元ロッテのエース・清水直行インタビュー 後編 投打で期待の選手について (前編:佐々木朗希のメジャー挑戦騒動は「周りがとやかく言うことではない。両者の間で決めた条件がすべて」>>)
昨年は2位に躍進したロッテ。ベテラン選手や外国人選手の活躍が目立った一方で、若手選手の伸び悩みが近年の課題となっている。清水直行氏に聞く後編では、突き抜けてほしいと望む注目の若手選手について語ってもらった。
【肉体改造した藤原への期待】
――春季キャンプなどの様子から、清水さんが今年注目している選手は?
清水直行(以下:清水) 藤原恭大選手です。昨年に比べて、筋力トレーニングなどの成果で体がひと回り大きくなりました(一部報道によると、体重は約5kg増の86kgに)。キャンプ中の練習試合でも力強い打球を飛ばしていますね。やはり「体から変えていかなければいけない」と思ったんでしょう。 もともと右膝に故障を抱えたままプロ入りしていましたし、下半身が脆かったんです。でも、今では下半身もどっしりしてきましたし、上半身の力もついてきました。これまでは技術とか小手先で対応しようとしていた部分を見直し、体作りに本格的に取り組んでくれたのは嬉しいですね。アーリーワーク(早出練習)もしていましたし、ランニングなども元気にこなしていて、コンディションもよさそうです。
――過去のシーズンでは、好調な時期があっても長続きしないことが大きな課題でした。今年はシーズンを通して好不調の波を小さくしたいですね。
清水 肉体改造もそうですが、今までやったことがないことに思いきってトライした時は、"白黒"がハッキリすると思うんです。「やってよかった」とか、「やりすぎたな」といったように、何かしらの答えが出るはず。たとえうまくいかなくても、結果を分析して改善していけばいいと思うんです。なので、思い切って体をスケールアップした今年は期待しています。2000年生まれの「年男」ですしね。
――外野は藤原選手や、ベテランの荻野貴司選手や角中勝也選手を含めて、今年はポジション争いが激しくなりそうですね。
清水 昨年オフに吉井理人監督と話した時には、「みんな頑張ってくれたけど、特にベテランが本当によく頑張ってくれた」と言っていました。しかし逆に言えば、若手にもっと出てきてほしいということ。藤原選手のほかにも、ケガからの復活が期待される髙部瑛斗選手や、打撃が少しずつよくなってきている和田康士朗選手など、みんなに突き抜けてほしいです。
ただ、個人がポンと突き抜けた数字を残したところで、チームはそれほど変わりません。例えば、2022年は髙部選手が「ブレイクした」と言っていい活躍を見せましたが、チームは5位でした。もちろん個人の頑張りは必須ですよ。ただ、チームとして出塁率が上がった、得点圏の打率が上がった、打球方向がよくなった......といったように、打線全体で束になって攻められるかが重要であり、相手にとって脅威になります。なので、試合中の戦術の徹底はもちろん、全員が競争意識を持ってチームを底上げしていってほしいです。
【内野はポジション変更など激しい動き】
――内野はセカンドの中村奨吾選手がサード、ショートの藤岡裕大選手がセカンドへ。ドラフト1位ルーキーの上田希由翔選手はサードやファーストの候補で、元DeNAで新加入のネフタリ・ソト選手はファーストの第一候補と予想されますが、さまざまな動きがありますね。
清水 これまでは、セカンドの中村選手の"替え"を作らないままでした。なので、セカンドを含む各ポジションの競争力を高め、内野陣の厚みを持たせるという意味でも、今年の動きはいいと思います。ここ数年の中村選手は出ずっぱりで、調子を落とす時期も目につきましたが、休ませながら使う選択肢も生まれます。
ファーストのソト選手を休ませる時は、安田尚憲選手をはじめ、上田選手らを守らせることもできる。新たにセカンドを守る藤岡選手は、慣れるまで苦労すると思いますが、キャンプ中の練習試合ではいい動きを見せていました。
――ファーストでソト選手が期待通りの活躍を見せれば、DHにはグレゴリー・ポランコ選手がいますし、山口航輝選手も内外野の争いを勝ち抜かなければいけませんね。
清水 山口選手はとにかく、打てるかどうか。ファーストであればソト選手らとの争いになりますし、外野も先ほど挙げた選手らのほか、岡大海選手、石川慎吾選手、現役ドラフトで加入した愛斗選手もいて競争は例年以上に激しくなります。それと、僅差の試合終盤は守備範囲の広い選手が効いてきますが、やはりスタメンには打てる選手を並べないと勝てない。パ・リーグはどのチームもピッチャーがいいですからね。
昨年はリーグ2位でしたが、首位のオリックスには15.5ゲーム差をつけられています。差は相当あると思うので、全体的な底上げができなければ勝負になりません。
――昨年の本塁打王・ポランコ選手の活躍に加え、ソト選手への期待が高まりますね。 清水 ソト選手はハマれば必ず打ってくれると思います。右バッターですが、逆方向にも強い打球を打てるのがいいですね。ZOZOマリンスタジアムは右中間の打球が伸びやすいので、逆方向に強い打球を打てれば、長打はもちろんスタンドインすることも増えるでしょう。
【課題の「先発」で期待の若手投手は?】
――佐々木朗希投手や小島和哉投手、種市篤暉投手など「先発の軸」のほかに、今年注目している投手は?
清水 「突き抜けてこい」と期待しているのは、4年目の中森俊介投手です。先発でどれだけ我慢して投げさせてもらえるかも関わってきますが、「いきなり13、14勝ぐらいすることもあるんじゃないか」と思っています。シーズンを通して投げ抜く"肩の体力"をつけていくのはこれからですが、ピッチングのコツを覚えたり、いろいろなものが噛み合えば面白いピッチャーです。
昨年オフにはオーストラリアのウインターリーグに参加し、中5、6日の先発ローテーションで6試合に登板して結果を出していましたし(2勝2敗、防御率2.38)、楽天との練習試合(2月13日)でも先発して、2回無失点といい仕上がりを見せていました。先ほども(前編で)話しましたが、ロッテは先発の頭数が足りません。今年は先発として起用されると思いますし、中森投手が覚醒してくれたらチームにとって本当に大きいです。
――中森投手のストロングポイントは?
清水 真っすぐです。少し動くというか、変化に特徴がある真っすぐを投げますね。スライダーやチェンジアップもいいですし、カーブもある。先発でいけるタイプですし、少しずつイニングを伸ばしていけばいいと思います。中森投手がある程度打たれても我慢して使っていいようなチーム状況になるといいですね。
1-0など競った試合では交代せざるをえない場面も増えますが、打線が4、5点援護してくれて点差に余裕があれば、長いイニングを投げさせることもできます。そういうことの繰り返しで、先発ピッチャーは成長していくんです。首脳陣が我慢できれば、彼はそれに応えてくれるピッチャーだと思っています。
――他に気になる若手ピッチャーを挙げるとすれば?
清水 中森投手に続かないといけないのは、5年目の左腕・本前郁也投手(取材後の2月20日、楽天との練習試合で上腕骨螺旋(らせん)骨折)。それと、少し気は早いかもしれませんが、今年一軍でデビューしてもらいたいのが3年目の秋山正雲投手。ドラフト2位ルーキーの大谷輝龍投手は、先発で試していきそうな雰囲気もありますね。近い将来のことを考え、若いピッチャーにどんどん出てきてもらいたいです。
――先発の頭数のお話がありましたが、唐川侑己投手が先発に再転向。東條大樹投手も先発への転向が示唆されていますね。
清水 それは、もちろん先発ローテーションの谷間を埋めるという狙いはあるでしょうが、リリーフが充実してきたという理由もあると思います。昨年は西村天裕投手、坂本光士郎投手、澤田圭佑投手ら移籍組がいい働きをしてくれましたし、横山陸人投手も存在感が出てきた。昨年から少しロングリリーフもできるようになってきた中村稔弥投手、真っすぐの質がよくなってきた鈴木昭汰投手にも期待しています。
それと、元阪神の育成で獲得した二保旭投手は、キャンプ初日からけっこう多くの球数を投げていますし、昨年にヤンキースで31試合に登板したジミー・コルデロ投手も獲得した。益田直也投手や澤村拓一投手も含めてリリーフは層が厚くなってきているので、何度も言うように課題は先発。そう考えると、やはり中森投手ら若手ピッチャーがひとり、またひとりと台頭してくることが求められます。
【プロフィール】清水直行(しみず・なおゆき) 1975年11月24日に京都府京都市に生まれ、兵庫県西宮市で育つ。社会人・東芝府中から、1999年のドラフトで逆指名によりロッテに入団。長く先発ローテーションの核として活躍した。日本代表としては2004年のアテネ五輪で銅メダルを獲得し、2006年の第1回WBC(ワールド・ベースボールクラシック)の優勝に貢献。2009年にトレードでDeNAに移籍し、2014年に現役を引退。通算成績は294試合登板105勝100敗。引退後はニュージーランドで野球連盟のGM補佐、ジュニア代表チームの監督を務めたほか、2019年には沖縄初のプロ球団「琉球ブルーオーシャンズ」の初代監督に就任した。[了]
地味様の推しメンは…
まぁ、やっぱり中森でした!!(≧▽≦)ノ
うん。
知ってた(;´∀`)
鴎ファンの大半が期待してると思います(*´ω`*)
2ケタ勝ってくれたら、間違いなくAクラス入りでしょう(=゚ω゚)ノ
ところで。
ドラ1の菊地の名前が誰からも聞こえてこないんですが、実際のところどうなんですかね…(;・∀・)