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Blog☆HiloⅡ

菅義偉,知られざる履歴書:読売新聞政治部

菅総理の履歴書というタイトルで,読売新聞政治部が執筆した本です。
しかし読み終わって振り返ってみると、安倍政権の終末期と菅官房長官が総理大臣に就任するまでを詳細にまとめた記録でした。
そういう観点で読むと面白いと思います。
昨年の1月末,コロナは中国の問題で対岸の火事でした。
武漢から帰国する日本人の乗るチャーター便のことが話題になっていたのですから。
2月に入ってとダイヤモンドプリンセス号内でのクラスター。
それも他人事で国内の感染者はごくわずか。
しかし,コロナ以外の問題が安倍さんに忍び寄っていました。
東京高検検事長の黒川氏の定年延長問題,桜を見る会問題で支持率が下がる一方でした。
やがてコロナの影響も日増しに拡大し,小中学校の臨時休校が始まると世の中は大混乱。
河合克行夫妻の選挙違反,オリパラの延期,10万円のバラまきへと続き,アベノマスクの配布に至っては国民から失笑を受けることとなりました。
このころの日本全国の新規感染者数は300人程度でした。
今の人数と比較すれば桁違いですが,それでも4月7日に緊急事態宣言を発出しました。
その決断は正解だったと思います。
ただし宣言期間中にやるべきことをやらなかったことが今の医療崩壊を招いたのだと思うのです。
オリパラの選手村を感染者対応に改修して,医療関係者の確保をすべきでした。
その時点でオリパラも中止にしていればよかったんです。
政府内や識者にはそうした声もあったのに握りつぶしてしまったんですよね。
緊急事態宣言を終えたら東京の新規感染者数が22人となりました。
そのころ国民の苦労を知らない安倍さんは,学校休校の長期化を踏まえて「9月入学」などということを言い始めました。
国民はそれどころではないというのに。
国民の感覚と完全にずれが生じていました。
持続化給付金の委託をめぐっても20億円が社団法人に中抜きされているとたたかれました。
Go Toトラベルはそこに追い打ちをかけ,都知事との関係もぎくしゃくしてきました。
このころから政府内でも菅さんは経済回復を優先する,西村さんは県をまたぐ移動は控えろというまとまりのなさが露呈しました。
8月初旬に第2波のピークを迎えるころには安倍さんの体調はテレビを見ていてもわかるほどに悪化していました。
そして,8月28日に辞意を表明するに至りました。
健康を害しての二度目の辞任。
彼がどういう思いだったのかはわかりませんが,憲法改正などやり残したことはたくさんあったでしょう。
この日から岸田,石破さんは動き出したのですがすでに岸田さんの芽は無くなっていました。
表に出ずにひっそり二階さんに取り入ってうまく立ち回ったのが菅さんです。
彼は古だぬきというか,そういうところがすごくうまいですね。
運が味方したこともあります。
二階,麻生,安倍の思惑にぴったりはまったのが菅さんだったいうことです。
安倍さんの病気の時期も味方しましたね。
この本はこのあたりで終わるのだけど,首相になってからの菅さんについて少し書いておきましょう。
菅さんは首相になるとすぐに日本学術会議の人事に切り込み,手腕を発揮したかのように見えたのですが,首相になって何をしたいのかが見えてきませんでした。
安倍さんの政策を引き継ぐだけなら,副総理の麻生さんがやってもよかったのだから。
菅さんの唯一の公約が「携帯料金の値下げ」。
本人が政権公約だといってます。
総務大臣が言うならわかるけど,一国の総理の発言としては情けないよね。
コロナ対策も,選挙戦の時のように古だぬきを貫いて対応すればよかったのに,田舎の正直おじさんという素を出してしまったのは失敗でした。
マイナスのイメージを強くしてしまいましたね。
原稿を読み上げるだけの答弁も見栄えが悪い。
国民は他国の大統領の演説に比べてなぜこんなに下手なのか思ってしまいます。
そして,こんな時こそ与党が一致団結しなければならないのに,銀座のクラブに行ってたたかれる議員が出てきたり。
森さんは失言するし。
菅さんはアゲインストの風を真っ向から受けて,任期いっぱい務めることができるんだろうか。
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