装蹄師・削蹄師が道具の消毒も、削蹄・装蹄前後の跣蹄も全くやらずに仕事する、から、蹄病が感染して回るんだ、と書きました。
じゃ、何が感染しているんでしょうか?
これが今までよく分かってなかったんです。というか、分からないもんだ、と思い込んでいた。獣医がね。だもんで、何の進展も今までなかったわけだ。そのせいで人に飼われてる大方の宥蹄動物は大迷惑をこうむったといえる。
大迷惑なのは馬のオーナー・乗馬クラブ・酪農家の方も同じで、いつもいつも不安に襲われ、飼っていてもちっとも楽しくない。いつ跛行が起こるのか、いつ起立不能になって屠畜場送りの判断になってしまうのか、獣医は、脅しだけはうまいけど、その実まともな対応策を一つも挙げることができない。せいぜいこう言うだけですよね「糖質をやるな、おやつをやるからこうなるんだ」「ちゃんと運動させないからだ」「床の手入れが悪いからだ」しかし、どれ一つとっても、一人でどうにかできることじゃないじゃないですか。獣医は自分だってできもしない事をあげつらって説教すればいいらしいですね。
そういえば、こないだ当院の患者さんの飼主さんが、なかなか複雑な病気だもんで、一回他の病院の意見も聞いてみたいなんておっしゃるので、母校の大学病院を紹介したら、結局何の足しにもならなかった、半日かかったのに!!と怒って帰ってきちゃってね。患者さんの犬を取り上げてどこかに連れてっちゃって(従って飼主の立会なし)、で、後から「レントゲン撮ってエコー撮った」って言われた、何の検査をするのか、事前説明皆無。話もめちゃくちゃで「結局あの先生分からないっぽい感じだったんですよ」とおっしゃる。処方食を勧められて、買ったそうなんだけど、そもそもその犬君はご幼少の頃からとんでもない偏食大魔王で、食べる食餌を見つけるのに入院させてまで苦労して、やっとこさっとこ見つけた~~、という経歴の持ち主。「それ言ったんでしょ?」と聞いたら「言ったけど、取り合ってもらえないの」との事。大学病院の先生様にすれば、そういう偏食は飼い主が甘やかすからだ、ダメ飼主にダメ犬、というレッテルを簡単に張り付けて、従って、この疾患のバックグラウンドをどう考えるか、という思考に頭が向かないんだ。飼い主がダメだから、というの、医者がすぐ思いつく屁理屈ですけどね。こう考える獣医はヤブどまり。というか、大方の飼主さんは、そういう事情を医者に「話す前に諦める」んですよね。話したってどーせダメ呼ばわりされるだけ、だったら、誰も話しませんよ。
医療の現場ってというか獣医療の現場の実態なんてそんなもん、馬の獣医なんか、ますます話を聞かないから。飼い主側がダメだから、とやっとけば、自分側の責任はなくなる。責任逃れのうまい言い訳なんだよね。いいご身分ですこと
自分は馬については長らく「飼主」の立場だったので(少しはちゃんとしてるんじゃないか、と期待してたんだよ、これでも)ずうっと心配ばかりに苛まれてウンザリしてたんですよ。いよいよブチ切れて馬の診療を自馬を実験台にして始めてみたら、こりゃ驚いた!ことに、馬って治療しやすいんだよねえ。蹄病も、「蹄病」と特殊な括りで見るから訳分らなくなるんだ、爪疾患として捉えたほうがいいんじゃないか、という結論になった。
で、爪疾患。これは人医の皮膚病を調べるのが一番です。犬や猫にはなぜか爪疾患が本当に少ないから(この理由も後で分かったんだが)。人間の爪疾患のうち、爪自体にトラブルが起きる代表が「爪水虫」。爪に白癬菌という真菌が寄生して爪をボロボロにしてしまう疾患なんですが。爪水虫なる画像をググってみると。ま~~出てくる出てくる、爪水虫は日本人の10人に一人くらいが罹患している真菌感染症なんですよね。代表的な図の一つがこれ
先端からボロボロになってる。馬の蹄の状況にそっくり。
ちなみに、この白癬菌感染症は、欧米なんかには症例がめちゃくちゃ少ない、らしいんです。その理由は、あの人たちは「靴暮らし」だから。はだしで銭湯やら家の床をぺたぺた歩く風習がないし湿度も低いしで、接触感染しかしない白癬菌が蔓延するのは、むしろスポーツジムとかコンタクトスポーツ(柔道やレスリングみたいな)という、特殊な場で起きる、とされてるから、日本の状況は世界的にはかなり特殊といえます。
で、この「爪水虫」、最近は介護施設なんかで増えているそう。理由は、「爪切りの共有」です。消毒もしないで爪切りを使い回しするもんだから、他の人に白癬菌がうつされちゃうんですよ。
あれ??これ、馬や牛の状況と同じじゃね??