つい最近、テレビを見ていて2回ほど暗澹たる気持ちになった。
1回目は「笑っていいとも!」だった。
何年かぶりに見た「いいとも」には、
「アルタの中心で愛を叫ぶ」という便乗コーナーが出来ていた。
秘めた想いを公共の電波を使って告白するという、
実に「いいとも」らしい緩い企画である。
タモリに紹介され出てきた素人を見て私は凍り付いた。
■甲高い声
■妙にハキハキと喋り、しかも早口
■髪はグシャグシャ、服も・・・
リュックこそ背負っていなかったものの、
髪の先から足の先まで、毛穴という毛穴からオタク臭を発していた。
「もうこのまま帰してやってくれ」と願う私の声がタモリに届くはずもなく、
タモリは「想いを伝えたい相手は?」とマイクを向けた。
彼は言った。
「ネットゲームで知り合った●●ちゃんです」
うなだれる私をよそに、
ブラウン管の向こうでは明らかに「珍獣」として扱われる彼と、
そのことに気付きもせず
薄ら笑いで彼女の自慢話を続ける彼とのやり取りが続いていた。
やがて告白の時を迎え、彼は一際大きな声で言い放った。
「●●ちゃん、ゲームの中では僕は戦士!君は魔法使い!
これからはリアルの君も守りたい!」
*(記憶曖昧につき多少違う可能性あり)
「瞳をとじて/平井堅」が流れた。
出演者も会場も湧きに湧いた。
爆笑で。
2回目は「ナイナイサイズ」だった。
ナインティナインの二人があちこちを散策する深夜番組だ。
この日のテーマは「秋葉原」だった。
もうこの時点で嫌な予感はあったのだが、
案の定、矢部が向かったのはメイド喫茶だった。
メイドのコスプレをした店員が出迎えてくれる、
秋葉原では(色んな意味で)話題の店だ。
「おかえりなさいませ、ご主人様っ♪」
メイド服に身を包んだ従業員がにこやかに店内へと招き入れる。
矢部が通された席の隣りには、
どう見ても30過ぎのグループが4、5人で談笑していた。
場所が場所なだけに、一般人に成りすます必要のない彼等はエンジン全開だ。
矢部が話しかけた太り気味の男は、曇りなき眼でコスプレ喫茶を絶賛した。
「最高です。僕はメイド萌えなんで、えっへっへっ」
*(これもうろ覚え)
画面下部には
「萌え=好き過ぎて気持ちが高まる状態」
などとスーパーが入っている。
彼を見る矢部の表情は「いいとも」出演者のそれと全く同じだった。
私はいたたまれなくなってチャンネルを変えた。
うちの姉はゲームを全くやらない人なので、
「ゲームをやっている大人=オタク=気持ち悪い」
みたいな図式が未だに根強く残っている。
これは姉に限らず、世間一般の人に多い固定観念だとは思うが、
こういう男達を見るにつけ、「そうでもないんだよ」と言えなくなってしまう。
100人の「普通の人」が築き上げたイメージは、
1匹の「珍獣」で簡単に塗り替えられてしまうものなのだ。
私は彼等にネットゲームやコスプレ好きを止めろと言っているわけではない。
30過ぎてようが、太ってようが、服装のセンスが酷かろうが、
そんなのはこの際全部許そう。
ただ、マイノリティであることを自覚して、節度だけは守って欲しい。
カメラを向けられたら断るぐらいの恥じらいを残しておいて欲しいのだ。
自分を第三者の視点から見つめることが出来なくなった時、
真のオタク道が開けるのかも知れないが、
それは同時に「陽の当たる場所」からの決別を意味することを肝に銘じて欲しい。
ちなみに、私はちゃんとカメラから逃げている。
1回目は「笑っていいとも!」だった。
何年かぶりに見た「いいとも」には、
「アルタの中心で愛を叫ぶ」という便乗コーナーが出来ていた。
秘めた想いを公共の電波を使って告白するという、
実に「いいとも」らしい緩い企画である。
タモリに紹介され出てきた素人を見て私は凍り付いた。
■甲高い声
■妙にハキハキと喋り、しかも早口
■髪はグシャグシャ、服も・・・
リュックこそ背負っていなかったものの、
髪の先から足の先まで、毛穴という毛穴からオタク臭を発していた。
「もうこのまま帰してやってくれ」と願う私の声がタモリに届くはずもなく、
タモリは「想いを伝えたい相手は?」とマイクを向けた。
彼は言った。
「ネットゲームで知り合った●●ちゃんです」
うなだれる私をよそに、
ブラウン管の向こうでは明らかに「珍獣」として扱われる彼と、
そのことに気付きもせず
薄ら笑いで彼女の自慢話を続ける彼とのやり取りが続いていた。
やがて告白の時を迎え、彼は一際大きな声で言い放った。
「●●ちゃん、ゲームの中では僕は戦士!君は魔法使い!
これからはリアルの君も守りたい!」
*(記憶曖昧につき多少違う可能性あり)
「瞳をとじて/平井堅」が流れた。
出演者も会場も湧きに湧いた。
爆笑で。
2回目は「ナイナイサイズ」だった。
ナインティナインの二人があちこちを散策する深夜番組だ。
この日のテーマは「秋葉原」だった。
もうこの時点で嫌な予感はあったのだが、
案の定、矢部が向かったのはメイド喫茶だった。
メイドのコスプレをした店員が出迎えてくれる、
秋葉原では(色んな意味で)話題の店だ。
「おかえりなさいませ、ご主人様っ♪」
メイド服に身を包んだ従業員がにこやかに店内へと招き入れる。
矢部が通された席の隣りには、
どう見ても30過ぎのグループが4、5人で談笑していた。
場所が場所なだけに、一般人に成りすます必要のない彼等はエンジン全開だ。
矢部が話しかけた太り気味の男は、曇りなき眼でコスプレ喫茶を絶賛した。
「最高です。僕はメイド萌えなんで、えっへっへっ」
*(これもうろ覚え)
画面下部には
「萌え=好き過ぎて気持ちが高まる状態」
などとスーパーが入っている。
彼を見る矢部の表情は「いいとも」出演者のそれと全く同じだった。
私はいたたまれなくなってチャンネルを変えた。
うちの姉はゲームを全くやらない人なので、
「ゲームをやっている大人=オタク=気持ち悪い」
みたいな図式が未だに根強く残っている。
これは姉に限らず、世間一般の人に多い固定観念だとは思うが、
こういう男達を見るにつけ、「そうでもないんだよ」と言えなくなってしまう。
100人の「普通の人」が築き上げたイメージは、
1匹の「珍獣」で簡単に塗り替えられてしまうものなのだ。
私は彼等にネットゲームやコスプレ好きを止めろと言っているわけではない。
30過ぎてようが、太ってようが、服装のセンスが酷かろうが、
そんなのはこの際全部許そう。
ただ、マイノリティであることを自覚して、節度だけは守って欲しい。
カメラを向けられたら断るぐらいの恥じらいを残しておいて欲しいのだ。
自分を第三者の視点から見つめることが出来なくなった時、
真のオタク道が開けるのかも知れないが、
それは同時に「陽の当たる場所」からの決別を意味することを肝に銘じて欲しい。
ちなみに、私はちゃんとカメラから逃げている。