山桜が咲いている。
夜明け前、骨のような木々の間で、
靄のように咲いている。
少し寒そうで、
朝日が待ち遠しい。
光が射す前の、ほんの刹那、
花びらは色を変える。
気が立ちのぼる瞬間だ。
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ふと、春だな、と思う。
カードを引くと愚者。
嬉しい。
春だから、愚者だよな、なんて思う。
ゼロを与えられた愚者は、
あくまで軽やか。
歌うように、踊るように呼吸する。
今日、
愚者のように呼吸をしてほしい。
空を見て、
両手を広げ、
できれば荷物は持たず(あるいはうんと少なく)、
鼻から思い切り空気を吸い込んで、
空に向けて息を吐く。
足元は見ず、
吸って、吐いて、吸って、吐いて、
ゼロは永遠、途切れることのない円。
吸って、吐いて、吸って、吐いて、
永遠の時を、
私たちは吸い、そして吐く。
生まれてから死ぬまで、
いろんな呼吸をするだろう。
つらい心を吐き出すような呼吸も、
嬉しさで胸がどきどきするような呼吸も、
誰かを愛したり、恨んだり、
優しくなったり、いじわるになったり。
人生は、永遠の時の中の一部。
私たちは、永遠の時とつながりながら、
有限の時を生きる。
愚者は、
ほんの刹那、永遠を垣間見せる存在。
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