FIFA女子ワールドカップ2019フランス大会の準決勝の組み合わせ決定は6月30日早朝。アメリカとイングランドは既に準決勝進出決定、残りは2席。ドイツの準決勝進出は固いだろうが、イタリアとオランダはどちらにもチャンスがありそうだ。
なお、準決勝に関して言えば、いつもの顔ぶれからフランス(+ドイツ)が欠けるが、アメリカが2016年から開催しているSheBelievesカップの再現のようだ。この大会は2019年度を除きFIFA女子ランキングTop4の4チームが参加している世界最高峰の大会。
ここでは、現時点における準決勝の勝者と優勝チームを予想しましょう。皆さん、この記事を参考に準決勝及び決勝戦を楽しく観戦して下さい。
イングランド 対 アメリカ
過去4試合の直接対決
- アメリカ 2勝1分1敗
全てアメリカ主催の例年3月に開催されるSheBelievesカップでの対戦結果。
アメリカから見た表で示しましょう。
( )内はイングランドシュート
得点 | 結果 | シュート本数 | 枠内シュート本数 |
1-0 | 勝 | 9(8) | 0(0) |
0-1 | 負 | 14(14) | 2(3) |
1-0 | 勝 | 8(6) | 2(0) |
2-2 | 分 | 20(6) | 6(3) |
あまり差はないように感じられるが、SheBelievesカップはアメリカ女子サッカープロリーグ、NWSLの開幕3~4週間前に開催される大会なのでアメリカ選手はベストのコンディッションになる前の大会。シーズン中か否かは、予想する上でキーとなる。この点の思慮が浅かったためアメリカ対フランスの勝利予想を外してしまった。今回はそれを考慮したのでアメリカがかなり有利と予想。
2019年W杯前後の成績
アメリカ
W杯前
- 2019年度に入ってから失点が増えたが攻撃力はすさまじい
- 国内のシーズンが始まれば守備も安定してくるだろう
W杯
- スウェーデン戦で安定したパーフォーマンス発揮
- スウェーデンに完封勝利で守備もよくなってきているが、スペイン戦のようなパスミスからの失点をすれば致命傷になりかねない
- フランス戦で示した決定率の高さと猛攻に耐える守備力の両輪が揃った
対戦国 | 月日 | スコア | 勝 敗 | シュート (相手) | 枠内 シュート |
タイ | 6.12 | 13-0 | 〇 | 40(2) | 20(2) |
チリ | 6.17 | 3-0 | 〇 | 26(1) | 9(0) |
スウェーデン | 6.21 | 2-0 | 〇 | 16(7) | 4(2) |
スペイン | 6.25 | 2-1 | 〇 | 10(4) | 2(1) |
フランス | 6.29 | 2-1 | 〇 | 10(20) | 8(5) |
イングランド
W杯前
- 2019年度スペインに苦戦、6/1 ニュージーランドにまさかの0-1などパーフォーマンスが不安定
W杯
- シュート数の多い割に得点が少ないが、肝心の時に得点している。また、W杯に入って安定したパーフォーマンを発揮
- ただ、日本を除いてかなり下位チーム相手なので当然の結果
- 特に、カメルーン戦では点差ほどの実力差は感じられなかったが、
- ノルウェー戦ではランク3位に相応しい実力を発揮
対戦国 | 月日 | スコア | 勝 敗 | シュート (相手) | 枠内 シュート |
スコットランド | 6.10 | 2-1 | 〇 | 14 (7) | 6 (3) |
アルゼンチン | 6.15 | 1-0 | 〇 | 17 (2) | 7 (1) |
日本 | 6.20 | 2-0 | 〇 | 14 (16) | 6 (4) |
カメルーン | 6.24 | 3-0 | 〇 | 7(8) | 3(2) |
ノルウェー | 6.27 | 3-0 | 〇 | 16 (12) | 6 (4) |
イングランドはこのW杯で無失点。ただ、強豪国との対戦は日本戦のみ。決定力に加えて守備もよくなっているアメリカにどこまでくらいつくことができるか?総合力に勝るアメリカが優勢。
アメリカ勝利の確率:70%
結果:アメリカ 2 - 1 イングランド(追記)
アメリカが10分C.プレスのヘディングシュートで先制。19分イングランドは左からのクロスをホワイトが見事にワンタッチで決めて追いつくが、31分モーガンの鮮やかなヘディングで2-1とアメリカがリード。後半は互いに決定機を掴んだが、永里のチームメートGKアリッサ・ネイヤーによるPKセーブなどナイスセーブを連発したアメリカが守りきり勝利。シュート数はアメリカ 10、イングランド 6、枠内シュート数はそれぞれ 4。アメリカのボール支配率は43%(対フランス戦は39%)、投手で言えば「三振を取りにいく」から「打たせて取る」戦法も確立したようだ。なお、前試合、フランス戦で2得点した33歳のラピノーはベンチ(温存?)。
スウェーデン 対 オランダ
スウェーデン
W杯前
- 2019年度に入ってランク49位の南アフリカに引き分け。ランク30位のポルトガルに負け。下位チームに取りこぼしているので実力は未知数。
W杯
- チリ戦、タイ戦の結果は評価できないが、アメリカ戦、カナダ戦では実力通りのパーフォーマンスを発揮した
- ドイツ戦では先制されても逆転できる力があることを証明
- 拮抗した試合を予想するが得点力が劣るのが懸念。ただ、決勝に駒を進めたアメリカはリオ五輪での雪辱を期すためスウェーデンと対戦したいはず。一方、スウェーデンもグループステージの借りを返したい。スウェーデンのベテラン(守備型) vs オランダの若手・中堅(攻撃型)
対戦国 | 月日 | スコア | 勝 敗 | シュート (相手) | 枠内 シュート |
チリ | 6.12 | 2-0 | 〇 | 24(5) | 6(1) |
タイ | 6.16 | 5-1 | 〇 | 35(5) | 12(3) |
アメリカ | 6.21 | 0-2 | ● | 7(16) | 2(4) |
カナダ | 6.25 | 1-0 | 〇 | 8(11) | 3(1) |
ドイツ | 6.30 | 2-1 | 〇 | 12(13) | 6(6) |
オランダ
W杯前
- 調子がおかしい。2019年度に入ってスペインやランク28位のポーランドに負けている。強豪国との対戦がないので実力は未知数
W杯
- オランダはカナダ戦や日本戦に勝利したが、実力的には五分五分。守備は安定してきた。2019年UEFAチャンピオン時の自信を取り戻してきたようだ
- 枠内シュート23本に対して10得点。枠内シュートは意外と少ないが決定率は極めて高い
- イタリア戦の前半のようなことがあれば勝利は難しい。ただ、先制点を許さなければ勝利の可能性大
- 気持ち的にも日本を破ったオランダに勝利してほしい
対戦国 | 月日 | スコア | 勝 敗 | シュート (相手) | 枠内 シュート |
ニュージーランド | 6.10 | 1-0 | 〇 | 16(5) | 3(3) |
カメルーン | 6.15 | 3-1 | 〇 | 11(11) | 4(2) |
カナダ | 6.20 | 2-1 | 〇 | 8(12) | 2(2) |
日本 | 6.26 | 2-1 | 〇 | 12(12) | 5(4) |
イタリア | 6.29 | 2-0 | 〇 | 20(8) | 9(4) |
オランダ勝利の確率:60% 55%
結果:オランダ 1-0 スウェーデン
前半はスウェーデンがやや優勢。互いに決定機はあったもののGKの好セーブで決められず延長戦へ突入。延長9分フルーネンがPA手前からミドルシュートを決めオランダ勝利。オランダのシュート数15本に対してスウェーデンも11本、枠内シュートはそれぞれ5本、3本。
決勝戦の予想と結果:アメリカ 対 オランダ
勝負の世界では「絶対はあり得ない」ので多少の予想違いはあるかもしれないが、順当にいけば下記の2カ国(アメリカ対ドイツ)による優勝戦と予想するのが妥当。
オランダは延長戦の末スウェーデンを1-0で破り初の決勝戦。アメリカはグループステージでスウェーデンに2-0で勝利。順当ならばアメリカ優勝。オランダの持ち味の攻撃力がどこまで通じるかがポイント。
ただ、オランダはの守備は粘り強いのでアメリカも簡単には得点できないだろう。中4日のアメリカが断然有利と見て75%の確率でアメリカの勝利を予想。アメリカの最大の敵は油断。なお、アメリカの後半リードした時間帯での5バックへのスイッチは見られないかもしれない。
- アメリカ(決定)
- ドイツ オランダ (決定)
決勝戦の結果:アメリカ 対 オランダ
前半の25分迄はオランダが守備的に入ったのに対しアメリカもいつもよりゆったりした入りで攻撃も無理をしない。その後は一転攻撃姿勢を強め再三チャンスを作りシュートに持ち込む。
しかし、いずれもオランダGKの好セーブで得点に至らず。オランダもセットプレーからアメリカを脅かす場面も作ったが0-0で終了。
後半もアメリカがチャンスを作り続けるが得点できない。そんな中61分VAR判定の末PKを得たアメリカはラピノーが落ち着いて決めついに先制。さらに69分にはローズ・ラベルのミドルシュートで追加点。2点ビハインドとなったオランダは攻めに転じるが決定機を作れない。
一方、アメリカはカウンターで再三ゴールを脅かすが追加点は得られず。85分過ぎからは5バックにスイッチしたアメリカが2-0で快勝し4度目の優勝。USA、おめでとう!
3位決定戦の予想と結果
イングランド 対 スウェーデン
中2日のスウェーデンは先発メンバーの平均年齢を考えるとかなり苦しくなるだろう。攻撃力・守備力に劣るのスウェーデンが勝利するには先制点が条件。順当ならイングランドが2-0で勝利。
結果
前半はこれまで影をひそめていたイングランの不安定さがモロに出て2失点したが、スウェーデンの寄せが甘くなると徐々にイングランドがゲームの主導権を握り1点を返して前半終了。
後半もイングランドの攻勢が続いたがスウェーデンが必死の守りきり2-1でスウェーデン第3位。おめでとう!この試合のスウェーデンのボール支配率はなんと38%。これで決勝T以降の4試合で準決勝で敗れたオランダ戦以外は全てボール支配率で圧倒されながらも勝利。
女子サッカーW杯2019:Top13チーム対戦成績
- 2019年7月4日現在の成績
- 試合数が少ないので参考程度のデータだが、親善試合と違って真剣勝負の結果のデータ
- W杯ランキングは2019年3月現在
- 得点・失点共にPK含む
- 決定率3(3本の枠内シュートで1得点)以下(決定力が高い)
- 失点率3(3本の被枠内シュートで1失点)以上(守備力が高い)
- 組み合わせに恵まれなかったスペイン(数値はアメリカ戦とドイツ戦)とアメリカ戦で敗れたフランスは決定率・失点率とも平均以上でこのデータからもチームの実力度がわかる
- カナダの決定率は3だが枠内シュート数が極端に少なく攻撃力が乏しい
- 決定率3以下と失点率3以上は赤字
- 7月4日現在
ラ ン ク | 試 合 数 | 得 点 | 失 点 | 得 失 点 差 | 枠 内 シ ュ | ト | 決 定 率 | 枠 内 被 シ ュ | ト | 失 点 率 | |
スペイン | 13 | 2 | 1 | 3 | -2 | 3 | 3 | 9 | 3 |
フランス | 4 | 3 | 5 | 4 | 1 | 14 | 2.8 | 17 | 4.3 |
ノルウェー | 12 | 3 | 2 | 6 | -4 | 13 | 6.5 | 16 | 2.7 |
ドイツ | 2 | 2 | 2 | 2 | 0 | 13 | 6.5 | 8 | 4 |
オーストラリア | 6 | 3 | 5 | 5 | 0 | 18 | 3.6 | 10 | 2 |
イタリア | 15 | 3 | 2 | 4 | -2 | 11 | 5.5 | 17 | 4.3 |
ブラジル | 10 | 3 | 4 | 5 | -1 | 14 | 3.5 | 12 | 2.4 |
イングランド | 3 | 3 | 6 | 2 | 4 | 16 | 2.7 | 12 | 6 |
日本 | 7 | 2 | 1 | 4 | -3 | 8 | 8 | 11 | 2.8 |
カナダ | 5 | 2 | 1 | 3 | -2 | 3 | 3 | 5 | 1.7 |
オランダ | 8 | 4 | 7 | 2 | 5 | 21 | 3 | 13 | 6.5 |
アメリカ | 1 | 4 | 8 | 3 | 5 | 18 | 2.3 | 12 | 4 |
スウェーデン | 9 | 4 | 3 | 4 | -1 | 14 | 4.7 | 16 | 4 |
まとめ
ベスト8を予想する上でアメリカ女子代表チームは準々決勝でフランスとの事実上の決勝戦を避けるのではないかという前提でベスト8予想や優勝予想。
ただ、去年11月末の優勝予想第1版ではW杯組み合わせが決まる前だったので順当に勝ち進めばアメリカがスランスに60%の確率で勝利して優勝する、と予想をしました。
残念ながら決勝戦にフランスはいないが、おそらくイングランドを破ったアメリカとオランダを破ったドイツの戦いになるでしょう。そして地力に勝るアメリカの優勝と予想。
いかがでしたか? 皆さんのFIFA女子W杯2019優勝予想と同じでしたか?ベスト4の試合や優勝決定戦を観戦する上で参考になれば幸いです。