【プロ野球】開幕1カ月でわかった使える助っ人、使えない助っ人 【スポルティーバ】
開幕から1カ月が過ぎて、プロ野球は外国人選手の活躍ぶりが順位に大きく影響している。また、今季から日本球界でプレイする外国人の本当の実力もわかりはじめてきた。ここまで5月14日現在の新外国人の成績は以下の通り。
■ソフトバンク
レルー 1試合 投球回1 0勝0敗0S 防御率0.00
■日本ハム
ホフパワー 24試合 打率.247 打点16 本塁打7
■ロッテ
カルロス・ロサ 11試合 投球回10.2 0勝1敗0S 防御率0.84
■オリックス
ヘスマン 12試合 打率.357 打点5 本塁打3
朴贊浩 5試合 投球回32.2 1勝4敗0S 防御率4.13
フィガロ 4試合 投球回25.2 1勝2敗0S 防御率2.45
■楽天
サンチェス 4試合 投球回4.1 0勝0敗0S 防御率0.00
スパイアー 8試合 投球回8 0勝1敗4S 防御率4.50
■中日
グスマン 23試合 打率.155 打点5 本塁打2
■巨人
ライアル 23試合 打率.219 打点4 本塁打0
アルバラデホ 9試合 投球回12.1 1勝0敗0S 防御率0.73
トーレス 3試合 投球回14.1 0勝1敗0S 防御率8.16
■ヤクルト
バレンティン 24試合 打率.367 打点19 本塁打13
■広島
トレーシー 24試合 打率.293 打点14 本塁打1
サファテ 14試合 投球回14 1勝0敗8S 防御率2.57
バリントン 5試合 投球回37 4勝1敗0S 防御率2.19
■横浜
ハミルトン 11試合 投球回17.1 0勝2敗0S 防御率6.23
なんといってもセ・リーグ首位、ヤクルトのバレンティンの働きが大きい。5月13日の横浜戦では1試合3本塁打、5打点の大暴れ。1カ月で10号一番乗りを果たした。開幕前はマリナーズでイチローとプレイしたのが話題になるぐらいで、さほど前評判は高くなかったが、いざふたを開けてみると、軸の安定した鋭いスイングで本塁打を連発している。横浜戦の3発のうちにはバットを折りながらの1本もあったので、力任せの打撃に思われがちだが、試合前にビデオで相手投手の研究を怠らない向上心も併せ持っている。だから変化球にもしっかり対応できる。
「相手がどういう攻めをしてくるか、どの球種で一番多くストライクを取ってくるか考えているんだ。プランを持って打席に入ることが大事だね」
ヤクルトには野村元監督のID頭脳を受け継ぐ伊勢総合コーチがいるが、その伊勢コーチもバレンティンのIDぶりを高く買い、「国にプールつきの家を建てるぐらい活躍しろ」とハッパをかけている。ヤクルト首位の原動力になっているのは間違いない。
そして久しぶりに開幕ダッシュを決めた広島は、3人の新外国人選手がみな戦力になっているという「高打率」ぶりが目立つ。
なかでも先発のバリントンは4月の月間MVPを獲得するなど、交流戦前までに4勝をあげて、ローテーションの柱になっている。ややスリークォーター気味の腕の振りから内外角に150キロ近いストレートや鋭いカットボールを投げ分ける。4月29日の中日戦では、あわやパーフェクトという投球もみせた。2000人もの指名があるメジャードラフトで2002年に全米の1番目に指名されたほどの逸材だったが、肩の故障などもあってメジャーではなかなか目が出なかった。広島で活躍してメジャー復帰(レンジャース)したルイスのあとにつづけるか。
4番を打つトレーシーは、開幕直後は打率1割も下回るような不振ぶりだったが、対戦がひと回りした5月になると見違えるように打ち出した。本塁打こそ少ないが、二塁打がすでに10本を超えている中距離打者。広いマツダスタジアム向きといえる。好調の広瀬と3、4番が固定できれば、久しぶりに優勝争いに加われるかもしれない。
この両チームに対して、情けないのは巨人の新外国人。ローテ入りが期待されたバニスターは東日本大震災を理由に、1試合も投げないうちに帰国。抑えを期待されたアルバラデホは安定感に欠け、中継ぎに降格。内野のユーティリティプレイヤーと期待されたライアルも低打率で、1カ月辛抱した原監督もそろそろ見切りをつけた感じだ。巨人が独自に獲得した新外国人がなかなか活躍できないのは、スカウティングの方法や評価基準になにか問題があるのではと勘ぐりたくもなる。
パ・リーグではセ・リーグほどめざましい活躍を見せる新外国人はいないが、面白いのは楽天のクローザーを任されているスパイアーだ。震災後、帰国した選手もいる中で、テスト入団して一軍切符をつかんだ。
「起用に迷いはなかった。あいつは人生を賭けているからな」
開幕戦のクローザーに起用したあと、星野監督はそういってその闘争心を評価した。球種が少ないので研究されると苦しいかもしれないが、好調な青山浩二、新人の美馬学と3人で中継ぎ、抑えを分担すればうしろが不安定だった楽天も浮上してくるだろう。
もうひとり、あまり成績は上がっていないが、今後注目なのはオリックスの朴賛浩(パク・チャンホ)。ドジャースなどで快速球を武器に活躍し、メジャー通算124勝とアジア人投手最高の成績を残した韓国の英雄だ。ここ数年はメジャーで中継ぎが多かったので、先発ではどうかと思われたが、2シーム、カットボールなど動くボールを駆使して6回、7回まではしっかり試合を作ってくる。チームの打撃が不振なので、なかなか勝ちがつかないが、打線に勢いが戻れば、中継ぎ、抑えはいいチームなので、勝ち星を量産する可能性もある。さすがメジャーという片鱗(へんりん)はうかがえ、一見の価値はある。
開幕して1カ月。特に今年は新外国人の出来、不出来がチームの成績に大きな影響を及ぼしている。調子の上がらない外国人をいつまでも使い続けると、それこそ取り返しのつかないことになりかねない。指揮官たちの見極めのタイミングも非常に重要になってくる。
阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki〔了〕
11試合に登板して、防御率0.84なんて、めちゃくちゃ好成績なのに…
注目してもらえない…(・ω・;)(;・ω・)
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開幕から1カ月が過ぎて、プロ野球は外国人選手の活躍ぶりが順位に大きく影響している。また、今季から日本球界でプレイする外国人の本当の実力もわかりはじめてきた。ここまで5月14日現在の新外国人の成績は以下の通り。
■ソフトバンク
レルー 1試合 投球回1 0勝0敗0S 防御率0.00
■日本ハム
ホフパワー 24試合 打率.247 打点16 本塁打7
■ロッテ
カルロス・ロサ 11試合 投球回10.2 0勝1敗0S 防御率0.84
■オリックス
ヘスマン 12試合 打率.357 打点5 本塁打3
朴贊浩 5試合 投球回32.2 1勝4敗0S 防御率4.13
フィガロ 4試合 投球回25.2 1勝2敗0S 防御率2.45
■楽天
サンチェス 4試合 投球回4.1 0勝0敗0S 防御率0.00
スパイアー 8試合 投球回8 0勝1敗4S 防御率4.50
■中日
グスマン 23試合 打率.155 打点5 本塁打2
■巨人
ライアル 23試合 打率.219 打点4 本塁打0
アルバラデホ 9試合 投球回12.1 1勝0敗0S 防御率0.73
トーレス 3試合 投球回14.1 0勝1敗0S 防御率8.16
■ヤクルト
バレンティン 24試合 打率.367 打点19 本塁打13
■広島
トレーシー 24試合 打率.293 打点14 本塁打1
サファテ 14試合 投球回14 1勝0敗8S 防御率2.57
バリントン 5試合 投球回37 4勝1敗0S 防御率2.19
■横浜
ハミルトン 11試合 投球回17.1 0勝2敗0S 防御率6.23
なんといってもセ・リーグ首位、ヤクルトのバレンティンの働きが大きい。5月13日の横浜戦では1試合3本塁打、5打点の大暴れ。1カ月で10号一番乗りを果たした。開幕前はマリナーズでイチローとプレイしたのが話題になるぐらいで、さほど前評判は高くなかったが、いざふたを開けてみると、軸の安定した鋭いスイングで本塁打を連発している。横浜戦の3発のうちにはバットを折りながらの1本もあったので、力任せの打撃に思われがちだが、試合前にビデオで相手投手の研究を怠らない向上心も併せ持っている。だから変化球にもしっかり対応できる。
「相手がどういう攻めをしてくるか、どの球種で一番多くストライクを取ってくるか考えているんだ。プランを持って打席に入ることが大事だね」
ヤクルトには野村元監督のID頭脳を受け継ぐ伊勢総合コーチがいるが、その伊勢コーチもバレンティンのIDぶりを高く買い、「国にプールつきの家を建てるぐらい活躍しろ」とハッパをかけている。ヤクルト首位の原動力になっているのは間違いない。
そして久しぶりに開幕ダッシュを決めた広島は、3人の新外国人選手がみな戦力になっているという「高打率」ぶりが目立つ。
なかでも先発のバリントンは4月の月間MVPを獲得するなど、交流戦前までに4勝をあげて、ローテーションの柱になっている。ややスリークォーター気味の腕の振りから内外角に150キロ近いストレートや鋭いカットボールを投げ分ける。4月29日の中日戦では、あわやパーフェクトという投球もみせた。2000人もの指名があるメジャードラフトで2002年に全米の1番目に指名されたほどの逸材だったが、肩の故障などもあってメジャーではなかなか目が出なかった。広島で活躍してメジャー復帰(レンジャース)したルイスのあとにつづけるか。
4番を打つトレーシーは、開幕直後は打率1割も下回るような不振ぶりだったが、対戦がひと回りした5月になると見違えるように打ち出した。本塁打こそ少ないが、二塁打がすでに10本を超えている中距離打者。広いマツダスタジアム向きといえる。好調の広瀬と3、4番が固定できれば、久しぶりに優勝争いに加われるかもしれない。
この両チームに対して、情けないのは巨人の新外国人。ローテ入りが期待されたバニスターは東日本大震災を理由に、1試合も投げないうちに帰国。抑えを期待されたアルバラデホは安定感に欠け、中継ぎに降格。内野のユーティリティプレイヤーと期待されたライアルも低打率で、1カ月辛抱した原監督もそろそろ見切りをつけた感じだ。巨人が独自に獲得した新外国人がなかなか活躍できないのは、スカウティングの方法や評価基準になにか問題があるのではと勘ぐりたくもなる。
パ・リーグではセ・リーグほどめざましい活躍を見せる新外国人はいないが、面白いのは楽天のクローザーを任されているスパイアーだ。震災後、帰国した選手もいる中で、テスト入団して一軍切符をつかんだ。
「起用に迷いはなかった。あいつは人生を賭けているからな」
開幕戦のクローザーに起用したあと、星野監督はそういってその闘争心を評価した。球種が少ないので研究されると苦しいかもしれないが、好調な青山浩二、新人の美馬学と3人で中継ぎ、抑えを分担すればうしろが不安定だった楽天も浮上してくるだろう。
もうひとり、あまり成績は上がっていないが、今後注目なのはオリックスの朴賛浩(パク・チャンホ)。ドジャースなどで快速球を武器に活躍し、メジャー通算124勝とアジア人投手最高の成績を残した韓国の英雄だ。ここ数年はメジャーで中継ぎが多かったので、先発ではどうかと思われたが、2シーム、カットボールなど動くボールを駆使して6回、7回まではしっかり試合を作ってくる。チームの打撃が不振なので、なかなか勝ちがつかないが、打線に勢いが戻れば、中継ぎ、抑えはいいチームなので、勝ち星を量産する可能性もある。さすがメジャーという片鱗(へんりん)はうかがえ、一見の価値はある。
開幕して1カ月。特に今年は新外国人の出来、不出来がチームの成績に大きな影響を及ぼしている。調子の上がらない外国人をいつまでも使い続けると、それこそ取り返しのつかないことになりかねない。指揮官たちの見極めのタイミングも非常に重要になってくる。
阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki〔了〕
11試合に登板して、防御率0.84なんて、めちゃくちゃ好成績なのに…
注目してもらえない…(・ω・;)(;・ω・)
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