭の緒戦を飾れなかった。今月８～１０日、中国・雲南省保山市で開催された第５回世界囲碁名人争覇戦は、中韓のトップ棋士２人に敗れ最下位に。２月に日本で打つＬＧ杯決勝三番勝負で巻き返しを期す。

　つかの間の正月休みが明けると、井山は超多忙な棋士生活に戻った。５日は大阪・日本棋院関西総本部の打ち初め式と国民栄誉賞の受賞決定会見、６日は地元東大阪市の囲碁まつり。その足で東京に向かい、７日早朝に羽田を発って中国へ。北京、昆明と飛行機を乗り継ぎ、約１６時間かけてミャンマー国境の街、保山に到着。その夜の組み合わせ抽選で翌朝の対局となった。

　保山はメノウや翡翠（ひすい）、琥珀（こはく）の産地で、これらを使った碁石が名産品だ。中世の明朝時代には皇帝に献上されたといわれる。会場の永子棋院は、中華風の豪壮な楼閣造りの８階建て。井山と中国の連笑名人との対局には５０人以上の取材陣が待ち構えていた。

《総譜》黒：井山　白：連 １７２手完、白中押し勝ち

参考図１

　握って井山の先番。右下のＡＩ定石から黒の大模様、白の実利の構図に。連の下辺白３４の打ち込みから開戦し、黒の攻めに白のさばきが焦点になった。中央黒５３の引きには、参考図１の黒１のアテから最強手段でいくべきだった、と井山。白６にはすっぽかして黒７とカカえてしまう。「白２と逃げ出して取られると、少々のことでは取り戻せないくらいの損になる」と言う。下辺は黒１１まで耐えている。

　決め手を逃したが、白７０の切断に、黒７１から７３が鮮やかな切り返し。黒７９まで隅をえぐって治まった。左上の白模様には黒８１の三々から策動。隅をおとりに８７から９１と上辺をめいっぱいに荒らし、黒優勢だ。

　しかし、秒読みの中で打った左辺黒１２３から１２５が痛恨の見損じ。白１２６と黒３３の一子を大きく取られた。まだ微細な局面だったが、悲観する井山は無理気味の勝負手を放って逆に形勢を損ね、好局を落とした。

序盤に誤算、劣勢を覆せず

《総譜》黒：李　白：井山 １６９手完、黒中押し勝ち

　９日は韓国の李世乭（イセドル）九段との対戦。これに勝てば１０日の決勝で連との再戦に持ち込める。右上白１０の三々から黒２７まではアルファ碁定石。井山は左下白２８のシチョウアタリから右上白３０と逃げ出したが、その後の展開に誤算があった。

参考図２

　黒３１が井山の読みになかった好手。参考図２の▲だ。白１のマゲに黒４とノビればａの急所が残り、白の注文どおりだが、黒は２の二段バネを用意している。黒三子を捨てて黒６まで外回りをとり、先手で下辺に回れば黒好調だ。

　実戦は白３２から動いたが、黒３７まで左右両方の黒にくつろがれ、白は不満だ。焦りがあったか、上辺白５２と打って形勢をはっきり悪くした。中央から上辺黒の一団を封鎖すれば息が長かった。黒５３に白５４から５８と強引に封鎖したが、形の悪さを突かれて巧妙に治まられ、黒８１と要石の黒６１を引っ張り出されては、中央の白がめっきり薄くなった。優勢になってからの李は盤石。井山の逆転を許さなかった。

世界一へ、ＬＧ杯が正念場

　井山自身の強い希望で、国内棋戦と掛け持ちしつつ世界に本格参戦して２年目となる２０１８年。好スタートとはならなかったが、世界戦は数をこなさなければ頂に登れないというのが井山の持論だ。

　「一度リードを奪っても、勝ちきるのは大変。一度リードを奪われると、逆転するのは大変。世界の厳しさを改めて感じ、いい経験ができた」と井山。「客観的にみて、世界戦にコンスタントに出場して、一ついいところに行けるかどうか、というのが今の自分の立ち位置」と話す。

　その絶好の機会が２月のＬＧ杯決勝だ。日本勢として１３年ぶりの世界メジャー制覇をねらう。今回、決勝で連を下し優勝した李は「井山はベストコンディションではなかった。ＬＧ杯が正念場だろう。優勝すれば世界でブレークするチャンスが広がる。逆に負ければ、チャンスは遠のくのでは」とみる。（大出公二）

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国民栄誉賞受賞決定のせいで、とんでもない過酷スケジュールに追い込まれた井山七冠です。昨日は、昨日で、東京で棋聖戦第1局1日目を迎え、それは今日の夕方まで続きます。

こんなスケジュールで、世界で戦えるのかと心配になりますが、井山七冠は、国内棋戦も世界棋戦も、臆せず戦い続けます。孤高のサムライと呼びたいがんばりぶりです。

世界名人戦は残念な結果でしたが、それはすでに過去のこと。まずは、棋聖戦を防衛し、2月のLG杯で優勝することです。七冠には、頑張ってもらいたいと祈念します。

2日目の今日、井山七冠の応援に、貧乏英語塾長、椿山荘まで出かけることにします。