同じ料金を払うなら、飲み放題をやめ、もっとごちそうを――。こんな発想で東京大や早稲田大などの学生がサークルをつくり、協力する店を広げている。「飲み放題」に疑問を感じて結成し、「会話を楽しみ、おいしい食事とお酒をじっくり味わう新しい食文化をつくりたい」という。

 「ごちそう会」は2012年に発足し、現在、学生十数人が活動する。飲食チェーンなどでは、飲み放題付きコースを設定する店も多い。グループで予約すると、酒を飲めない人も飲み放題を外せない場合がある。代表の野並新(あらた)さん(24)=東大大学院=は「サークルやクラスの飲み会はたいてい飲み放題付きコース。でも、飲めない人もいるし、その分料理が少ないこともある」。

 メンバーは飲食店に出向き、飲み放題ではなく「料理をメインにお酒は2杯」という「ごち会コース」をつくってもらえないか交渉する。応じた店は「ごち会」のサイトで紹介。いま、20店ほどに広がっている。学生限定でなく社会人がコースを利用できる店も多い。

 例えば、新宿区の早大近くの洋食店「イルデパン」はワインまたはソフトドリンク2杯と、肉料理をメインにした料理6品で2500円(税込み)。学生限定価格だが、同店オーナーの白井達昌さん(61)は「このコースだと、料理を楽しんでくれるので、作りがいがある」と喜ぶ。

 「ごち会」を創設した元東大生でコピーライターの東(ひがし)成樹さん(28)は「『ごち会文化』が広まれば、イッキ飲みや飲み過ぎによる事故も減っていく」と話す。同会のホームページはhttp://gochikai.com/。(浅野真)

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高田馬場の4月、5月は最悪です。夜の11時ぐらいに街を歩くと、あちこちで多くの学生たちが酔いつぶれ路上に寝ていて、大丈夫かと心配になります。飲めない人に飲ませてしまった結果です。

飲めない人も、飲める人も、酔っ払ってしまったら、愉しいことなどありません。まして飲酒経験の少ない新入生に酒を強制的に呑ませるなど、言語道断。急性アルコール中毒で、殺すことにもなりかねません。酒を味わい、料理を楽しんでこそ、会食も愉しくなるというものでしょう。

その意味で、この「ごちそう会」の発想は立派。ただ、賛同してくれる店が、サイトでチェックしてみたら、東京都内全域で19店しかありませんでした。東大と早大が動いても、その程度なのかと、飲み放題人気の高さに驚きます。

ですが、こうした活動が酒より美味しい料理という流れが大学生にも身についてくれるキッカケになるのではと大いに期待する次第です。

酒はたしなむものであり、酔いつぶれてしまうものではないのですから。