忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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2022年10月1週発売の新作、松任谷由実「ユーミン万歳!」とサブスクの功罪

2022年10月02日 | 今週発売の新作


▼Amazon Kindleストアにてニコニコカドカワ祭りが開催中


10月13日まで★【最大50%OFF以上】 計10,000点以上! KADOKAWA ニコニコカドカワ祭り2022

10月13日までの2週間開催。
対象作品数が1万点を超える大規模セールなので、コミック、エッセイから
小説、ビジネス、ライフスライルまでお探しの本がきっと見つかるはず。



▼10月はAmazonの新しい端末が続々発売


10月12日発売■Amazon:NEW Kindle 6インチディスプレイ 16GB 広告あり
10月19日発売■Amazon:NEW Fire HD 8 タブレット 32GB ブラック
10月19日発売■Amazon:NEW Fire HD 8 Plus タブレット 32GB グレー
10月20日発売■Amazon:NEW Echo Studio スマートスピーカー with Dolby Atmos & Alexa
10月27日発売■Amazon:New Fire TV Cube
11月30日発売■Amazon:New Kindle Scribe 10.2インチ 16GB 手書き入力機能・ペン付き

今月はAmazonのオリジナルガジェットが大量に新モデル・新商品を投入。
私的には「NEW Fire HD 8」が気になるが、初の手書き入力対応モデルの「Kindle Scribe」も話題。



▼楽天お買い物マラソン、次回は10月4日20時から


10月4日20時〜10月11日1時59分★楽天お買い物マラソン 2022年10月度

現在事前登録受付中。



▼今週発売の新作リスト早見表

<Amazon>
★Amazon 7日以内にリリースの注目作品の売れ筋ランキング(書籍全般)
★Amazon 7日以内にリリースの注目作品の売れ筋ランキング(映像全般)
★Amazon 7日以内にリリースの注目作品の売れ筋ランキング(音楽全般)
<楽天>
★楽天ブックス 今週発売の新作リスト(ゲーム全般)
★楽天ブックス 今週発売の新作りスト(書籍全般)
★楽天ブックス 今週発売の新作りスト(映像全般)
★楽天ブックス 今週発売の新作りスト(音楽全般)



▼今週発売の新譜


<Amazon>
10月04日発売■CD+Blu-ray:ユーミン万歳! ~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~
<楽天ブックス>
10月04日発売■CD+Blu-ray:ユーミン万歳! ~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~

今年でデビュー50周年を迎える松任谷由実が、全国の民放ラジオ局と連動して募っていた
リクエスト企画「ユーミンリクエストWEEK」で集まった楽曲で構成したベストアルバム「ユーミン万歳!」が今週発売。
3枚組CDのみの通常版、Blu-ray付き初回盤A、DVD付き初回盤Bの3種形態。
CDはリクエストの50曲に新曲「Call me back」を加えた全51曲を収録。
グラミー賞受賞経験を持つ日本人エンジニアGO HOTODAによる2022年最新リマスタリング。

・リスナーからのエピソードを掲載したブックレット(80P予定)
・初回限定盤三方背ケース、3面デジパック、ブックレット、折り込み大型両面ポスター
・特典映像:荒井由実×松任谷由実 ダイアローグ/「Call me back 」Music Video

<DISC 1>
01. 真夏の夜の夢
02. 中央フリーウェイ
03. ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ
04. ひこうき雲
05. 緑の町に舞い降りて
06. 青春のリグレット
07. DOWNTOWN BOY
08. 瞳を閉じて
09. 卒業写真
10. 最後の春休み
11. リフレインが叫んでる
12. よそゆき顔で
13. 輪舞曲(ロンド)
14. サーフ天国、スキー天国
15. 海を見ていた午後
16. 情熱に届かない~Don't Let Me Go
17. カンナ8号線

<DISC 2>
01. Hello, my friend
02. やさしさに包まれたなら
03. 5cmの向う岸
04. ダイアモンドダストが消えぬまに
05. 恋人がサンタクロース
06. WANDERERS
07. シンデレラ・エクスプレス
08. ノーサイド
09. ダンスのように抱き寄せたい
10. DESTINY
11. 満月のフォーチュン
12. 消灯飛行
13. ホライズンを追いかけて~L'aventure au désert
14. 星空の誘惑
15. セシルの週末
16. 花紀行
17. 春よ、来い

<DISC 3>
01. Valentine's RADIO
02. 真珠のピアス
03. 翳りゆく部屋
04. SWEET DREAMS
05. 潮風にちぎれて
06. Forgiveness
07. 冬の終り
08. あの日にかえりたい
09. ルージュの伝言
10. 埠頭を渡る風
11. ベルベット・イースター
12. VOYAGER~日付のない墓標~
13. 守ってあげたい
14. 宇宙図書館
15. ANNIVERSARY
16. 青いエアメイル
17. Call me back

かつては「私はニューアルバムがベストアルバム。だからベストアルバムは必要ない」と
豪語していたユーミンも、東芝EMIの経営不振を受け経営陣からたっての願いを聞き入れて
1998年にリリースした「Neue Musik」がトルプルミリオンを超えるセールスを記録してからは
2001年11月「sweet,bitter sweet〜YUMING BALLAD BEST」
2007年3月「SEASONS COLOURS -春夏撰曲集-」
2007年10月「SEASONS COLOURS -秋冬撰曲集-」
2012年11月「日本の恋と、ユーミンと。」(40周年)
2018年4月「ユーミンからの、恋のうた。」(45周年)とベストアルバムを定期的にリリースしている。
オリジナルアルバムのリリースペースは年2枚出していた頃と近い最近は数年に1枚なので
「いつもベストばかり出している」と感じる人も多いかもしれない。
だがこうしてみると「日本の恋と、ユーミンと」ですらもう10年前なのだな。
とすれば、5年おきのベストもまぁ周年のご祝儀としてはありだろう。

山下達郎や中島みゆきら同世代のアーティストが未だサブスクに難色を示す中で
ユーミンは2018年よりサブスクを解禁し、ティーンなど若年層の間で認知度が高まっている。
今回はサブスク解禁後初のベストアルバムになるので
SpotifyやApple Musicをきっかけに最近ハマったという人にもリーチするであろうし
積極的なメディア露出も後押しして結構売れるのではないかと思う。

古参のファンからすれば、もう手を替え品を替えてどの曲も
どれかのベストには入ってそうなので(多過ぎて覚えていない)
興味があるとすればGO HOTODAのリマスタリングがいかほどのものかぐらい。
あとは、「エヴァ完結編」で庵野秀明がユーミンに直訴して採用が決まった
「VOYAGER~日付のない墓標~」が収録されることぐらいだろうか。
昔はユーミン本人もこの曲には満足はしていないと語っていたのだが
聞き手が喜ぶならそれで良いという境地に達したのか、今年の苗場でも披露していた。
随分と丸くなったものだ。

光GENJIの全盛期、諸星を自身がDJを務めるオールナイトニッポンにゲストとして招き
キツいツッコミを繰り広げた(本人達は盛り上がっていた)ところ、
翌週の放送で大量のクレームが来たと報告し「あなたは一体、自分のことを何様だと思ってるでんすか!」という
ファンからの怒りを敢えてピックアップして読み上げ、「私はね、自分のことをユーミン様だと思ってるのよ」と
返していたあのユーミンが、時を経て古希を間近にこんなにも温厚な人になるとは。
まさに「経る時」である。



新曲「Call me back」もAI美空ひばりのような背筋の寒くなる企画だったらどうしようかと
心配していたが、ほんの少し残る違和感をアンドロイドの歌声に見立てたMVに感心した。
「テクノロジーの進化もここまできました」というSF的な曲にすることで
時空を超えて響きあう荒井と松任谷が違和感なく共存している。


10月03日発売■雑誌/Kindle:BRUTUS 2022年 10月15号 民放ラジオ99局と作る松任谷由実特集
10月13日発売■雑誌/Kindle:ギター・マガジン 2022年11月号 特集:ユーミンとギタリスト

ベストアルバム発売に合わせた関連商品やイベント、テレビ出演なども目白押し。
3日には「BRUTUS」、13日には「ギター・マガジン」で特集が組まれ、
テレビ出演は2日にテレ朝「関ジャム」の後編、日テレ「行列のできる法律相談所 2時間SP」、
4日にはテレ朝「タモリ倶楽部」でまさかのユーミン楽曲縛り「空ユミアワー」を開催
6日にNHK「SONGS」、8日にフジ「Mフェア」でユーミンカバー特集などなど。
「Mフェア」では林原めぐみが「VOYAGER」を披露するようなので
タモリ倶楽部とセットで予約済み。




<Amazon>
10月05日発売■CD+DVD:原田知世のうたと音楽~デビュー40周年記念ベスト・アルバム
<楽天ブックス>
10月05日発売■CD+DVD:原田知世のうたと音楽~デビュー40周年記念ベスト・アルバム

80年代アイドルの中でも、女優業と歌手業の両立を最も上手くやっている原田知世の40周年記念ベスト。
松任谷由実、林哲司、坂本龍一、鈴木慶一、大貫妙子と全盛期は錚々たるメンバーが支え、
伊藤ゴローのプロデュースに落ち着いてからも土岐麻子や川谷絵音など人選が面白く良作が多い彼女だけに
あまり深く聞いて来なかった方にもこのベストで知っていただきたいところ。
CDは2枚組で30曲入り、初回限定盤DVDには、10曲分のミュージックビデオと
2022年6月のBunkamuraオーチャードホール公演の最新ライヴ映像を収録。



<DISC.1>
01. 悲しいくらいほんとの話
02. 時をかける少女
03. ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ
04. 愛情物語
05. 天国にいちばん近い島
06. 雨のプラネタリウム
07. 彼と彼女のソネット
08. さよならを言いに
09. 早春物語
10. 100 LOVE-LETTERS
11. ロマンス
12. シンシア
13. 恋をしよう
14. Tears of Joy
15. 空と糸 -talking on air-

<DISC.2>
01. くちなしの丘
02. Anywhere
03. FINE
04. 名前が知りたい
05. 夢の人 (I’ve Just Seen a Face)
06. September
07. やさしさに包まれたなら
08. 地下鉄のザジ (Zazie dans le metro)
09. 銀河絵日記
10. 冬のこもりうた
11. A面で恋をして
12. A Doodlin’ Song
13. ヴァイオレット
14. 一番に教えたい
15. 時をかける少女 (2017 version)

伊藤ゴローと組んでからのここ10年でディスク2を1枚丸ごと使ったか。
私的にはディスク1がこれでは駆け足過ぎるのでCDは3枚組にして欲しかった。

<DISC.3 DVD>
01. ロマンス (Music Video Selection)
02. シンシア (Music Video Selection)
03. 空と糸 -talking on air- (Music Video Selection)
04. くちなしの丘 (Music Video Selection)
05. FINE (Music Video Selection)
06. 夢の人 (I’ve Just Seen a Face) (Music Video Selection)
07. September (Music Video Selection)
08. ロマンス (2017 version) (Music Video Selection)
09. 銀河絵日記 (Music Video Selection)
10. A面で恋をして (Music Video Selection)
11. 冬のこもりうた (Live at Bunkamura Orchard Hall 2022)
12. 時をかける少女 (Live at Bunkamura Orchard Hall 2022)




<Amazon>
10月05日発売■Blu-ray:Official髭男dism 「one-man tour 2021-2022 -Editorial-」
10月05日発売■Blu-ray:ZARD 30周年記念ライブ “What a beautiful memory ~軌跡~”
<楽天ブックス>
10月05日発売■Blu-ray:Official髭男dism 「one-man tour 2021-2022 -Editorial-」
10月05日発売■Blu-ray:ZARD 30周年記念ライブ “What a beautiful memory ~軌跡~”



▼今週発売の映像ソフト


<Amazon>
10月07日発売■4K:バズ・ライトイヤー 4K UHD MovieNEX
10月07日発売■4K:DUNE/デューン 砂の惑星 4K ULTRA HD&ブルーレイセット
10月07日発売■4K:ジョーカー 4K ULTRA HD&ブルーレイセット
10月07日発売■4K:DOOM ドゥーム 4K Ultra HD+ブルーレイ
10月07日発売■4K:スター・トレック 4K Ultra HD+ブルーレイ 関連商品一覧
<楽天ブックス>
10月07日発売■4K:バズ・ライトイヤー 4K UHD MovieNEX
10月07日発売■4K:DUNE/デューン 砂の惑星 4K ULTRA HD&ブルーレイセット
10月07日発売■4K:ジョーカー 4K ULTRA HD&ブルーレイセット
10月07日発売■4K:DOOM ドゥーム 4K Ultra HD+ブルーレイ
10月07日発売■4K:スター・トレックI ディレクターズ・エディション 4K Ultra HD+ブルーレイ
10月07日発売■4K:スター・トレックII カーンの逆襲 4K Ultra HD+ブルーレイ
10月07日発売■4K:スター・トレックIII ミスター・スポックを探せ! 4K Ultra HD+ブルーレイ
10月07日発売■4K:スター・トレックIV 故郷への長い道 4K Ultra HD+ブルーレイ
10月07日発売■4K:スター・トレックV 新たなる未知へ 4K Ultra HD+ブルーレイ
10月07日発売■4K:スター・トレックVI 未知の世界 4K Ultra HD+ブルーレイ



▼今週発売のゲーム


<Amazon>
10月06日発売■Switch:NieR:Automata The End of YoRHa Edition ニーア オートマタ ジ エンド オブ ヨルハ エディション
10月06日発売■PS4:No More Heroes 3
<楽天ブックス>
10月06日発売■Switch:NieR:Automata The End of YoRHa Edition ニーア オートマタ ジ エンド オブ ヨルハ エディション
10月06日発売■PS4:No More Heroes 3


10月05日配信■PS4/PS5/XBX|S/XBO/Switch:オーバーウォッチ 2



▼今週発売の書籍


<Amazon>
10月06日発売■書籍/Kindle:「神様」のいる家で育ちました 〜宗教2世な私たち〜
<楽天ブックス>
10月06日発売■書籍:「神様」のいる家で育ちました 〜宗教2世な私たち〜


<Amazon>
10月04日発売■コミック/Kindle:SPY×FAMILY 10 / 遠藤達哉
10月04日発売■コミック/Kindle:僕のヒーローアカデミア 36 / 堀越耕平
10月04日発売■コミック/Kindle:チェンソーマン 12 / 藤本タツキ
<楽天ブックス>
10月04日発売■コミック:SPY×FAMILY 10 / 遠藤達哉
10月04日発売■コミック:僕のヒーローアカデミア 36 / 堀越耕平
10月04日発売■コミック:チェンソーマン 12 / 藤本タツキ



▼サブスクの功罪

さて、いつかどこかで書こうと思っていた、川本真琴の発言に端を発したサブスク問題について
ちょうど良い機会なので少しだけ書いておきたい。

●サブスクは音楽業界を救ったか… 川本真琴の「地獄に堕ちて」発言で物議

経緯をご存じない方のために簡単に説明すると、シンガーシングライターの川本真琴が
9月20日に自身のTwitterアカウントを使って「サブスクでの利益がどれだけ少ないかを知ってほしい」
「サブスクというシステムを考えた人は地獄に堕ちてほしいと思っている」とツイートし
SpotifyやApple Musicで音楽を楽しんでいるユーザーなどから賛否両論が巻き起こる事態となった。
川本は今年2月にサブスクを解禁し「色んな年代の人に聞いてほしい」とPRしていたので
約7ヶ月経ってみて、実入りの少なさに愕然として翻意したと考えるのが妥当だろう。
炎上を見てか発言の真意を捕捉するツイートもしているが、どう贔屓目に読んでも後付けっぽいので
やはり最初のツイートに本心が集約されていると考えて良さそう。

サブスクについては、山下達郎のように「表現に携わっていない人間が自由に曲をばらまいて、そのもうけを取っている」と
はっきりと否定派の立場を表明し、「死ぬまでやらない」と宣言しているアーティストもいれば
わざわざ宣言はしていないが後ろ向きな中島みゆきのようなアーティストもいる。
(みゆきは一部のサブスクでベストアルバムのみ解禁している)
達郎の場合、竹内まりやは解禁しているので、長く指摘していた音質の問題は解決されたと見て良いのか
支持層的にまりやは解禁した方が良いとのビジネス的な判断なのかは良く分からない。

私は年齢的にもうインプットはほどほどで良いと考えていて
それほど多くのアーティストを発掘したいという気持ちはない。
今年に入って買ったCDは10枚ほどだが、ここ数年で知ったアーティストは藤井風ぐらいで
残りは何十年と活躍しているアーティストのベストや名盤のリマスターである。
あ、後藤輝基の「マカロワ」も買ったな。
達郎ほどの極端な否定派ではないが、かといって肯定派に肩入れするつもりもない。
サブスクに功罪あるのは事実だし、功よりも罪の方が大きいと思うところもある。
少なくとも七尾旅人や川本真琴にとっては功よりも罪が大きかったのだろうし
アーティストが「これじゃ食えない」とボヤく自由まで奪う気はない。

サブスクの肯定派が良く口にする「新しいアーティストを知ることができた」
「古い名曲にハマっている」というのは、確かに事実だろう。
YouTubeでいくらでも過去の映像が見られるし、Tik Tokやインスタで
私の世代のヒットソングが使われた動画も良く見かける。
それは文化の継承として正しいし、例えば今年における中森明菜の紅白待望論などは
往年のファンの熱量だけで形成される空気とはとても思えない。
確実に10代、20代の新規のファンが増えている。
だが、「新しく知ってもらった」ことが、すぐさまビジネスとして利益に繋がっているかは怪しい。
作詞作曲まで自分で行うソロのシンガーソングライターであればまだマシとしても
昭和の歌手のように自作をしない歌唱印税しか入らないタイプだと、実入りはほとんどないと思われる。
YouTubeに違法アップロードされた動画が何百万回再生されようが
そこでパフォーマンスしているアーティストには1円も入らないし
SpotifyやApple Musicなどで100万回再生されたところで、
作家・所属事務所・歌唱者で分配された残りなどたかが知れているはず。
少し話が逸れるかも知れないが、昔サンドウィッチマンの伊達がテレビで
「ロケ番組で街に出ると、『ファンです』と寄ってくる人がいて、
『いつもYouTubeで漫才見てます!』と言われると微妙な気持ちになる」と言っていることがあった。
その動画はオフィシャルではないので何万人に見てもらっても1円にもならないし
かと言って向こうに悪気がないこともわかるので何も言えないと。
サブスクに対して否定的なアーティストの何割かは、この時の伊達の心境に似ているのではないかと推察する。

「知ってもらった」として、それで何か自分の生活が変わったのかと考えた時に何も潤っていなければ意味がない。
「ライブに回帰せよ」と言う人も多いが、現役の若手ならまだしも
高齢のアーティストだと精力的なライブ活動は難しいし、ライブはせずレコーディングした音源だけで
活動しているアーティストにとっては手詰まりになりかねない。
「物理メディアを買うほどではないがサブスクでは良く聴かれているインディーズアーティストが
実は一番儲かっている」との話も某音楽関係の知人から聞いたことがあるが、それはやはり歪だと思う。
「サブスクきっかけで新しく知った」ことが次のステップに進まないまま、
「知られ損」になっているアーティストが多いことが、賛否両論になっている原因ではないだろうか。
サブスクの収入にはハナから期待をせず、ライブの集客に繋げるための広告媒体と割り切ることができるのは
松任谷由実や桑田佳祐のようにもう一生分稼いでいて、かつCDを出せばまだちゃんと買ってくれる
年季の入ったファンのいるアーティストぐらいではないかと思う。
もしくは、物理メディアの時代の旨みを知らず、ネット配信から出てきた&圧倒的な集客力を持つ
藤井風のような新進のアーティストか、である。

●サカナ山口一郎、スピッツ草野もサブスク巡り「収入はほぼ無い」「かなり違和感」過去に深刻な裏側告白

両名ともかなりのビッグネームながら、やはりサブスクの収入は厳しいと嘆いている。
ただ、アーティストは物理メディアとライブの売り上げだけで生計を立てているわけではない。
ユーミンと同世代のレジェンドミュージシャンの某が何年か前のライブのMCで
「何十年も昔の曲がCMに起用されたんだけど半年の使用料が400万円もあるの!」と
嬉しそうに話していて、仰天したのを覚えている。
契約延長を繰り返して現在も流れているので、継続して年間800万が入っている計算だ。
全国規模で大量に流れているCMではなく、ポツポツ見かける企業広告でこのギャランティなのかと驚いた。
サカナクションやスピッツはドコモやゴールデンタイムのドラマなど
大企業のタイアップがいくつもついているので、使用料は上記の何倍、下手をすれば何十倍であろうし
サブスクに頼らなくてもやってはいけるはず。
問題は、そんな彼らですら見過ごせないと思うほどサブスクの収入が少ないことで
これを解決するのはそう容易いことではない。

月々1,000円ほど払っただけで、世界中の音楽を聴き放題のサブスクは確かに安い。
しかし安いからこそ、そこからアーティストに分配される金額は極端に少なくなる。
Spotifyはコロナ禍によるアーティストの救済策として
「Spotify for Artists」を立ち上げ、アーティストがユーザーに対して支援を募る、
YouTubeなどで言うところの投げ銭ができるシステムを開始したが
広告付きの無料モデルでSpotifyを利用しているユーザーはほぼ使わないであろうし
有料ユーザーもこのシステムを使ってお気に入りのアーティストを支援している方は
ほとんどいないのではないかと思う。
もっと簡単に、有料のメルマガを登録するような手軽さで
月額いくらという形でアーティストに継続課金する仕組みはできないものだろうか。
天地真理は未だ存続するファンクラブの年会費を介護施設の利用料に充てていると聞いたことがある。
サブスクを敵視するのではなく、継続した収益を上げる媒体として折衷案を提示し
システムを提供する側、コンテンツを提供する側、利用する側の皆が幸せになるシステムが出来てほしい。

コメント (6)
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