英語民間試験が世の中を騒がしたが「英語を勉強するのは何の為?」で上位にランクされている理由について自分自身の経験や見聞を基に考察。
上位にランクされている理由は、
- グローバル化が進み仕事で英語が必要
- 昇進・就職・転職で有利
- 海外旅行を楽しみたい
他にも異文化コミュニケーション・留学目的・教養などがある。しかし、正直、どれも理解はできるが納得しがたいと感じた。そこで「英語を勉強するのは何の為?」の上位3つを体験・見聞に私(外資系IT職:本社とのコミュニケーションや提案書作成に英語必須)の主観を加えて考察しました。
グローバル化が進み仕事で英語が必要
確かにグローバル化が進み仕事で英語が必要になっているのは事実。ところが、必要とする日本人はいったい何%? 10%という意見もあるが私から言わせればせいぜい1~2%。外資系でさえ仕事で英語を必要としている人の割合はせいぜい10~20%。
具体的には管理職の一部・役員・海外本社と直接やりとりする社員。もちろん、英語の書類も多いし海外との会議は英語。日本人だけの会議なのに英語で進める部門でさえある。
英語が話せない管理職にはきついが、たいていの人は英語の基礎ができているので何とかなる。これは外資系での話。ふつうの日本の会社なら英語の必要性は皆無に近いと察する。
ということで「グローバル化が進み仕事で英語が必要」は、100人中99人には当てはまらない。そのためほとんどの人には英語を学ぶ理由やモチベーションになっていないのが現実。
私には「グローバル化が進み仕事で英語が必要」は英語教育ビジネス拡大の為の宣伝文句に過ぎないと感じられる。ただ、企業によっては英語教育にかなり投資している。英語民間試験が導入されれば、英語教育ビジネスの成長はもちろん事、企業の投資負担も相当減るし国際競争力アップにもなるだろう。これらも英語民間試験導入目的の1つなのだろう。
昇進・就職・転職で有利
これも英語教育ビジネス拡大の為の宣伝文句に過ぎないと感じる。
高校生の時、留学を薦めた英語の先生から言われたことを今でも思い出す。「留学して戻ってきても就職に不利になるかもしれない」。何十年も前の話だが、当時は不利だった。
グローバル化が進んだ現在、さすが不利にはならない。しかし初任給には全く反映されない。キャリア・アップにもあまり有利には働かない。能力が同じなら英語ができる人が有利になる程度の差。あくまで能力優先だ。営業職ならトップ以外は英語不要、これが現実。例外はあるだろうが、「昇進・就職・転職で有利」は 実態とかけ離れている。
東南アジアでは・・・
一方、東南アジア諸国や中国などでは、英語が話せると就職・転職面で極めて有利。しかも給料は倍になる、という話を聞いたことがある。倍はともかくとして英語が話せると年収が20%~30%高くなるという調査結果がある。
フィリピンでは英語のレベルが高い人は定職につける。一方、工場現場で働く女性は25歳を過ぎると働きたくても働けなくなる。より若い世代に仕事を譲るためだ。その後はというと「半年働いたら半年待機」というような雇用が繰り返される。
このような社会では、「貧困からの脱出」や「安定した生活」の手段として英語力は不可欠。そのニーズにこたえるため?フィリピンでは30~40名の幼児を預かる小さな私立幼稚園が至る所にある。園内での日常会話は英語とタガログ語。さらにテレビでたくさんの英語番組にアクセスできる。人気アニメ「ドラえもん」ののび太も英語でしゃべっている。
このように英語教育へのニーズが存在するし、日常生活で英語に触れる機会が多い。これなら英語を勉強する理由に十分納得できる。しかし、日本のように英語のニーズが極めて乏しい国で大学入試に英語民間試験を導入するのははなはだ疑問と言わざるを得ない。
海外旅行を楽しみたい
英語が話せれば、
- 個人旅行ができる
- 現地の人とコミュニケーションできる
- 不安やトラブルが少なくなる
- 気ままな旅が楽しめる
確かに海外旅行を大いに楽しめますね!その通りだ。ただ、あくまで趣味や見聞を広めるために「英語を勉強したい」というごく一部の人の個人的な理由に過ぎない。
それに海外旅行で英語が絶対必要かと問われれば、答えは「No」!。英語が必要なのは海外個人旅行の場合。それも日本人向けの旅行代理店催行の現地オプショナルツアーを利用しないで全く個人で観光する旅行者だけが必要。現地オプショナルツアーを利用すればたいてい日本語ガイドが付く。ガイドについて行くだけなので英語は全く不要だ。
英語ができれば旅費が安くなる
ただ、英語ができれば旅費が安くなる。知り合いが年に1度家族で海外旅行に出かける。その旅費を聞いてビックリ。旅行代理店は手配に経費(人件費など)がかなり掛かるからだ。
海外家族旅行の場合、かなり割高に感じる。1回の6人3泊グアム家族旅行なら旅費は100万円~。たいていはおばあちゃんが負担するから費用は気にならないのだろう。個人手配より50万円ほど割高だ。個人手配なら6人3泊パリ家族旅行でも120万あれば十分。
海外旅行に興味のある方、英語を勉強したら旅費の節約になりますよ!ただし、そのために英語民間試験を受けるは必要ないよね!
英語民間試験が導入されたら英語のレベルは上がる?
2020年度から大学入学共通テストに導入が予定さていた英語民間試験が、受験料や公平性などの問題で延期になった。英語を学ぶ必要性やメリットが実感できる社会なら延期はなかったでしょう。
もし英語民間試験が導入されれば、英語のレベルアップは間違いない。ただ、どのくらいと問われたら誰も答えられない。ほんの僅かなアップだろう。現在の英語レベルを100としたらせいぜい110。
TOEIC受験者の平均スコアは520点。仮に英語力が20%アップしたとしても624点。624点ならビジネスで使えるレベルなの? 全く足りない。日常会話ならそれほど問題にならない程度のレベルで、ビジネスで使うなら少なくても750点くらい必要。さらに英語で効率よく仕事をするには900点必要。
この点からしても英語民間試験に多大な時間とコストを掛けるよりも英語を勉強したい人に限定して何らかの支援をするほうがよりよい政策と思う。
おわりに
「英語を勉強するのは何の為?」の上位3つの理由に関して納得できるものかどうか、考察した。独断と偏見ではあるが、少なくても日本においては「英語を勉強する理由」として納得し難い、というのが私の感想。
英語を真剣に学びたい人は必要とする趣味や目的(例えば、留学)を持っている。放っておいても勉強する。英語でなく日本語を学びたいケースになるが、我が家に来る留学生の多くは現地で日本語教育を受けていない。
だた、彼らは日本の文化やアニメが大好きだ。もっとアニメを楽しみたい、もっと日本の文化を知りたい。そう思うから日本語を覚えたいと思うようになる。そんな背景があるから日本語の上達は驚くほど早い。
ということでほとんどの方は学校で英語を勉強すればそれで十分と思います。それ以上勉強するのは、
- 必要になった時
- やりたいと思った時
でいいのではないでしょうか? モチベーションが高いので上達は早いだろう。皆さん、どのようなお考えでしょうか?