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女子ワールドカップ2019へ:試合結果が語るなでしこジャパンの課題!

2020-03-31 14:27:40 | なでしこジャパン
FIFA女子ワールドカップ2019フランス大会まであと7カ月弱
なでしこジャパン代表メンバーが決まるのはまだまだ先の話ではあるがほぼ90%確定していると見ていいだろう。

そこで新生なでしこジャパンに何か問題点があるかをチェックする為、2018年度の試合結果を分析。分析したら、強豪国と比べて異常値を発見。データが物語る「なでしこジャパンの最大の課題」を指摘しておきたい。 


西野監督が重視した「大舞台での経験値」  

先のFIFAワールドカップ2018ロシア大会の代表メンバー選出で西野監督は大きな決断をした。大舞台での経験値を考慮してメンバーを選んだのだ。

マスコミ等に「おっさんジャパン」などと皮肉られたが「プレッシャーのかかる大舞台では経験値が必ず必要になる」という信念を貫いた。

結果は皆さんもご存じの通り、ベスト8には届かなかったが、これまでよりはるかに誇らしく思えるベスト16となった。

さて、我らのなでしこジャパン代表メンバーは何を基準に選出されるのだろうか?まさか「東京オリンピックに向けて経験値を積ませるためのメンバー選出」とならないことを望むが、ちょっとそんな匂いがするのが気がかりだ。 


最低限厳守すべき選手選考基準 

選手選考ではありがちなのは監督やスタッフの好みが反映される点。仕方ないと思う反面、最低限厳守すべき選手選考基準はあるはずだ。

私が考えるに最低限厳守すべき選手選考基準とは
  • 若手はベテラン以上の活躍をしていれば選ばれるべき
  • 将来有望と思われる若い選手(2名程度)は10代であっても選ばれるべき
  • ベテランで若手と同等の活躍をしていれば選ばれるべき
この基準を満たしている選手であれば、だれを選んでもいい。二人の選手が同等のレベルであれば監督がより気に入っている選手で構わない。 


なでしこジャパンにとって経験値は極めて重要

経験値が重要という点については誰も異論はないだろう。なでしこジャパンの最大の課題が経験値不足と言うのは
  • 大舞台では経験値が重要だからということだけではない
  • 2018年度の「なでしこジャパンの試合結果を分析」した上で指摘している
そして何よりもFIFA女子ワールカップ2019で良い成績(ベスト4以上)を残してほしいと願うからである。しかし、新生なでしジャパン代表メンバーではベスト8に勝ち進むのは極めて難しいと見ている。 


試合結果で浮き彫りになったなでしこジャパンの問題点

問題点は2点
  1. 失点が多すぎる
  2. 先制されたら負ける
  • 何を根拠にそんな発言するんだ!
  • お前は間違っている!
とほとんどの方が思うでしょう。
しかしこれは前提条件付きで真実かつ現実である。

敢えて事前には言わなかったが前提条件とは
  • 強豪国(FIFAワールドランキングTop10)との試合
  • Top10枠外の国との試合結果はいっさい含めない
これに該当するデータを分析した結果をベースに問題点を指摘!
ただGood Newsもある!なでしこジャパンは2018年度の国際試合でトップ10枠外の代表チームには1度も負けていない。
それでは真実を見てみよう。 


2018年度強豪国の対戦成績

これから示すデータは強豪国(最新FIFAワールドランキングTop10)の代表チームどうしで対戦した成績をまとめたもの。
  • アメリカとフランスの成績がすばらしかった
  • なでしこジャパンの成績は全く振るわなかった

アメリカ

対戦国
試合結果
ドイツ
1-0 勝
フランス
1-1分
イギリス
1-0 勝
日本
4-2勝
オーストラリア
1-1分
ブラジル
4-1勝
カナダ
2-0勝
2018年度 5勝2分


ドイツ

対戦国
試合結果
アメリカ
0-1負
イギリス
2-2分
フランス
0-3負
カナダ
3-2勝
2018年度 1勝1分2敗


イギリス(イングランド)

対戦国
試合結果
フランス
4-1勝
ドイツ
2-2分
アメリカ
0-1負
ブラジル
1-0勝
オーストラリア
1-1分
スウェーデン
0-2負
2018年度 2勝2分2敗


フランス

対戦国
試合結果
イギリス
1-4負
アメリカ
1-1分
ドイツ
3-0勝
カナダ
1-0勝
オーストラリア
2-0勝
ブラジル
3-1勝
2018年度 4勝1分1敗


カナダ

対戦国
試合結果
スウェーデン
1-3負
日本
2-0勝
フランス
0-1負
ドイツ
2-3負
ブラジル
1-0勝
アメリカ
0-2負
2018年度 2勝4敗


オーストラリア

対戦国
試合結果
日本
1-1分
日本
0-1負
ブラジル
3-1勝
アメリカ
1-1分
日本
2-0勝
フランス
0-2負
イギリス
1-1分
2018年度 2勝3分2敗


日本(なでしこジャパン)

対戦国
試合結果
オランダ
2-6負
カナダ
0-2負
オーストラリア
1-1分
オーストラリア
1-0勝
アメリカ
2-4負
ブラジル
1-2負
オーストラリア
0-2負
2018年度 1勝1分5敗
  •  下位チームに取りこぼしが目立つオーストラリアに勝ったのが唯一の勝利
  • 2018年3月のアルガルベカップでオランダに2-6で負けた試合を省いても6試合で得点5失点11。
  • 1試合平均で言えば得点1失点2というところ

ブラジル

対戦国
試合結果
オーストラリア
1-3負
日本
2-1勝
アメリカ
1-4負
カナダ
0-1負
2018年度 1勝3敗


スウェーデン

対戦国
試合結果
カナダ
3-1勝
イギリス
2-0勝
2018年度 2勝


オランダ

対戦国
試合結果
日本
6-2勝
2018年度 1勝


なでしこジャパンの得失点差が突出して多かった

代表国名
試合
得点
失点
得失点差
アメリカ
14
5
9
ドイツ
4
5
8
-3
イギリス
6
8
7
1
フランス
6
11
6
5
カナダ
6
6
9
-3
オーストラリア
7
8
7
1
日本
7
7
17
-10
ブラジル
4
4
9
-5
スウェーデン
2
5
1
4
オランダ
1
6
2
4


なでしこは先制されたら全敗だった

なでしこジャパンが先制された試合


対戦国
試合結果
先制点
オランダ
2-6負
序盤5分に先制される
カナダ
0-2負
前半20分に先制される
アメリカ
2-4負
前半18分に先制される
ブラジル
1-2負
後半75分に先制される
オーストラリア
0-2負
後半開始早々に先制される

この3表から明らかに弱点が2つあると理解できたでしょうか?
  • 失点が多すぎる
  • 先制されたら負ける


強豪国と経験値を比較

なでしこはワールドカップ・五輪 経験者が最も少ない


代表チーム
経験者数
日本
7/27
26
アメリカ
10/21
48
カナダ
14/20
70
ドイツ
8/26
31
フランス
9/23
39
イギリス
8/23
35
オーストラリア
13/19
68
ブラジル
11/23
48
オランダ
8/23
35
スウェーデン
9/24
38
合計/平均
97/232
42

ワールドカップとオリンピックの経験者数では
  • 日本、ドイツが極端に低い
  • カナダ、オーストラリアが極端に高い
一つ誤解のないようにしなければならないのは経験値が高い=年齢が高いという事ではない。

全チームの平均年齢は下記表の通り

強豪国代表メンバーの平均年齢はそれほど高くない。

2018年11月国際マッチデーに招集された代表メンバーの平均年齢


Top10 強豪国
ランク
年齢
なでしこジャパン
8
24.1
ドイツ
2
24.2
カナダ
5
24.3
オランダ
7
25.2
イングランド
4
25.4
ブラジル
10
25.4
フランス
3
25.5
オーストラリア
6
25.6
スウェーデン
9
26.3
アメリカ
1
27.5

経験値の低い強豪国の平均年齢
  • 日本      24.1
  • ドイツ     24.2

経験値の高い強豪国の平均年齢
  • カナダ     24.3
  • オーストラリア 25.6 
男子代表に例えればほとんどの国の代表チームも若造(小娘)ばかりである。
新生なでしこジャパンで試合前半や後半開始直後の失点が多いことは国際試合の経験値が足りないという事ではないのか?

これでは国際試合の最高の舞台であるワールドカップでいい結果を求めるのは酷である。 

どうしたら課題・弱点を解消できるのか? と言うことを当然考えなければならない。
  • 前半に失点しないような守備力
  • 先制されても逆転できるだけの攻撃力
が求められる。

それには国際試合の経験、特にワールドカップとオリンピックという大舞台での経験値がある選手が必要という事である。 経験値のある選手なら大舞台での試合の入り方や序盤失点しないようにするにはどうすべきかを学んでいる。

相手の攻撃を粘り強く耐えながら少ないチャンスから得点を奪い逃げ切るというのがなでしこジャパンの勝ちパターン!

それを実践するためには
  • 守備力に実績のある選手
  • 攻撃の中心を担える選手
を代表メンバーに加えることで課題解消の一歩となるだろう。

強豪国との対戦では
  • 守備に追われる時間は長いが
  • チャンスは少ない
従って必然的に必要となる選手は
  • ポストプレーができる選手
  • デュエルに強い選手
  • スタミナのあるMF
  • パワーで競り負けないDF
これらの点のいずれかに卓越した能力を持っていいなければならない。


経験値のある現役プレーヤー の召集必須 

FIFA女子ワールドカップ2019フランス大会に招集できそうな現・元なでしこ代表メンバーをリストアップ 

選手名
状況
寸評
阪口夢穂
ケガ
強豪国との対戦でも得点できる。早く復帰してほしい
岩清水梓

代表卒業かな?
永里優季

NWSL(世界最高峰のリーグ)で大活躍しているのに召集なし
鮫島 彩
現代表
熊谷抜きのアジア大会でよく頑張った
宇津木瑠美
現代表
NWSLで頑張っている
熊谷紗希
現代表
世界1・2位のクラブチームでのレギュラーはすごい!
川澄奈穂美
現代表
頼りにされていない?
守備もできるしスタミナもある
有吉佐織
現代表
スタミナも守備力もすごい
菅澤優衣香
現代表
ポストプレーは良いが
もっと決めてほしい
岩淵真奈
現代表
テクニックは抜群だがポストプレーと前線での守備が課題
山根恵理奈

2年目でレギュラー獲得はすごい
高瀬愛実

DFで頑張っている
デュエルに強そう
川村優理
ケガ
クラブチーム世界一決定戦で大ケガ。早く復帰してほしい


このリストの中から
  • 代表復帰してほしい
  • 代表に欠かせない選手
を敢えて現代表を除いて選べば
  • 阪口夢穂(守備のリーダー)
  • 永里優季(攻撃のリーダー)
  • 山根恵理奈
この3名を加えれば経験値はずっと高くなり序盤での失点も減るだろう。
たとえ序盤にリードされても跳ね返すだけの攻撃力も出てくるでしょう。
本気でFIFA女子ワールドカップ2019フランス大会でベスト4以上を目指すなら、ぜひ、来年2月に行われるアメリカ主催のSheBelievesカップには召集してほしい。 


まとめ  

ワールドカップやオリンピックの大舞台では経験値がものをいう
しかし新生なでしこジャパンに経験値が欠けている点を指摘した。
それを示す根拠として
  • 強豪国との試合での失点の多さ
  • 先制されたら負ける
というデータを提供。

さらに2018年11月の国際マッチデーにおける強豪国代表チームのメンバー構成を分析して強豪国となでしこジャパンの経験値を比較。
その結果
  • 日本は世代交代中ということもあって経験値が最も少ないメンバー構成
  • 27名も召集しているのでまだメンバー選考中
という実態が見えた。

一方、圧倒的に経験値の高い国は
  • カナダ
  • オーストラリア
しかし年齢が高いのではない。むしろ世代交代がうまくいっているという事を示しているといえる。
もし東京オリンピックのために「ヤングなでしこに経験を積ませながらW杯ベスト4をねらう」と考えているなら正しい判断とは言えない。

何故なら
  • 女子サッカーでは男子ほど年齢に関係ない
  • 強豪国の招集メンバーを見ると10代の選手も沢山いるし30代の選手もいる
強豪国ではベテランと若手の融合を図りながら世代交代を進めているという事であろう。サッカーの歴史が長い分、強豪国では世代交代は当たり前にやっていることなのであろう。

FIFAワールドカップ2019フランス大会でベスト4以上の成績を願っている。
その目標達成には現在活躍中の経験値の高い選手を増やすことが必要条件
  • FIFA女子ワールドカップ2019フランス大会で結果が求められている
  • 結果を出さなければ女子サッカー人気を盛り返すことはできない
この2点を十分認識した選手選考を期待している。


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