ヒルネボウ

笑ってもいいかなあ? 笑うしかないとも。
本ブログは、一部の人にとって、愉快な表現が含まれています。

『冬のソナタ』を読む 「いつもその場所へ」(p145~172)

2023-11-15 00:02:16 | 評論

   『冬のソナタ』を読む

     「いつもその場所へ」(p145~172)

1 放送室で

ユジンとチュンサンはデートの約束をした。

「お前、父さんに会いに行った目的はなんなんだ?」

「どんな人なのか知りたかっただけだ」

「どんな人なのか知りたくてだと? それが理由なのか? なんでそんなことが知りたいんだ? 僕にこんなことをする理由はなんだ! 一体なぜだ!」

「……お前は持っているものが多すぎる」

「なんだと?」

「僕は、お前みたいになんでも持ってる奴を見ると、奪いたくなるんだ。それが理由だ」

「だからユジンに近づいたのか?」

ジュンサンは答える代わりに睨み返した。

「この野郎! 僕が嫌いなら直接言え! なぜユジンにちょっかいを出すんだ。ユジンは関係ないだろ」

興奮を隠せないサンヒョクがジュンサンの胸ぐらを摑(つか)んだ。

「好きでもないのに、僕に見せつけるためだったんだろ! どうなんだ。答えろ、ジュンサン! 僕に見せつけるためだったんだろ!」

「……ああ」

 怒鳴るサンヒョクに向かって、ジュンサンが冷ややかに答えた。眼の血走ったサンヒョクがジュンサンを殴ろうとしたとき、扉が開き、青ざめたユジンが立っていた。

(上P155~156)

ユジンはデートの約束を反故にする。

サンヒョクは本当に豊かなのか。

(終)

 


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聞き違い ~功労者

2023-11-13 22:36:03 | ジョーク

   聞き違い

    ~功労者

出戻り でも道理

召し上がれ 飯があれば

功労者 殺し屋

執念深い 中年部会

(終)

 


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野遊び ~葉書

2023-11-12 22:46:23 | ジョーク

   野遊び

    ~葉書

秋が葉書をくれた。

冬への招待状らしい。

でも、私は字が読めない。

読める人が遊びに来るまで、

放置。

(終)

 


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回文~作り話

2023-11-12 00:45:18 | ジョーク

   回文

    ~作り話

痛む怪我 血の色 着の身着のままの君の帰路 命懸け 無体

(いたむけが ちのいろ きのみきのままのきみのきろ いのちがけ むたい)

観劇後 作風 この慰安 親愛の幸福さ ご機嫌か

(かんげきご さくふう このいあん しんあいのこうふくさ ごきげんか)

きつそう 髪切るなど 酔うと怒涛よ 怒鳴る君か 嘘つき

(きつそう かみきるなど ようとどとうよ どなるきみか うそつき)

作り話 届けや 煮え湯故に火傷と 死なば理屈

(つくりばなし とどけや にえゆゆえにやけどと しなばりくつ)

(終)

 


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漫画の思い出 花輪和一(10) 〔3〕『新今昔物語 鵺(ぬえ)』

2023-11-11 00:05:42 | 評論

   漫画の思い出

    花輪和一(10)

〔3〕『新今昔物語 鵺(ぬえ)』(双葉社)1982年発行。

目次『鵺』『お力所』『光る佛』『信奇山』『外術』『蟻地獄』『胎内岩』『不幸蟲』『三二九一九六九六』『亀男』『家蟹』

『鵺』

鵺とは何か。

①トラツグミの異称。

②源頼政が紫宸殿上で射取ったという伝説上の怪獣。頭は猿、胴は狸、尾は蛇、手足は虎に、声はトラツグミに似ていたという。

③転じて、正体不明の人物やあいまいな態度にいう。

(『広辞苑』「ぬえ【鵼・鵺】」より抜粋)

低山帯の林にすみ、夜「ひいい、ひよお」と寂しい声で鳴く。

(『広辞苑』「トラツグミ」)

「ひいい、ひよお」ではなく、私には〈ピイイ〉と聴こえる。尻上がり。「寂しい声」ではなく、悲しい声だ。諦めていながら諦めきれずに救いを求めているような声。

この『鵺』には、『月ノ光』に登場した異星人に似た「ヌエ」が登場する。「ヌエ」の一家は核家族で安定しているが、実際にはそうした安定が不可能であることを作者は暗示している。

「もしかしたら これは ヌエの国かもしれない……  …そうだ きっとそうだ そうとも その通りじゃ 争いのない国じゃ」

家族の中の「争い」と集団対集団の「争い」の間に直接の関係はない。作者は恐れと憧れを仕分けできないまま、ぎらぎら、くねくねと表出している。

「サ・ヨ・ナ・ラ ……ヘイアンキョウ」

この「ヘイアンキョウ」は〈平安〉ではない。

名作ではない。作者こそが鵺的だ。ただし、そのことは、決して悪いことではない。妄想でも漫画にできたら幸せだろう。

ちなみに、私も「鵺みたいだ」と言われたことがある。

いいんじゃない、鵺で。多様性を一身で体現するんだから。

(10の終)

 


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