忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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2005年のハリウッドが数年後のゲーム業界に見える

2005年07月10日 | 業界四方山話
米映画館の低迷長期化 魅力不足、DVD普及で(共同通信)

>米国で映画館に足を運ぶ人の減少傾向が過去20数年間で
>最も長期化していることが1日までに分かった。
>作品の魅力不足やDVD市場の拡大が背景にあるようだ。
(中略)
>前年同期比の統計では18週連続の減少となり、
>本格的に統計が始まった1982年以降、最も長期間の「低迷」となった。

「宇宙戦争」出足鈍く…ハリウッド大作、窮地(産経新聞)

>「スター・ウォーズ」のシリーズで知られる巨匠、
>ジョージ・ルーカス監督は公の場で
>「投資額の回収が困難になっている。大作はもうつくらない」と発言し、
>関係者を驚かせた。
(中略)
>ルーカス監督は、自身が米カリフォルニア州サンフランシスコに開設した
>デジタル芸術の製作拠点の開所式で
>「製作費が一億ドル(約百億円)を超える大作映画はもうつくらない。
>投資額回収の可能性がどんどん小さくなっているからだ。
>私は小規模な映画により興味を持っている」と語った。

アニメ、純愛で邦画好調 低迷ハリウッド尻目に(共同通信)

>ある洋画配給会社は「米映画が流行の先端だった時代は終わり、
>身近な邦画の面白さが理解され始めた。
>リメークや続編ばかりのハリウッドのネタ不足も深刻だ」と指摘する。

松本人志の「シネマ坊主2」という本の後書きに、
今私がゲーム業界に対して感じていることとほぼ同じ記述があった。
細かな部分が違うかも知れないが、大まかな内容は以下の通り。

>ここ数年でハリウッド映画がますます面白くなくなってきました。
>原因は「ハリウッドは策に溺れた」ということじゃないかと思います。
>面白い映画はこうあるべき、というマニュアルというか
>公式が出来てしまって、それに従ってやってきた結果、
>逆に画一的になって裏切りがなくなってしまった。
>「ハリウッド映画は裏切らない」というのは
>最初は褒め言葉だったんですけど、
>あるときから失望の意味になってしまっていたのに、
>ハリウッドはそれに気付かなかったんでしょうね。
>そういう意味では、どこから球投げてくるかわからない
>韓国映画がすごい勢いで台頭してきたのは、
>表裏の現象というか、必然的な流れだったと思いますね。

E3で発表された、見る物を圧倒する映像、
ずらりと並んだ馴染みのタイトル群、
ソフトメーカーから漏れ伝わってくる製作費の高騰は
まさに現在のハリウッドの構造そのものではないか。
映画に関して先行しているハリウッドは邦画より先に行き詰まり、
ゲームに関して先行している日本は北米より先に行き詰まり、
そして、家庭用ゲーム機の礎を築いた任天堂は
どこよりも早くその危険性を察知し、
対策を講じようとしているのではないか。
ルーカスやスピルバーグが小粒な作品を手掛け始めているように、
任天堂が非ゲームユーザーの掘り起こしや、
ゲームから離れてしまった大人の呼び戻しに
力を入れているのも、極自然の流れなのだろう。

北米市場では相変わらずの刺激性重視、
グラフィック重視の流れが続いているが、
永遠に肥大化していくと思われた
ハリウッド映画の大作主義がふいに頭打ちになったように、
いずれゲームにも同じ流れがやってくるはずだ。

刺激に慣れたら「強い刺激」を
それに慣れたら「より強い刺激」を
それにも慣れたら「さらに強い刺激」を。
私は麻薬中毒患者ではないぞ。

*先週は「応援団の応援ウィーク」と勝手に決めていたため
 タイミングを見計らっている間に古くなってしまったが、
 業界にとっては長期的な話なので敢えてお蔵入りにせずアップしてみた。
コメント (38)
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