さくらの花びらが舞っている。
風に吹かれて、
いろいろなものから自由になって、
上に行ったり、波打ったり、
いつまでもいつまでも舞っている。
青空の中に飛んでいく。
小さな花びらたち。
「こうやって、いるの」と言う。
そばにいる、のとも少し違う。
いつもいる、のでもない。
でも、
目を閉じればそこにいる。
手を伸ばせば触れられるのではないかと思うくらい、
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いちごは待っていた。
いつものようにビニールハウスの中で。
その美しさ、おいしさに、誰もが顔を輝せ、その素晴らしさを讃えることを。
子供も大人も笑顔になる。幸せになる。
こんないい仕事があるだろうか。
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いちご農家の若き3代目が、悩んでいる。
手塩にかけた自慢のいちご。
今年もいちご摘みを開くことができなかった。
期間限定のいち . . . 本文を読む
ひょっこり現れた、
あれは・・・道祖神というものではないだろうか。
20センチぐらいの小さいおじいさん。
思わず笑ってしまう。
神さま、というのは、
ある役割をもったものだと思っている。
人が、生きていくため、納得するため、希望をもつため、
いろいろな理由のために、
目に見えるもの、見えないものに関わらず、
何らかの役割を持たせ、信仰の対象にしたものだと思っている . . . 本文を読む
病室のベッドに横たわっている。
目を開けると、
白い着物に黒い羽織をふんわりとまとった『寿命』が、
空から降りてきたように、宙に浮いている。
両手を広げながら、
こちらに向かってくる。
ちょっと笑ってしまうのが、
真っ白なお面の真ん中に
縦書きで『寿命』と書いてあるのだ。
ああ、と思う。
そうなのか、と思う。
『寿命』は、こんなにも優しいものな . . . 本文を読む