


不安に押しつぶされそうな時に役立つかもしれないアドバイス
不安を恐れない人など誰もいない。しかし人によっては他人より過度の、必要以上の不安に恐れを抱く人がいる。【The Anxiety and Depression Association of America(全米不安・抑うつ協会、ADAA)】では【Health Day】を介し、過度の不安に日々の生活をさいなまれている人、人生そのものへ大きなプレッシャーを抱えている人に対し、次のアドバイスを施している。
・音楽を聴いたり瞑想したり、マッサージを受けて気持ち良い環境を整備し、単に悩み事で時間を費やす状況に終止符を打つ。
・不安によって食欲は減退気味となり、食事そのものを敬遠する場合も出てくるが、一日三食の食事は欠かさないようにする。そして極力バランスの取れた食事を摂取する。カフェインやアルコールの飲用は避ける。
・十分な睡眠と定期的な運動を欠かさない。
・自分自身がすべての状況をコントロールできる、しなければならないという考えを捨てる。自分が最善を尽くすことに注力する。そして笑顔を忘れない。
・ボランティア活動に参加する。社会的貢献を成すことで、心身共に達成感を充足できる。
・知人や家族からの(特に精神面における)支援を求める。対話をして楽しい時を過ごしたり、相談に乗ってもらう。
上記説明にある通り、過度な精神的ストレス、あるいは不安状態が続くと、食欲が極度に減退することがある。身体的には空腹感を覚えて食事を採るべきだというシグナルが発せられるのだが、心理的なダメージがそれを上回り(身体的空腹感を圧倒してしまい)、「空腹だが食欲が沸かない」という異様な状態に陥ってしまう。しかし食事を控えることで生じる身体の活力低下は、精神のさらなる意欲減退につながるため、マイナススパイラルに陥りかねない。
どうしても通常の食事に手が出せるような状況に無い場合には、栄養価の高いパック式ゼリー飲料、各種栄養剤などの助けを借りるのも一つの手ではある。またハチミツのような少量で高栄養が期待できるものを口に含むのもありだ。
「自分自身がすべての状況をコントロールできる、しなければならないという考えを捨てる」は、かなり難しい話かもしれない。見方を変えると、不安を抱えている対象・起因に対して「あきらめろ」ということになりかねないからだ。
もっとも、その不安で生じる状況を改善できるのなら、割り切りの考えで別視点から物事を考えるのも一つの手ではある。例えば「自分の庭を隅々まで完璧に除草整備しなければいけないのだが、それが出来ない」と悩んでいるのなら、「毎週日曜日に一時間、庭の掃除と草刈りをしよう。それが自分の精一杯の結果だ」と割り切ってしまう。もし庭が荒れ放題となるのがイヤならば、子供にも手伝わせたり、アルバイトに任せても良い(日本でそれほどの規模の庭を持つ人は少数だろうが)。
人は精神的な生き物である以上、不安を持つこと自体は当然の話で、何ら恥じることはない。しかし過度の不安は概してリソースの無駄となる。不安を抱いて心身に悪影響が生じても、その不安の基となる状況が打開・改善されることはないからだ。少しずつで良いので、不安という名の泥沼から脱することができるよう、環境を整備していくことに努めたい。