一日も早く実用化してほしい、画期的検査です。
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がんのにおいを好む線虫の特性を利用し、自動でがんを検査できる装置を開発したと、日立製作所が18日、発表した。九州大学発のバイオベンチャー「HIROTSU(ヒロツ)バイオサイエンス」(広津崇亮社長)と共同研究開発契約を結び、2020年までの実用化をめざす。
検査では、体長約1ミリの線虫50〜100匹を専用の容器の中央に入れ、隅に人の尿を垂らす。しばらく経つとがん患者の尿には近寄り、健康な人の尿からは遠ざかるという。
15年に論文発表した広津社長の研究では、早期がんの患者の尿にも反応した。従来の検査では1人の検査員が1日に3〜5人分しか判定できなかったことから、新技術でより多くの人が検査を受けられるようになると期待される。線虫は飼育しやすく費用も安く済むため、実用化すれば数千円で検査が受けられるという。
日立の久野範人・主任研究員は「共同研究で得た情報によって新しいビジネスチャンスが生まれると考えている」と狙いを話した。(村井七緒子)
線虫でがん検査、19年末にも=尿1滴で判定、実用化へ―九大ベンチャーと日立
体長約1ミリの線虫が、がん患者の尿に誘引される性質を利用したがん検査の実用化に向け、九州大発のベンチャー企業「HIROTSUバイオサイエンス」(東京都港区)と日立製作所は18日、共同研究を行うと発表した。日立が自動解析装置を開発し、2019年末から20年初めに保険が適用されない自由診療での実用化を目指す。
線虫の性質を発見した九州大助教で、同ベンチャー社長の広津崇亮さんは都内で記者会見し、「胃や大腸、膵臓(すいぞう)など消化器がんの臨床研究では(がんを判定できる)感度が90%。早期のがんも簡便で高精度に安く検査できる」と説明。費用は1回数千円を想定しているという。
線虫は大腸菌などを餌とし、飼育が容易。02年のノーベル医学生理学賞は線虫を使った遺伝学研究に授与された。
広津さんによると、容器に尿1滴を垂らし、約30分で線虫50〜100匹の過半数が尿に寄っていけば、がんと判定する。線虫は犬以上の嗅覚があり、がん患者の尿に特有な物質のにおいが餌に似ているため、誘引されると考えられる。
日立は尿に寄って行く線虫を数える方法ではなく、多数が集まると明るく見えることを利用した自動解析装置の開発を進めている。
尿を用いた安価・高精度のがん検査-日立とヒロツバイオが共同研究
ヒロツバイオの線虫がん検査法「N-NOSE」の実用化に向けて、日立が新規開発した線虫がん検査自動解析技術を活用した検査の自動化について、共同研究を進める。
ヒロツバイオは九州大学発のベンチャー企業。2015年に論文発表した線虫を用いるがん検査法「N-NOSE(エヌノーズ)」の実用化をめざしている。この検査法は被験者の尿を試料として用いるもので、がん患者の尿には近づくが、健常者の尿からは離れていく線虫の特性(化学走性)によってがんの検診を行うものだ。
同検査法は簡便で安価な方法でありながら、多種類のがんを高精度・早期に発見可能という特徴を持つ。画像診断では判読しにくい臓器のがんも検出でき、早期がんから発せられるごくわずかな物質を感知可能であるため、腫瘍マーカーでは検知が難しいステージ0〜1のがんにも反応するという。
現状、がん検診では対象部位ごとにエコーやMRI、マンモグラフィなどの精密検査を受診するのが主流だが、精密検査の費用が高いこと、早期がんは画像に反映されづらいなどの要因から、がん検診の受診率は3割弱〜4割(2013年・厚生労働省「国民生活基礎調査」より)と低い水準となっている。
同検査法の安価・高感度という特徴から、ヒロツバイオ 代表取締役 広津崇亮氏は「第一選択のがん検査として『N-NOSE』を実用化したい」とコメント。まずは「N-NOSE」によるがん検査を受け、それが陽性となった人に対して精密検査を促すフローを提供することで、受診率の向上を見込む。
○人の手で行っている検査の自動化をめざす
現状、「N-NOSE」は人の手によって検査を行っているため、1人の検査員が1日に検査可能な人数は3〜4人程度となっている。今後世界市場で展開する上でさらに検査の高速化を図るため、今回日立との共同で、自動解析装置による検査の自動化に関する研究を進めていく運びとなった。
今回発表されたのは、尿検体と線虫の分注を行う「自動分注システム」と、線虫の動きを撮影して検査結果を導く「自動撮像・画像解析システム」の2件。線虫の培養以後のフローを機械化する想定だ。
日立 研究開発グループ 基礎研究センタ 久野範人氏は、「現状のスループットは人力検査とほぼ同等程度。そのため、共同研究のメインターゲットは、作業の高速化にある」と語った。いずれのシステムも、1度に4プレートを処理することが可能となっている。
「自動撮像・画像解析システム」では、小さい線虫を機械が検出・計数するのは難しいため、プレートをブロックに分割して、それぞれの区画の輝度を指標としている。ブロック内に線虫が多いと明るく、少ないと暗く見えるため、デジタル化したパターンで計測が可能となった。
なお、「N-NOSE」は2019年10月の完成を目指している。自由診療で、病院を介した状態での実用化を想定しており、(受診者が支払う)検査費は1回数千円程度となるということだ。
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