聞き違い
~胃カメラ
カッターナイフ 勝手な畏怖
胃カメラ 医家奴等
ボート部 棒飛ぶ
ソーダ水 相談数
(終)
漫画の思い出
花輪和一(12)
第五話『外術(がいじゅつ)』
「外術」に「がいじゅつ」と振る理由は不明。
*
<仏教から見て、怪しげな外道(げどう)の術。魔法。今昔物語集(20)「京に―と云ふ事を好みて役とする下衆法師ありけり…馬・牛の立てる尻より入りて口より出づなど」
(『広辞苑』「げ・じゅつ【外術・下術】」)>
*
『今昔』のこの話を、誰かの漫画で見たような気がする。「魔法」ではなく手品で、その種明かし。白土三平だったか。手塚治虫?
第六話『蟻地獄』
ヒロインの母親がアリジゴクを食べてアリジゴクになった。
つい見てしまうが、話は面白くない。尻切れ蜻蛉。
第七話『胎内岩』
尻切れ蜻蛉。作者は再生の物語を試みながら、そんな自分を笑ったのか。
第八話『不幸蟲』
「なんじゃこれは……」
こっちが言いたい。
第九話『三二九一九六九六(みにくいくろぐろ)』
「雪ドケノ ミチヨリモナヲ ミグルシク 鹿ノ子マダラニ 髪ハチルラム」
本歌不詳。「ナヲ」は〈ナホ〉が適当。
第十話『亀男』
この作品集で唯一まとも。
亀になったつもりで妄想の幸福に浸る息子を、父親が殺す。
父は息子の夢を狂気と決めつけるものだ。
第十一話『家蟹』
『亀男』の変奏。
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<「平家蟹だっ!」
「はげしい平家一門の恨みが 姫を蟹にしてしまったのだ」
「頼朝の首を討ちとって 入道さまの墓前にそなえた時 姫は この世の人にかえれるのだ!」>
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「頼朝」は父の象徴。作者は父殺しを女に委ねる。
(12終)