『冬のソナタ』を読む
「記憶の欠片(ピース)」(上p7~p31)
4 雪の妖精
チェリンはユジンの恋敵だ。だから、天使だ。しかし、ではない。
忙しいユジンのために、来年あたりに式を挙げるつもりだとの返事を得たチェリンは、満足げな仕草でユジンに歩み寄り、ウエディングドレスは自分がデザインしてあげると言った。
(上p27)
チェリンはユジンの結婚を祝福している。夫が誰であれ。
チェリンの意地悪は、キューピッドの矢のように、ユジンに刺さる。
ジュンサンの姿を燃やしながら、二度と思い出すまいと決心したのに、実際に眼に見える人間として現われたのだ。燃える炎の中で生き残った、決して燃えることのない人間として。
(上p27-8)
チュンサンが燃えなければ、ミニョンは現われなかった。
ユジンが記憶の中の「ジュンサンの姿」に拘っていたら、「実際に眼に見える人間」との僅かな違いを決定的な違いと思ったことだろう。ミニョンをチュンサンと混同することはなかったろう。
なぜ、彼は「決して燃えることのない人間」なのか。雪の妖精だからだ。
ユジンは思い出したかのように欠片(ピース)をポケットから取り出して、空いている場所にはめこんだ。ユジンはあの日と同じ服を着ていたのだ。
ユジンが完成したパズルを眺めていると、ドアが開く音が聞こえた。
(上p31)
〈ミニョンの物語〉に「欠片(ピース)」が現われた。ユジンが現われた。
「あの日」には、ユジンとサンヒョクとの「婚約パーティ」(上p16)が開かれる予定だった。
「ドアが開く音」は、本当の「婚約パーティ」が開かれる合図だ。
(「記憶の欠片(ピース)」終)